【書籍】 『オウンドメディア進化論』 から学ぶ。 - 後編 -
※ 今回はCHAPTER 4,5,6 を取り上げていきます。CHAPTER 1,2,3 については以下の記事で書いています。
はじめに
上記の記事で『オウンドメディア進化論』のCHAPTER1~3まで読みました。この記事では、本に書いてあることに加えて、私の所感も同時に書いていければと思います。一般的なことやポイントみたいなものをまとめつつも、そうではない追加情報や簡単なまとめ根本の考えたとなったであろうエピソードなどを中心に書いていきたいと思います。
目次
◾️CHAPTER 4
つづくメディアづくり
この章では、具体例や前提条件をあげながら、オウンドメディアを立ち上げるまでに踏むべきステップとコンテンツを作っていく上で考えるべきことや、効果解析について整理した章になります。
前提として必要なもの
インナーに熱源がある = 社内の中で面白いと思うことがある
→ 知らないのは「もったいない」と思うことがある
→ ピュアに面白がれるマインド組織としてポジティブな方向にむかうこと
メディアのユーザーがどんなリアクションをするかをドライに判断できる冷静さ
インナーに熱源があるということがとても大事な要素だと思っています。これは、本にも書いてあります。
会社内や仕事で面白いと思ったものを見つけたら、それを社内の人と話したり、自分の知識を増やしたりする必要があります。私は自分の会社でも部署内だけでなく、他の部署の仕事を理解し、コミュニケーションの道を作ることが大切だと考えています。私たちは皆プロであり、スペシャリストとして働いているので、お互いに知るべきこと、知らないことがたくさんあります。例えば、会計管理をしている部署は資金決済法に基づいて動いています。エンジニアがそれを理解しないまま別のものを作ると、「思っていたのと違う」と言われることがよくあります。それを解決するためにはMTGを開くこともありますが、根本的な解決にはなりません。なぜなら、前提が違うからです。だからこそ、知識を得ることとそれを共有するコミュニケーションが重要です。そして、そこから客観的な意見が生まれるかもしれません。それが面白いものだと思っています。(個人的に)
本では、ステップが8つに分けられて何をするべきかを考えることが一つの道筋としてたてられています。
それぞれを簡単にみていきます。
▶️ステップ1:理想の状態と具体的な目標
KIRINの理想状態は、シンプルに以下のような図になる。文字化すると「社会と社内双方から求められ続けるメディア」となります
具体的な目標は、KIRINのnoteはtwitterと相性が良いため、twitterのリーチ数を具体的な目標とするなどのSNSの性質と内容を捉えた上で決めていく必要がある
→ あくまで「理想状態」をベースに置いて具体的な目標を追うことがヘルシーなオウンドメディアの運営につながる
▶️ステップ2:メディア早見表を作る
メデイア早見表というのは8つの項目で構成されたものである。
機能(役割):
→ それぞれのメディアがどのような機能を保持しているのか(役割を果たしているのか)を明示的にすることビジョン:
→ 目指す姿、ありたい姿をシンプルに記しているもので、すなわち「読者との約束」を明文化すること読者(ターゲット):
→ どんな読者とコミュニケーションをしたいかを考え、なるべく読者が興味あるであろうことを「n=1」で想定しながら記すこと戦略の核:
→ どんなコンテンツを展開するのか、どんなコミュニケーションをしていくのか、そして読者が読んだ後にどのようなアクションを起こして欲しいのかを考えること活用シーン:
→ インナーからどのような展望が出てくるのかを記載する箇所で、このメディアでどのようなことを取り上げて欲しいかなどの声が上がることの想定とそれが起こるためのアクションを想定しておくことコンテンツ企画:
→ これまでの「機能」、「ビジョン」、「読者」、「戦略の核」、「活用シーン」を活用してnoteでのマガジンやシリーズもの、取り上げる記事の基準などについて明示的にすること評価(KPI):
