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フィンテック企業として、ストックオプションに込めた思い
株式会社Handiiの社長をやっている柳(りゅう)です。
株式会社Handiiは、VISAで使える法人カードを何枚でも発行できるウォレットサービス「paild」を作っているフィンテックスタートアップです。
今回は、初期に高い報酬を支払えないスタートアップが、従業員へのインセンティブとしてよく用いるストックオプションにおける、業界スタンダードへの問題意識と、それを解消したHandiiの制度について書きました。
死んでも守り切りたい哲学
Handiiは金融サービスを提供するフィンテック企業です。お金を扱う会社をだからこそ、一つだけ死んでも守り切りたい哲学があります。
それは、「お金を扱う時に絶対に不誠実な対応をしない」ということです。
ステークホルダーすべてにおいてそう考えていますが、今回は従業員にフォーカスします。
ストックオプションは、大きなインセンティブを生む可能性がある一方で、経営側と従業員の間でトラブルが多いことも事実です。
これは、設計側、つまり経営陣に何らかの事情や目論見があったとしても、その詳細や設計の背景は明らかにされず、ほとんどの場合、従業員にとっては不条理な条件のもとに作られる報酬制度だからです。
私は、事業が成功するかもわからない初期に、人生の一部を賭けて貢献してくれた従業員には、その貢献に対して相応の報いをしたいと考えています。
この制度にコミットする意味も込めて、弊社のストックオプションに関する取り組みと考え方についてご紹介します。
なぜ企業がストックオプションを従業員に発行するのか?
ストックオプションは、会社の株式の価値が高まった時に、キャピタルゲイン(売買差額)によって、従業員が金銭を得るためのスキームです。
逆に言うと、会社としては「会社の価値を高めるために一緒に頑張ろう!」というのがこのスキームのメッセージです。
スタートアップのストックオプション制度に対する問題意識
しかし、スタートアップでよく見られるストックオプションの設計は、このメッセージと合致していないケースがよく見受けられます。
「株式の価値が高まった時に従業員が金銭を得るため」と書きましたが、スタートアップのストックオプション制度には、例えば、M&Aの際に行使できないような設計が採用されるなど「言っている事とやっている事が違うのでは?」と思う事がよくあります。
ストックオプションの契約書は、プロが読めばよくわかりますが、多くの従業員はこれを理解せずにハンコを押しているのではないでしょうか?
M&Aは一例に過ぎませんが、こんな大事なことを読み飛ばしてしまいそうなほどサラリと書いておく、ないしはそういった設計にするのはとてもズルイと思っています(怒)。
さらに、入社する時にストックオプションのシュミレーションを提示したりして期待値を上げているのに、実際には配布されなかった、個数を減らされたなど、倫理的な問題も散見されます(激怒)。
Handiiのストックオプション制度
弊社では、上場時はもちろんのことM&Aが生じた際にも行使できるようなストックオプションの設計にしています。将来的に上場を目指していますが、何があってもきちんと努力が報われるような設計です。
具体的には
新株予約権の行使の条件
v. 株式の発行又は譲渡、組織再編その他の取引で会社が当事者又は対象会社となる取引であり、かかる取引が実行された後において譲受人たる他社が会社の総株主の議決権の過半数(その関係会社(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則第8条第3項に定める子会社及び同規則第8条第5項に定める関連会社をいう。)又は親族が保有する分を含む。)を取得することとなる取引がなされる場合であって、当該取引に法令上又は会社の定款上必要な会社の株主総会その他の機関の承認の決議又は決定が行われた日以降、30日間(但し、当該取引の効力発生日の前日までの間に限る。)は、他の新株予約権の行使の条件を充足していることを条件に、全ての新株予約権を行使することができるものとする。
と明文化しています。
また、ストックオプションの条項によく入っている上場後一定期間権利行使できない、いわゆるべスティングは弊社は設定していません。
べスティング期間終了後に退職するという話をよく聞きますが、それで良いと思っています。時間は誰にとっても有限なので、金銭や制度に縛られる事なく、自由に職業選択をしてほしいのです。
継続して一緒に働いてくれれば勿論嬉しいですが、少なくとも上場した時点で、それまでの貢献の対価としての報酬は付与したいと考えています。
ストックオプションの付与方針
弊社では入社時に必ずストックオプションを配布しています。
これは、内定通知書にも明記しています。
初期に入社することは、会社の基盤を作る上で極めて重要な責務と役割を担うことを意味し、今後の会社の成長を決定づけると考え、それを果たしてくれると信じているからです。
また、従業員には、毎年査定を行い、パフォーマンスに応じてストックオプションを追加で発行しています。
最後に
会社の制度設計と会社の平仄を合わせることは極めて重要だと思っています。こと金融出身の私は、ストックオプションには特別な思いを込め、細部にこだわって制度を作りました。
まだ小さな組織なので、他の制度は充実していないかもしれません。
これからもメンバーの声を聞きながら、制度や組織づくりにはこだわっていきたいなと考えています。
次回は、法人向けフィンテック事業の魅力について書きたいと思います。
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