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#活劇文字起こしチャレンジ
アクションシーンの小説風文字起こしチャレンジ。長ったらしいので、なるべく短縮して、「#活劇文字起こしチャレンジ」。
要するに、ネット上で拾ったアクション動画を小説風に文字起こししてみようという、そういう挑戦です。
で、栄えある(?)第一回の拾い動画がこちら。
一時停止しながらじっくり見ていくと、実際には女性のパンチもキックも当たってないし、 カメラの死角を利用して振りぬいた後で、スタント担当の男性陣が打撃を食らった演技してるし、 打撃が入った時の音が(後付けなせいで)全部同じ(笑)。 いわゆる、特撮ヒーロー物などのアクションシーンで良くある「魅せるアクション」なんですが、「魅せる」に特化しているだけにカッコいいですよね。動画作成者が不明なため、勝手に借用してますので、動画の紹介はリンクに留めます(動画が消えたら何を元にしたのかわからなくなりますが……)。
元のポストには移民がどうたらみたいな事が書かれていましたが、そういうのは置いておいて。
これはまさに、偽の移民に対して何をすべきかです。
— paranormal phenomena (@mulder_17) December 24, 2024
最後まで見てください🔥🔥🔥 pic.twitter.com/Zhn6kLCdwQ
このカッコいいアクションシーンをテンポや臨場感、何よりカッコよさを損なうことなく文字で表現できるだろうか。そういう挑戦です。
最初から上手くいくとは思っていないので、鍛錬の一環として挑戦してみます。この記事をお読みになった皆さんも、是非挑戦してみてください。公開してよければ、こちらの記事内で紹介させていただきますので、ご連絡ください。
では、早速いきます。
潯 薫(ジンパパ)作
それは一瞬の出来事だった。
――邪っ魔。うっざ。なんなの、この人たち。
沙螺(サラ)は、アパートの入り口を塞ぐように屯(たむろ)する男たちの間を割るように外に出ようとしていた。家を出るのが少し遅くなってしまった。道場で彼女の指導を待つ子どもたちの元へ急がなければ。
そんな焦りから、つい男たちへの注意が疎かになっていた。ただの障害物。沙螺の認識はその程度だったが、男たちは、通りかかる女性や子どもを罠に嵌めようと待ち構えていたのだ。
沙螺が黒髭を蓄えた男の脇をすり抜けようとしたその時、沙螺のショルダーバッグが黒髭の男に掠め取られた。沙螺が振り向いた時には、黒髭男は元々示し合わせていた通りに、傍の階段の上で待ち構える仲間にショルダーバッグを放り投げた。
それを見て、慌てて階上へ向かおうとする沙螺に階下でデニムパンツの男が立ち塞がった。沙螺はデニム男に構わず、階段へ、沙螺のショルダーバッグを受け取った男の方へと歩を進めようとした。しかし、デニム男が沙螺の右肩を強く押し返し、近付けさせない。
ここに来て、沙螺は男たちの狡猾な罠に落ちたことを悟った。男は全部で五人。ショルダーバッグを掠め取った黒髭、階上でショルダーバッグを受け取ったグリーンジャケット、階下に立ち塞がるデニムパンツ。階段の中腹にはもう一人、黒いトレーナーの男。そしてアパートの入り口側には白いパーカー男。
五対一。完全に取り囲んだ。しかも相手は自分たちより背も低く、年も若い少女。男たちは勝利を確信していた。既に少女を手玉に取った上、バッグは彼らの手中。どの程度の収穫かは分からないが、今晩の飲み代の足しにはなるだろう。階段の中腹にいた黒いトレーナーの男と、階上のグリーンジャケットの男が沙螺のショルダーバッグの中身を漁る間、残りの三人で少女を囲み、圧を掛けてけん制すれば、事は済む。
しかし、そうはならなかった。カラテの心得があり、日ごろ道場で師範代として指導者の立場にある沙螺は、狡猾な男たち五人を相手に一歩も怯んではいなかった。
最初に一番近くにいた男、沙螺のショルダーバッグを掠め取った黒髭男に痛烈な左フックをお見舞いする。怒りに任せて振りぬいた左フックを顔面に食らった黒髭男は、そのまま壁に叩きつけられた。そのまま倒れて起き上がれない。
振りぬいた左フックで十分に体重の乗った右足を軸に、全身をバネにして今度は右ストレートを繰り出す。次の獲物は階下で沙螺の肩を押し、階段へ向かおうとする沙螺を妨害したデニム男だ。デニム男の左顔面に右ストレートが炸裂する。デニム男は、喰らったパンチにもんどりうって、階段でショルダーバッグを物色しようとしていた黒トレーナーに倒れ込む。黒トレーナーとグリーンジャケットが異変に気付いたのはその時だった。
マンションの入り口側で背面を固めていた白パーカーは、黒髭が左フックに倒れ、デニムが右ストレートに倒れるのを見て、慌てて沙螺に後ろから飛び掛かった。沙螺の頭と髪を掴み抑え込もうとする。
しかし、沙螺の反応の方が数段早かった。抑え込もうとする力を借りて、そのまま沈み込み、白パーカーの力が抜けた隙をついて、右肘を背後へ叩き込む。沙螺の右肘が覆いかぶさる白パーカーの顔面に刺さり、白パーカーが後ずさる。これで間合いを確保。沙螺はすかさず体制を整えた。
ほんの僅かな間だった。男たちの波状攻撃は続く。階段を降りて飛び掛かってくる黒トレーナーにローキックをお見舞いする。みぞおちに決まったか、黒トレーナーは崩れるように倒れる。そうして黒トレーナーを押しとどめ、振り向いて白パーカーに対峙する。ほんの僅かな間だったが、重なるように押し寄せてくる男たちとの間合いを取り、一人ずつ仕留めていくには、十分な間だった。
白パーカーに強烈な右フックをお見舞いし、その回転のまま振り向きざま、起き上がってきたデニム男にバックミドルキック。さらに、上段回し蹴り。さすがに今度は起き上がれない。
沙螺の怒りは収まらない。ローキックのみでダメージの浅かった黒トレーナーが起き上がろうとするところへ、二―キック倒れ込んだところへとどめのローキック。
そんな沙螺に、階上から降りてきたグリーンジャケットの男が肩を叩いてショルダーバッグを差し出す。沙螺が素直にショルダーバッグを受け取ると、グリーンジャケットの男は戦意を見せず、仲間を気遣うそぶりを見せる。そんな様子に一瞬、鉾を収める素振り(そぶり)を見せる沙螺だったが、思い直す。
――てめぇも、同じ糞だろうが!
下品かなと思い、口には出さず頭の中にとどめて言葉にはしないが、沙螺の怒りは男たち全員にむけられたものだった。グリーンジャケットも例外ではない。
渾身の右ストレートをグリーンジャケットにもお見舞いすると、男はもんどりうって階段の手すりに叩きつけられながら崩れ落ちた。
沙螺がショルダーバッグを掠め取られてから、男たち全員を倒すまで、僅か三十秒足らずの出来事だった。
ショルダーバッグが無事手元に戻り、倒れた男たちを後に、マンションを出る沙螺だったが、グリーンジャケットの男にバッグから道場の会員証が盗まれていたことには気が付いていなかった。
男たちは、後日、逆恨みを募らせ、さらに仲間を集め、沙螺に報復しようと画策するのだった。(おわり)