→ 「理想の状態」を維持するために考えられる、実際的に追いかける「項目」で、具体的な目標数値については複数にわたって決めることで一喜一憂せず、あらゆる角度からの理想状態への持っていき方を考えることができるNGライン:
→ ビジョンのためにメディアとして何をやるのかと同時に何をやらないのか(オーダーとしてこのメディアに出せば、読んでもらえるとする考えが生まれるため。)を明示的にすること
▶️ステップ3:コンテンツの方向性は2方向ある
「課題曲」と「自由曲」という提案
課題曲
→ 基本的には楽譜に忠実にミスなく、歌うことまたは演奏することが求められているもの(ただし、これにも自分の色は入れるべきもの)。すなわち、プラス評価を狙いにいくのではなく、マイナス評価を出さないものにするということ。
→ 読者に「受け入れられやすい」切り口のもの自由曲
→ 自由に選曲して、基本的な土台(作曲者の意図を汲み取ること)がありながらも、その演奏や歌には自分の色やスタイルが入るもの。すなわち、そのメディア独自で、そのメディアだからこそ出せる「色」というものをインナーからも離れて作り出すコンテンツ。
→ その企業のMVVや掲げた目標やあるべき姿を考え抜くための企画をコンテンツしたもの etc.
▶️ステップ4:企画時に必要なのは3つの掛け合わせ
上記のベン図の3項が重なる部分がオウンドメディアとして狙えるところであるということで、ステップ3までに整理してきた内容を概要的に捉えることで、その背景や文脈をさらに整理することができます。
▶️ステップ5:コンテンツをつくり発信する上での心構え
前提のお話:「社内(インナー)」と「社会(読者)」から「求め続けられる」ことが理想状態である。
→ 人から人に伝わり、求められることになる現象が起こりうる状況
ここでは、本に書かれているそれぞれの事例を抽象的にしてまとめます。
「代名詞」の大きさとその記事のユースケースの方向性や方針をしっかりと決めておくこと
→ KIRINのnoteでは、特集(取材)された人が知人や家族に記事が掲載されたことを知らせることができる(これは人をピックアップしているために起こせる状況であると個人的には思っている)社内(インナー)で浸透させることで熱源と存在感が作り出される
現在の企業のイメージを客観視することでポジティブなギャップを作り出すことが意外とSNSでの運用方針のきっかけになる
現在進行形で進んでいるソーシャルイシューを全てをあらわにでき、その解決のために動いているサービスを表すことができる(社会的意義を示すことのできる記事をnoteでは自由に記述できる)
オンラインコミュニティやサロンといった形への発展ができる:最新のその業界のカルチャーを伝える場になる
人との繋がりを身近にする(共感の可視化、プロセスのオープン化)
事例とされている記事たち
→ #今日はキリンラガーを
→ #日本産ホップを伝う
→ KIRIN BEER SALON
▶️ステップ6:評価はタテとヨコ
noteの価値の1つは「点ではなく線で伝えることができる」ことにある
タテ
コンテンツがひとつであったとしても、それを中心に別で活用されるきっかけや機会になる
ヨコ
インナーにも社会(読者)にも伝えうるコンテンツになることで、時系列的にも過去の記事となっても参考となる
▶️ステップ7:品性をガバナンスする
SNSでありがちな「バズ」「いいね数稼ぎ」などではなく、まずは「品性があるか?」の問いかけが重要とな利ます。
個人的には、これは長期的にみたときにとても意味のあることで、世界観の作り上げることにも繋がります。特に企業としては、コンプラ的な部分で信用を失うことがありますよね。そういった意味でも
情報の質
言葉遣い
理解のしやすさ
ソーシャルイシューとの関連性
サービスの必要性
などがとても重要になってきます。オウンドメディアを作り上げるときに「ベスト」と「ベター」である部分の分析なども必要となります。
▶️ステップ8:つづくメディアの4つの前提
世界観
テーマ
背景
愛情
が4つの前提であり、これを基に上記ステップの7つやコンテンツ作成、記事作成が必要となってきます。また、そこで権威性や専門性に重きをおく(自由曲を目立たせる)ことなど、信用できる情報を作り上げる(課題曲)を持続させることが重要となるかと思います。
