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2023楽天ドラフト総括&寸評
こんにちは、ジンです。
今回は2023ドラフトの楽天イーグルスの指名を総括&それぞれの選手のレポートを書いてきたいと思います。
補強ポイントについて
まず、今年の補強ポイントについておさらいしておきましょう。
楽天の補強ポイントが野手であるという評価にも一部にはありますが、
楽天はチーム本塁打数パ二位タイ、チームOPSは.001差の二位タイと、HRがパ・リーグで一番出にくい球場であることを考えるとトップクラスに優秀な数字を残しています。
それに比べると、投手の方は防御率パ最下位、失点数パ最下位、奪三振率パ最下位と、12球団でも明確に投手が課題と言えるチームになっています。
これに加えて市場は投手豊作のため投手ドラフトはほぼ確定、投手の中でもどの投手をピックするかというのが今回最大の焦点となっていました。
ドラフト結果
そして今回のドラフト結果がこちらです。
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「2023年 プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」
— 東北楽天ゴールデンイーグルス (@Rakuten__Eagles) October 26, 2023
楽天イーグルスは8名の選手の契約交渉権を獲得しました。
指名した各選手のプロフィールと、1巡目指名を終えたあとの今江監督のコメントはこちら!
👉https://t.co/JHZFwyVhTW#RakutenEagles #ドラフト会議2023 pic.twitter.com/DcFG2FRz6c
全体的に長身投手が多く、投手においてのスケール感に非常に長けた指名となっており、楽天の奪三振率の低さ、平均球速の低さという補強ポイントに見事にマッチした指名となっています。
特に顕著なのが高校生右腕3人で、坂井186cm、日當190cm、大内191cmと超大型右腕を中心に指名していました。
以前noteにも書いた通り、日本代表の投手は高校生右腕の割合が一番多く、山本を除いた高卒右腕が186cm以上という高身長を誇っています。
また、早稲田や明治など、東京六大学からの代表入りが辞退の森下を除き一人もおらず、東京六大学の近年の投手育成の陰りを感じさせる代表選考でもありました。
楽天は近年、早川や高田孝といった東京六大学の有名選手や、社会人投手からのピックが続いており、今年のように東都入札や地方リーグ、高校生の重点的なピックは異例と呼べる形と言えます。が、これは伊藤大海や宇田川、山﨑颯一郎といった成功例に習ったものと言えるかもしれません。
ドラフト1位 古謝樹
181cm76kg 左左 MAX153km 投手
続いて選手個人の寸評に行きたいと思います。
ハズレハズレ一位に指名されたのは古謝でした。
常廣、前田に続き非常に力の強いストレートを投げる投手を指名しました。
テイクバックに関して言えば成瀬(元ロッテ等)を彷彿とさせるような技巧派にも見えますが、実態はかなりの本格派で、制球力よりは150キロを超える球をガンガン放り込んでストレートで押してくるタイプといえます。
タイプ的には令和版和田毅(SB)といった感じで、和田は時代的にも140そこそこでしたがそれが150キロをちゃんと超えるメカニクスを持っているといった感じでしょうか。田嶋(オリックス)にも近い雰囲気を持っています。
即戦力でローテで回ることが期待され、早川や荘司に続く活躍が期待されます。
ドラフト2位 坂井陽翔
186cm83kg 右右 MAX149km 投手
坂井に関しては、高身長の高校生投手という括りながら非常に総合力の高い投手と言えます。
特に、スライダーやフォークなど、変化球の質の高さではヤクルト奥川や中日高橋宏のレベルに非常に近いと言えます。投手を始めて一年な為、最速は149キロと近年の上位指名にしては異例の遅さと言えるかもしれませんが、山崎颯一郎が高校時代145キロながら現在は最速160キロ、楽天でも清宮虎多朗が入団時最速145キロから最速161キロまで伸びていることを考えると、現在のプロでは球速アップに関してはどの球団もトレーニング環境に力を入れており、球速面はさほど心配がなさそうです。
完成度が高いながら伸び代も大きい投手と言え、来年早くからでもファームで見れそうな投手と言えます。
高橋宏斗のように早期からの戦力化が期待される素材です。
入団した場合、間違いなく楽天のトッププロスペクト投手となるでしょう。
ドラフト3位 日當直喜
