楽天の伊藤裕季也獲得のトレードについて楽天サイドの意図を解説
こんばんは。久しぶりのnoteの投稿となります。
今回は伊藤裕季也内野手と森原康平投手の交換トレードについて解説していきたいと思います。
サクッと読める内容にしたいと思っていますので、どうか最後までご覧いただけたらと思います。
楽天の中で明らかに足りなかった内野手と右打者
今回のトレードですが、やはり今回も石井GMの編成を語る上で欠かせない「デプス埋め」の意図があると言えます。
「デプス」とはMLBで選手層を表す時に使う用語で、それを一覧にした表を「デプスチャート」と呼びます。
今回はましとさん(@mashito_7)が作った表がわかりやすかったので、引用させていただきたいと思います。
この表の野手の一覧を見ると、右の支配下内野手は現在川島、浅村、横尾、内田、村林、入江、ギッテンスとなっており、このうち3Bメインの選手はゼロ、2Bメインはレギュラーの浅村以外だと守備固め要員の村林と39歳の大ベテラン川島のみとなっております。
2B、3Bという同ポジションの選手だと黒川がプロスペクトとして将来を期待されていますが、ファームスタッツを見る限りでは現在長打力を伸ばす方針でじっくり育成されており、繋ぎの役割として取った横尾選手が機能していないこともあり、内野の中堅層の薄さから伊藤選手に白羽の矢が立ったと考えられます。
伊藤選手の選手としての特徴
伊藤選手は現在ファームで打率.300を記録していますが、ライナー性の打球の割合(LD%)を12.2%記録しており、これはリーグ平均の8.5%を大きく上回る数字です。
ライナー性の打球はBABIPと一定の相関を示しており、伊藤選手はヒットになる確率の高い打球を安定して打っているバッターと言えます。
初年度の伊藤選手と現在の伊藤選手の違いを比較してみるとその差は歴然です。
まずは初年度の伊藤です。
打球がかなり高い角度で上がっており、横浜が指名するのも頷ける高い弾道のバッターでした。初年度のフライーボール率は50%と高く、ラインドライブ率は僅か5.6%と平均を大きく下回るかなり低い数字でした。
こちらが最新の伊藤裕季也です。不振に喘ぐ中活路を見出したのが上から投げ下ろされるボールをかち上げるのではなく逆らわず角度をつけないスイング軌道でした。
このスイングは狭い横浜スタジアムに向いているとは言えませんが、広い楽天生命パークでは高いヒット確率で貢献できることが予想されます。
森原の放出理由
交換要員に森原をチョイスした理由ですが、やはり「クリーニング手術」はキーワードになってきそうです。
森原選手は今年、11月に一斉手術した組ではなく、開幕に遅れる判断をしても緊急で右肘の手術を行いまいした。
この右肘の状態の悪化の影響か、森原選手は2019年と比べるとストレート平均149キロ→平均146キロ、スプリット平均140キロ→136キロなど、今年に入って球速低下の傾向が随所に見られていました。
二軍防御率2.57とそこまで急激な成績低下は見られないものの、肩肘が投げられるうちに求められているところへ放出という思慮はあったかも、と思います。
伊藤獲得にはドラフトにも好影響
伊藤選手の獲得はドラフトにも好影響をもたらしてるのは間違いないと思います。
3Bの即戦力を獲得する必要がなくなったため、高校生ドラフト上位候補の内藤鵬選手や、SSの注目選手である伊藤選手と同じ立正大の奈良間選手などには行きやすくなったと考えられます。
これらの影響を考えても、「デプス埋め」トレードはGMとしてはまず第一に考えなくてはならないですし、NPBの中でも石井GMは率先してこういうMLBに習った編成と言えると思います。
まとめ
以上の話をまとめると
という、楽天にとってみたらかなり有意義になったトレードと言えるのではないでしょうか。
双方の選手の活躍を期待したいと思います。