◾️CHAPTER 5
オウンドメディアの「もうひとつの役割」
Chapter 4までは、オウンドメディアの主たる役割やその構築方法について、述べられてきました。
この章では、副次的な作用・もうひとつの役割を認識することでさらにオウンドメディアを活用していくことができるということだと思います。
副次的な役割として、以下のものが挙げられています。
これらは、インナーとしての役割という面が多いのだと思います。自己紹介の場や社内の様子を伝えること、ブランドの構築などとしての役割が具体的なものになるでしょう。これに加えて、オウンドメディアのあり方によっては、他にもさらなる役割があるとも思います。
すこしかぶる部分もありますが、
社内生産性を向上させる
という役割もあるのではないかと感じています。これはオウンドメディアのあり方の1つとして、ノウハウやナレッジを共有するものを中心とするのであれば、社内教育にもヨコ展開できるようになります。それぞれの業界で専門的で難しい話があるでしょう。医療業界や金融業界などは正直、顧客とする側からは代表として難しい部類になるかと思います。そして、従業員やインナーとして携わっている人たちも、意外とよくわかっていないというのが現状です。
さて、業務上、前提の知識として分からないことがあるとどうなると思いますか?
知らない前提で話すと根本として伝わりづらいこともあれば、10から始められる話が1からになってしまうことがあります。それらが2や3になるだけで、話の進み具合は全く違うでしょう。そういった意味で、そもそもの「知っているか知らないか」を少しずつでも解消することができれば、業務効率化の向上の1つの糸口かと思います。そことオウンドメディアがどう結びつくのかと言えば、インナーの文化やスターを作りだすと同時に教育という面でさらに底上げすることもできるのではないかと考えています。
これは、本には書いてありませんが、要素としては一つ考えうるべき項目とはなるでしょう。
◾️CHAPTER 6
オウンドメディアのこれから
オウンドメディアを会社が運用していくことで始まるものが、以下のようなものとしています。
費用対効果の戦い
社内理解の戦い
→ これらは、総括すると「数字との戦い」になります。これらの影響で、続けられるオウンドメディアもどこかで頓挫することになります。
そこで以下のように対策は3つだとされています。
これらは連鎖的なものだと思います。書き手を増やすことは、巻き込まなければできませんし、置き場を増やさなければ書き手も増えにくいといったような三角関係とでも言えるかもしれません。
数字では正直なところ、限界があるというのが本来のところだと思います。特に、文字列が並ぶ記事のようなメディアはある程度のリテラシーがなければ読めませんし、潜在層的な人を獲得するにはものすごい労力がいるのが現状です。
数字を求めなければならないのと同時に、インナーでまずは続けるための環境が必要ということで、そのための組織や雰囲気作りが大切になっていきます。私自身の会社でもオウンドメディが過去に一度、潰れてしまったことがあったようです。ここから得たものや会社として抱える課題をインナーの立場で共有し、それをもとに、会社全体としてオウンドメディアを作り上げていくことが大切になっていきます。その手法として上の3つがあるのでしょう。これに加えて、ある程度のチームを作ることが大切なのではないでしょうか?チームでも広報担当でのチームではなく、各部署から選出することで業務理解や協力が得られやすくなります。組織図をしっかりと把握した上で、環境づくりをしてみたいと私自身も改めて思いました。
さいごに
前の記事で、1, 2, 3章でのメモやまとめを書き、本記事で4, 5, 6章を取り上げてきました。オウンドメディアと一括りにしているものでもやるべきことも考えるべきこともたくさんあります。それらを整理する上で、この本は本当に良書だと思いました。あくまでも、記事も本も"意見"でしかなく、テンプレートではないことを意識して、自分たちの会社や組織のオウンドメディアが大きく展開できるように頑張っていきましょう。