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Talk | Internet Computer: Tokenomics (Dominic Williams) [動画の和訳]

みなさんこんにちは。

今回のトークでは、インターネット・コンピューターのブロックチェーンのトーケノミクス(トークン経済圏)を見ていきます。それではまず、ネットワークがどのように価値づけを行っているのか見ていきましょう。

インターネット・コンピューターには、実際にICPとCyclesという2つのネイティブトークンが存在しています。

ICPはネットワークのマスターガバナンスユーティリティトークンであり、ガバナンスへの参加に使用でき、Cyclesを生み出す源となっています。

一方、Cyclesは、燃料の役割を持っており、計算処理に力を発揮します。
また、長期的に一定の価値を持つ(ステーブルな)ものであり、価値が自然に変動するICPとは対照的です。

では、Genesisの時点で、これらのトークンはどのくらい存在しているのでしょうか。

469,213,710のICPが存在し、そのうち約32%が流動性を持っています。

Cycleを作るにはICPが必要ですが、Cyclesは未だ存在していません(2021年5月13日時点)。そしてそれは「Genesis」の段階まで利用できません。

ICPはとても重要になりますので、「新しいICPはどのようにして生成されるのか」というのが最初の問いになります。

Network Nervous System(NNS)では、ネットワークを支える様々な役割への報酬として新しいICPトークンをミント(鋳造)します。
投票ニューロンの運営者にはVoting(投票)報酬、正常に機能しているノードマシンの運営者にはノード報酬という形で報酬を与えています。

Reward(報酬)の計算方法はそれぞれで異なります。

毎日、一定額のニューロン報酬が、関連するニューロンによるクレーム(請求)の割合に応じて、ニューロン間で共有されます。
年率換算で、ニューロン報酬(総額)はICP供給量の10%から始まって(Genesis時点)、8年後には5%まで下がります。

対照的に、正常に機能しているノードマシンは、キャッシュ(FIAT)ベースの支払いを受けます。つまり、キャッシュ(Fiat)で定義された毎月の報酬を、ICPの価格で単純に割り、ICPの分配数量が決定します。

これは、ノード事業者には、ホスティングコストや機器の減価償却費など、比較的固定的な経常費用があるためです。

さて、ICPの供給量が増えるばかりでは、長期的には(ICPトークンの)価値が下がってしまいます。(増えた)ICPトークンはどのように消滅していくのでしょうか。

ICPはNetwork Nervous System(NNS)によってCyclesに変換されることで消費され消滅しますが、この変換は変動レートで行われます。国際通貨基金(IMF)が作成した理論上の通貨単位であるSDR、このSDR 1単位と等しいICP(の数量)が、ちょうど1兆Cycleになります。(1 SDR = xxx ICP = 1,000,000,000,000 Cycles)

おそらく次の疑問は、一体何がICPの需要を生み出すのかということでしょう。

この(需要を生み出すための)役割を果たすネットワークの側面はいくつかあります。

第一に、計算処理がICPの需要を生み出します。
その理由を理解するために、「計算処理のための燃料として使用されるCyclesは、キャニスター・スマートコントラクトに事前に充電(充当)されていなければならない」ということを知る必要があります。
それはつまり、例えば、ウェブ上でユーザーとの対話を行う場合、キャニスター・スマートコントラクトを実行したい人は、間接的にICPを取得する必要があるということです。
まず、誰かがICPを購入しなければなりませんが、これは(仮想通貨の)取引所で行われるかもしれません。
次に、Network Nervous Systems(NNS)を利用し、そのICPをCyclesに変換しなければなりません。
最後に、彼らは自分のキャニスターにCyclesを充電し、それをバーン(燃焼)させて計算処理を行うことができます。
これにより、比較的予測可能な(タイプの)需要要因が生まれます。

ネットワーク上で実行される計算処理が多ければ多いほど、ICPの需要は高まります。

しかし、需要を生み出すものは他にもあります。

分散型の金融システム(DeFi)も需要を喚起します。

その理由を理解するには、「分散型金融システムが最大の効果を発揮するには、一定の価値を持つトークン(ステーブルコイン)が必要であること」を知ることが重要です。
例えば、誰かがICPを借りて、もしその価値が2倍になったとしたら、貸した額の2倍以上を返さなければならないことになり、それでは(貸し出し元にとっては)意味を成しません。

貨幣の役割は「勘定科目」「交換手段」「価値の保存」の3つです。
ノーベル経済学賞を受賞したフリードリッヒ・ハイエクの名著『貨幣の脱国営化』では、「最も効果的に機能する通貨とは、すなわち「最も安定した」通貨であり、それによって最初の2つの役割を最もよく果たすことができる」と主張しています。

さて、ご存じのように、Cyclesは長期的に一定の価値を持つように設計されています。
ユーロ、日本円、英国ポンド、米国ドルのFIATのバスケットから、IMFが作成した理論上の通貨である1SDR(=約1ドル44セント)を購入すれば、常に1兆Cyclesを入手することができます。

インターネット・コンピューター・ネットワーク上で計算処理が行われているため、Cyclesは時間が経つと必ず一定の最大値に戻ります。
例えば、ある金融業者が余剰となったCyclesを廃棄(売却)した結果、その価格が1SDRから0.96SDRに下落したとします。
その瞬間、この余剰Cyclesの方が安いので、誰もNetwork Nervous System(NNS)を使ってICPをCyclesに変換しようとはしなくなります。この余剰Cyclesは、インターネット・コンピューター上でスマートコントラクトの計算に燃料を供給する必要がある人たちが購入し、最終的にはすべての(安価で買われた)余剰Cyclesが燃やされて、Cyclesの価格が1SDR=1兆円に戻ることになります。
これは、ブロックチェーンが計算を利用して一定の価値を保つトークンを作った初めての例です。

(さらに)凄いのは、インターネット・コンピューターで実行されている計算量が増えれば増えるほど、このCyclesの価格を通常に戻す力も大きくなっていくということです。
DeFiのスマートコントラクトが最大の効果を発揮するには、Cyclesなどの安定したトークンを処理する必要がありますが、それはつまり、インターネット・コンピューター上で実行されているDeFiの数が多ければ多いほど、(Cyclesの需要が高まり、)ICPの需要が高まるということです。

もちろん、それだけではありません。

ニューロン・ステーキングの実行もICPの需要を生み出します。
簡単に言えば、Network Nervous Systems(NNS)内にICPをステーキングすることで、ユーザーは自分のICPをしばらくの間移動できないようにする(ロックする)代わりに、Voting(投票)報酬を得ることができるのです。

ICPに対する一般的な信頼が高まると、Voting(投票)報酬を得るために「ネットワーク・ナーバス・システム」にICPをステークしたいと思う人が増えるでしょう。

では、これにて終了です。
ご静聴ありがとうございました。

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