「ジャグリング論集」販売中
どうも、じんです。
宣言通り、「ジャグリング論集」を書きました。そしてそれが『ピンクの猫』から発行され販売されています。
2019/09/07の神戸でのイベント、ジャグリングマーケット(略称「ジャグマ」)2019で初めて公開し、販売開始をしたものです。ジャグマの感想はこちら。
このnoteでは、「ジャグリング論集」とは何なのかという説明と、宣伝、そして簡単なまとめ解説をします。前提となる「『ピンクの猫』とは何か」という話は、別のnoteで書いています。
ジャグリング論集とは何なのか
「ジャグリング論集」とは、ジャグリングの基礎文献である。
ジャグリングには、基礎文献がない。入門書がない、と言ってもいい。
ナランハが18年前に初版を出版した『ボールジャグリング入門』は、ボールジャグリング(ボールを用いたトスジャグリング)の技の習得の基本書ではあるかもしれないが、「ジャグリング入門の手がかり」としては入口が狭いし、偏っている。
『ボールジャグリング入門』は一番初めに3つのボールでの「カスケード」という技が載せられている。言うまでもなく、「カスケード」はボールジャグリングにおけるある一つの技であり、他にも多様な技がある。カスケードを入口にしなければならない理由はない。
ボールジャグリング(【ボール×トス】mani-tech)もジャグリングにおけるある一つの分野であるし、さらに言えば「技を習得する」というのも、ある一つのジャグリング活動でしかない。
では、そのような「a juggling/ある一つのジャグリング」ではない「juggling/ジャグリング」を考えるとき、そのようなジャグリングの入門の手がかりはどこにあるのか?
ジャグリングの世界に入るのに、別に入口はどこからでもいいのだ。『ボールジャグリング入門』から入っても、お手玉から入っても、大学のジャグリングサークルから入っても、シルク・ドゥ・ソレイユから入っても。
ただ、重要なのは、ジャグリングという土地に足を踏み入れたとき、地図がなければ“ここ”がジャグリングというフィールドのどこに位置しているのかが分からないままであるということだ。我々はどこから来てもいいが、我々はどこにいて、我々はどこへ行くのか。「前」はどっちだ?
現在、ジャグリングという土地にいる人達の目指す目的地がそれぞれ異なっているということは確かだろう。ジャグリングにおいて何が価値あるものであって、どこが目的地で、「前」はどっちなのか、というのは〈あなた〉達/〈私〉達それぞれで決めなければいけない。
「ジャグリング論集」はそのときの地図として有用である。「ジャグリング論集」は、非常に解像度は粗いが、ジャグリングについての地図、ジャグリングの価値についての地図である。
本書はあなたに「次に何の技を習得すべきか」は教えてはくれないが、もっと基礎的な部分の道標になってくれる。少なくとも、あなたはジャグリングという土地の一地点に立っていて、あなたのジャグリング以外に周りの土地に何があるのかということを明らかにする。
商品の宣伝!
さて、「ジャグリング論集」の宣伝についてですが、PDFデータでの販売となっています。計105ページ(約1.6MB)の文章です。内容については後で語るとして、ショップページから購入手続きについてここでは説明します。
まず、ショップページに飛んでもらうと、「BOOTH」というネットショップサイトの『ピンクの猫』のページに飛びます。(利用にはpixivのアカウントが必要になります。)
商品が二つあると思いますが、一つは500円で販売している商品です。
もう一つは無料見本で、論集の最初の部分である目次と第零章(論集の8ページまで)を無料で公開しています。無料で誰でもダウンロードできるので、これをまず見てもらって、買うかどうかをさらに判断してもらえればと思います。
「ジャグリング論集」ですが、一冊500円(税込)です。BOOTHにはブースト機能というのもあるんですがそれはいいとして。
カートに入れて決済手続きをお願いします。Paypal,クレジットカード,楽天ペイ,ATM・ネットバンク振込,コンビニ支払いなどのお支払い方法が選べます。(場合によっては支払い手数料がかかるので注意してください。)
お支払い頂くと、ダウンロードリンクが送られてくるので、そこからPDFデータがダウンロードできます。
値段設定ですが、何とも言えません。格安だとも言えないし高いとも言えないので多分妥当です。この論集の発行は『ピンクの猫』の広報活動の一環でもあるので無料という可能性もあったんですが、さすがに量を書きすぎたのでこのお値段です。
