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事業者視点で見た法人向けウォレットサービス「paild」事業の魅力

株式会社Handiiの社長をやっている柳(りゅう)です。

Handiiは、VISAで使える法人カードを何枚でも発行できるウォレットサービス「paild」を作るFinTech領域のスタートアップです。

「FinTech」という造語が生まれて何年か経ち、企業向けのサービスも少しずつ広がりを見せています。弊社もそこに注力している企業の一つです。

今回は、事業者視点で見た法人向けウォレットサービス「paild」事業の魅力について説明していきたいと思います。

法人向けウォレットサービス「paild」とは

弊社は、VISA加盟店で使える法人カードを、いつでも何枚でも発行できる法人向けプリペイド式ウォレットサービス「paild」の開発を行っています。paildは、管理者がウェブの管理画面からカードの発行や利用上限金額の設定などが簡単に行える、全く新しいタイプの法人カードです。

どんなことに魅力を感じて、このサービスをやっているのか、紹介していきたいと思います!

企業にはお金にまつわる課題が山積み

「お金を使う」というたったそれだけのシンプルな行動でも、個人とは違い、企業には解決されていないディープな課題があります。それらはともすると、今まで甘んじて受け入れてざるを得なかった慣習かもしれません。

でも、諦めてはいけません!きちんと知恵を出せば解決できるのです!

スタートアップの醍醐味は、やはり非合理な問題にゼロベースで、根本から「おかしくない?」「もっとこうした方が良くない?」と問題提起して、それに向けて最速で行動できることだと思っています。

企業はお金があっても決済できない!?

企業では自社の銀行口座に残高があっても決済ができないことがあるのを知っていますか?
実は、法人クレジットカードの限度額は非常に低いケースがあるのです。
私も、会社を設立した直後に作成した法人カードの限度額は月30万円で、私個人のカードよりも低い限度額でした。

なぜか?

現在、日本では「人生100年時代」と呼ばれるように、人が100年生きることが当たり前の世界が到来しつつあります。しかし、企業の中で100年も続いた会社はほとんどありません。「企業は人よりも寿命が短い」というために、資金の返済力を測る法人クレジットカードでは限度額が個人向けのものに比べて相対的に低くなってしまうのです。

法人クレジットカードは限度額までしか決済できない一方で、法人カードの利用シーンは増え続けています。例えば法人カードをよく使うBtoBのECのマーケットは、足元で着実に拡大しています。

BtoB-EC市場規模の推移

画像2出所:経済産業省「2018年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電⼦商取引に関する市場調査)」

今まさに、カード決済総額に与信金額が追いつかない世界が到来しつつあります。そして、クレジット部分を切り離し、好きなだけ決済を実行させる新しいサービスが求められています。だから「paild」が必要だと考えています。

画像3

企業は経済活動を記録するために膨大な時間的コストを払っている

企業は利益に対し法人税を課されるにあたって、売上や費用が適法であることを証明するために証憑を保存し、帳簿に記帳する必要があります。この作業に全従業員が膨大な時間を奪われています。

その最たる例が「経費精算」です。要するに何を何のために購買したのかを正確に記録できれば良いわけですから、全従業員が参加して膨大な時間を使うことが必要とされているわけではありません。

ここでテクノロジーを活用する余地があります。テクノロジーの力でもっとシンプルでユーザーに負担をかけないプロセスを構築することは十分可能だと考えています。

例えば、「経費精算」領域であれば、決済が行われた際に、レシートに相当する情報が電子的にシステムに連携されれば、データを従業員がシステムに入力しレシートを添付して「経費申請を上げる」という処理自体を自動化することは技術的に可能です。そうした未来は近い将来やってくると考えています。

実際には、レシートの紙での保存を基本とした日本においては、税法上まだ難しい仕組みです。インフラも整っていません。しかし、税制調査会でもそのような未来を目指した検討が始まっています。

20190827_税制調査会出所:2019年8月27日納税環境整備に関する専門家会合資料

まだ議論は始まったばかりで、具体的に実施するとなるとハードルもあると思われますが、少子高齢化が進行し、社会全体の生産性を上げていかなければ行かない今日の日本においてはとても正しい方向性だと思っています。

他方で、経理の役割はどうなっていくのか?今まで時間の多くを割いていた経費精算などの単純作業から解放され、帳簿を使った経営状況の精査や財務戦略の立案など、一歩先を行く作業によりリソースを割けるようになると考えています。

お金を使った際に、必要な情報がきちんと連携され、保存されるというプロセスが自動化される未来に向けて、「paild」が役立てることはたくさんあると思っています。

多くの顧客と協力しながら、お金に関連する業務のベストプラクティスを作っていく

paildは今年の6月末に事前登録を始めて以降、幸運なことに、多くの登録企業様に恵まれました。

登録いただいた企業様とお話しする中で、各社が事業の成長に向けて多様な課題を感じていて「paildにはこうあって欲しい」というご意見もたくさんお聞きする事ができました。
一部のご登録いただいた企業様にはインタビューも実施し、公開させていただいています。

ご意見を聞いて感じるのは、企業が「お金を使う」というシンプルな行動をしているだけなのにも関わらず、各社がそれぞれ課題を感じ、それぞれ多様な解決策を模索されているということです。

つまり、企業が「お金を使う」という行動を起こす際の業務はまだベストプラクティスが定まっていないのです。

このように、煩雑な手続きが多い一方で、多くの企業様に使っていただける企業向けFinTech事業は、業界のスタンダードを作っていくチャンスだと考えています。

我々だけでサービスを作るのではなく、ユーザーの皆さまと向き合いながら、一緒にサービスを作り、「お金を使う」ということについてのベストプラクティスを作っていきたいです。

金はかかるが社会に与えるインパクトがでかい!

最後に少しだけ市場のお話です。

とにかく金融サービスを提供するには入念な準備が必要です。故に、お金もかなりかかります。だからこそ、社会的なインパクトも大きいと信じています。私たちがカード事業から始めるのは、そこに大きなチャンスを感じるからです。

日本でのBtoBの決済は年間900兆円程度と言われています。これはBtoC決済とCtoC決済が、合わせて年間300兆円であることと比較すると大きさがよりわかります。

現在、消費者向けのキャッシュレス化がトレンドになっていますが、BtoB決済のカード決済比率はなんと0.2%しかありません(ちなみに米国は5%)。

消費者がキャッシュレス化するのに、同じ世界で事業を営む企業がキャッシュレス化しないわけがありません。我々はpaildを通じて、世の中の変化に応じて、新しい金融の在り方を切り開いていきたいと考えています。


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