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はじめてなのに、「ただいま」と思える場所

僕はいま、ゲストハウスとして使用する候補物件の契約に向け、条件などの最終調整を行っています。
ここをクリアできて、ようやく、開業に向けたスタートラインに立つことができます。

物件を探し始めてから約2年半。

本当に長く辛い時間で、途中で何度も諦めそうになりました。

ゲストハウスというものに対する無理解や風当たりの強さに打ちのめされたり、あまりにも物件が見つからず希望のエリアを断念したり、一度はほぼ決まり具体的に動き始めていた物件を使えなくなったり…。
特に最後の一件では、時間的にも金銭的にも大きな損失を被りました。

そんな物件探しを経て出会った、今話を進めている物件があるのは、当初からここでやりたいと思っていた、第一希望のエリア。

僕が、10年以上住んでいる街です。

まだ余談は許しませんが、もしここでオープンできたら、こんなに嬉しいことはありません。

単に「ゲストハウスをやりたい」のではなく、自分がいちばん愛する場所に旅人を迎えたい、その魅力を余すことなく伝えることで、訪れる人の体験を最大化したい、と考えていたからです。

ただ一度の経験

僕が初めてこの街を訪れたのは、上京して数ヶ月経った頃。

故郷の札幌から同じ時期に上京した友人と、久しぶりに集まろう、ということになり、その待ち合わせ場所になったのがこの街でした。

当時乗っていた原付バイクで通りがかることはあったものの、この街をちゃんと訪れるのは、それが初めて。
ある程度のイメージはありましたが、正直そこまで強い興味は持っていませんでした。

でも、初めてこの街に降り立った瞬間、僕は自然とこう感じたんです。

「ただいま」と。

初めて訪れた場所に、そんな気持ちを抱いた経験は、それまで一度もありませんでした。
そして、おなじ経験をしたことも、それ以来一度もありません。

何がそうさせたのか? 
言葉で説明するのは、ちょっと難しいです。

街の中心を流れる川沿いの、心地よい風と、穏やかな時間?

都会的な洗練の中に併せ持つ、下町のようなフランクさ?

どこか懐かしさも感じさせる、個性的な店たち?

道行く人の、気取らず、思い思いに楽しんでいるその様子?

おそらく、それら全て。
あえて言えば、この街に流れていた「空気」でしょう。

そこに存在している空気が本当に心地よく、落ち着けて、でもいるだけでワクワクする…
そんな場所でした。

そして、心に決めたんです。

「次に住むなら、絶対にこの街しか無い」と。

それからしばらくして、念願叶ってこの街に移り住むことができました。

そして、それから10年以上。

ずっとこの街に住み続けていますが、その時の気持は、今も変わりません。

東京は、やさしい街だ

そう言うと、「都会は冷たい」と思っている人にとっては、違和感があるかもしれません。

でもこれは、北海道から上京した僕が抱いている、東京の印象のひとつです。

田舎のように、がっちり肩を抱いて、いつも面倒を見てくれて、何があっても気にかけてくれるような、そんな距離の近さはないけど、

どんな人でも受け入れてくれて、自由に挑戦する場所と機会を与えてくれて、失敗しても、恥ずかしいことがあっても、見て見ぬふりをしてくれる。

そんな、程よい距離感が逆に心地よく、時には暖かさすら感じることがあります。

そんな東京という街が僕は好きだし、僕にとって、まぎれもない第二のふるさとです。

そう、旅から帰ってきたときに、一番落ち着く場所。
東京の気配を感じた時の、あの安堵感。

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なぜ、東京で、この街で、ゲストハウスをやりたいのか?

挙げだしたらキリがないくらい理由はたくさんあるし、もちろんその中にはビジネス的視点で見たメリットも含みます。

だけどやっぱり、

旅人を迎える場所をつくるなら、自分が最も愛する街につくりたい

それが、大きな理由の一つです。

あのときの僕が感じたように、ここがあなたにとって「ただいま」と言える場所になってくれることを願って。

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