頂いた分は『ピンクの猫』の活動に当てられたり、僕のチョコレート代に当てられたりします。
お金よりも重要なことなんですが、『ピンクの猫』として活動したいとか、活動に興味がありますという方がいれば、商品を買っていてもいなくても、是非メッセージをください。
また、論集を買って頂いた方で感想や書評や何かコメントがあればメッセージやメールを送ってやってください。
じんのTwitterか『ピンクの猫』のGmail(pincat.neow@)へどうぞ。
どんな人にオススメかというと、大学生~のジャグラーを念頭に置いています。別に高校生でもいいんですが、ジャグリングを始めていて、ジャグリングについて考え始めている人達に有用な本だと思います。
それ以外にも、ジャグリングをすることに飽き始めたジャグラーや、ジャグリングをしないけどジャグリングの価値について考えたいという人にもオススメです。ですから、手品や演劇といった「パフォーマンス」の価値を考えようとしている人にも比較対象として読んでもらえれば嬉しいです。
あと、Twitterでの議論にもなってないような言説垂れ流す奴らは全員読め。
目次
「ジャグリング論集――ジャグリングを分析美学する」という題をつけている商品の内容をもう少し詳しく、しかし簡単に解説したいと思います。
目次は以下のようになっています。
第零部 p5-8
○『ピンクの猫』について
○本書の使い方
第一部 「ジャグリングとは何か」 p9-40
第一章 「ジャグリング」とは何か
第二章 技術としてのジャグリング
○「mani-tech」(マニテク)
第三章 「ジャグラー」という部族
○「ジャグリング的態度」
第四章 運動としてのジャグリング
○「行為/動作二分論」
○「運動媒体としてのジャグリング」
第五章 作品としてのジャグリング
○「作品」 product/works/a format
○「芸術形式としてのジャグリング」
第六章 カテゴリーとしてのジャグリング
第七章 「ジャグリングとは何か」に対する回答例への意見
第二部 「ジャグリングの価値とは何か」 p41-85
第一章 「ジャグリング」の価値とは何か
○「内在的価値」と「道具的価値」
○価値づけの主観的・客観的アプローチ
第二章 「技術としてのジャグリング」の価値
○「新しさ」/「唯一性」
○「達成性」
○「難しさ」
第三章 「運動としてのジャグリング」の価値
○「技術の現れとしての運動」説
○運動における「表れ」
○運動の「意味」
○「運動媒体としてのジャグリング」の価値
第四章 「作品としてのジャグリング」の価値
○「表現」 representation/expression
○「素材」、「媒体」、「形式」
○「パフォーマンス」の価値
○「画」における「視覚的『美』」
○「フロー/Flow」
○ジャグリングの「内容」
○「構成」
第五章 価値カテゴリーとしてのジャグリング
巻末注 p86-95
引用文献・参考文献一覧 p96-104
内容のまとめ解説
第零章(p5-8)は本論集の位置づけを述べています。無料見本で確認できるので飛ばします。
第一部(p9-40)は全七章構成で、「ジャグリング」とは何かという問いに答えています。
大きく分けて、「ジャグリング」とは「技術」なのだ、「態度」なのだ、「運動」なのだ、「作品」なのだ、といういくつかの区分に切り分けて、そのそれぞれの概念を詳しく説明しています。それが第二章、第三章、第四章、第五章に相当します。
第六章では、以上の様々な「ジャグリング」を一つのくくりとして「ジャグリング」と呼ぶことの意味を考えています。
第七章では、これまでのジャグリングの定義論争で出てきている意見に対して私見を述べています。
第二部(p41-85)は、全五章構成で、「ジャグリングの価値」とは何かに答えようとしています。もっともこれは基礎文献であり、その答えに至らず、その手前の分析のための概念を示してそこで終わっている箇所も多くあります。
第一章でまず『ピンクの猫』が論じる価値の領域を限定して明らかにし、アプローチの方法を立てています。
そして第二章が「技術」、第三章が「運動」、第四章が「作品」について論じる章立てになっています。
第五章は「ジャグリングの価値」という“特有の”価値はあるのか?という問いを示唆していますが、この問いへの答えはなされないまま課題として残して終わっています。
注・参考文献の記述にも力を入れています。読者による後続の研究の手がかりとなることでしょう。
以上、じんでした。
ここ半年間の『ピンクの猫』の活動の軌跡ですので、どうぞ手にとってやってください。