190cm105kg 右右 MAX151km 投手
2023年の候補で最も馬力がある高校生投手と言っても過言ではない日當が3位指名。
190cmという長身且つ、高校生にして体重105kgとかなり重量級の肉体を持ちます。
その肉体を持つため出力には問題がなく、最速151キロながら出力よりもアームアングルはやや低めの制球を重視したメカニクスをしているのが特徴です。
坂井と同じく変化球にも強みがあり、フォークが非常に優秀です。
山﨑颯一郎のように先発、リリーフの両軸で見れる投手だと思います。
ドラフト4位 ワォーターズ 璃海
177cm71kg 右右 遊撃手 遠投95m 50m6秒3
楽天イーグルスに足りないポイントの一つ、ショートにはワォーターズを指名してきました。2019年ドラフト1位の小深田が来年には29歳に差し掛かり、ショートからサード、レフトなどに回されることも多くなり、村林も27歳のため、次世代のショートが急務だったところの指名となり、大きな期待がかかりそうです。
打撃はやや捻りが大きく、ショートは他球団よりも足を重視している傾向にあり、言われてみると楽天好みの選手かもしれません。一般的には足が速い二遊は打球に対して衝突しやすく、意外とエラーが増えがちだったりするので意外にも好まれにくい傾向にあります。しかしワォーターズの守備は意外にもハンドリングは器用で、送球ミスがほとんどなく握り変えも早いのが特徴です。
打撃に関しては完全に素材ですが、振る力自体はあるので楽天がどこまで育成できるかと言ったところでしょうか。
入江と競いつつ、打力に振れている入江と比較すると次世代遊撃手の本命と言ったところでしょうか。
陽岱鋼のように外野コンバートの道もあるかもしれません。
ドラフト5位 松田 啄磨
184cm67kg 右右 MAX149km 投手
五位で素材型大学生右腕の松田を指名。実績は少ないながら4年春で防御率1.30、7勝0敗を記録。地方リーグの無双枠です。
細身ながら素材が評価されながらの指名のため、ある意味坂井や日當よりも楽天の育成力にかかっている素材と言えます。
また、荘司のトレーナーを担当されたことで有名な北川雄介氏がTwitterで触れており、DIMENSIONINGのトレーニングを受けている可能性が高いと言えそうです。
やったね🙇♂️ https://t.co/EOOCGYyctj
— 北川雄介 DIMENSIONING.inc CEO (@yu3su4ke) October 26, 2023
地方大学のドラフト5位というと楽天では松井友なので、まずは松井友を超えるようなファームでの活躍を見せたいところです。
ドラフト6位 中島大輔
180cm78kg 右左 外野手 遠投100m 50m6秒0
東都の有名センターを6位で指名。年齢、打席、ポジションが武藤と全く一緒で、完全なライバル指名と言えそうです。
小郷と比べると四年の一部での成績はやや見劣りしますが、小郷に比べ守備走塁はすぐに通用するレベルと言えます。
武藤は中島に比べ完全に守備よりも打撃が売りなので、差別化はできそうです。
ドラフト7位 大内誠弥
191cm77kg 右右 MAX144km 投手
地元宮城からの指名。191cmと今回の指名でも特に大柄。
日當と比べるとアームアングルはかなり上から投げる豪快なタイプ。
持ち球はスライダーとフォークのオーソドックス型です。
高校時代の実績は少ないですが、坂井、日當とはまた違ったタイプの長身右腕で、内、清宮に比べるとフォームにアーム気味のような癖がないかもしれません。
ドラフト8位 青野 拓海
180cm85kg 右右 MAX145km 投手・捕手・一塁手
支配下枠全体最後の指名。楽天公式では内野手としての指名だが、投手と捕手での評価もあるユーティリティ性も特徴の一つ。
長距離砲としての評価で、一塁三塁での起用が本命となりそうだが、捕手も足りないのでどう運用するのか気になるところ。
支配下最後の指名でもロッテの福浦のように2000本安打の選手も存在するので、打撃型なのは楽しみなところです。
二軍で打席にどのくらい立たせられるかもカギとなってきそう。
総括
今回のドラフトは全体的に素材型投手に寄った形となりましたが、球界を代表する投手は現在ほとんど高卒で、スケールが求められる時代なので、投手力を上げるという狙いを考えると長身素材型を集めるのは非常に合理的な判断と言えます。
即戦力も欲しかったところですが、2位以下の指名を見ると例年は育成枠での指名が多い独立リーグからの支配下指名も多く見られ、即戦力投手は少数精鋭の市場だったと言えます。
楽天の2023ドラフトは投手力強化を至上命題と考えた時に、最良の選択肢となったと言えるのではないでしょうか。