岡田印刷訪問記②
ザコウジです。あけましておめでとうございます。
年末年始、仕事を離れて実家近くの神社を訪問したり、友人たちとインドカレーを作ったり、息子の漫画を奪って夜な夜な読み漁ったりして、自分を取り戻しました。
改めて訪問記の後半を書きたいと思いますが、最初に私の「地元」である佐久について、少しだけ書きたくなったのでお付き合いください。
ザコウジの地元の話
私は長野県の佐久地域に住んで、およそ12年になります。途中、タイやインドなどに住んでいたこともありますが、佐久は第二の故郷であり、私にとって「地元」といって思い出すのはいつも佐久。
青く高い空、美しい八ヶ岳、豊かな食など、魅力をあげ始めればきりがありませんが、大きな理由の一つに、たくさんの魅力的な人たちがいます。この土地で生活を営む人たちの暮らしはどれも美しく、愛おしく、自分が迷ったときや苦しいときに、地域の友人たちの姿や彼らとの関わりに何度も助けられました。
ふと周りを見渡してみると、友人の多くが農家さんでした。もともとこの地域は農業が盛んな地域であることも関係しているかもしれませんが、それ以上に、「何かを生み出せる」ことに圧倒的に魅力を感じていたのかもしれません。
地元のギフトにも出品している友人の農家さんは、いつも学ぶ姿勢を忘れず、それでいて集積した経験や知識を共有することをいとわず、その魅力にひかれて弟子入りする人が後を絶ちません。私の息子も一時期畑でお手伝いさせていただきました。(バイト代はとれたて野菜!)
いつもとれたての高原野菜をおすそ分けしてくださる農家さんや、「究極のクリエイトは農業だ!」と農家に転身した元広告業界のトマト農家さん、チーズを作ってみたいといったら大量の牛乳を分けてくれた酪農家さんに、元DJ兼元板前(修業)の落語好きな米農家さん。
みんな生き生きと毎日土を踏みしめ、農産物を生産しています。何かを生み出せるって本当にすごい。
農家さん以外でも、10年以上変わらぬ美味しいパンを作り続ける大好きなパン屋さんや、店作りから一緒にやらせてもらった思い入れのあるごはん屋さん、商売っ気のない店主がいるコーヒー豆屋さん・・・私が地元のギフトをつくるとしたらラインナップに入れたいあの人もこの人も、なにかを作り出すエネルギーに満ちた人たちの顔がたくさん思い浮かびます。
もちろん会社で様々な地域のつくり手さんのお話を伺うことは、新たな発見があり、とても楽しい仕事です。それまで灯っていなかった灯りが、お話を伺ったつくり手さんを起点に、一つ、また一つと灯っていくよう。取材をさせていただいた商品は知らず知らずにスーパーで探していたり、取材で伺った知識を元に商品を選んだり。日本中の「地元」が少しずつ身近になっていくような気がします。
それでも!
私が愛する、私が住むこの佐久地域への想いは、やはりどうしたって大きいのです。
これはそのまま、他の地域にも当てはまるのではないでしょうか。
地元のつくり手さんと、翔(つばさ)さん
「地元おかざきのギフト」に出品してくださった池田屋さんは、こんにゃくとところてんを作り続けて140年。良いものをしっかり売っていきたいという長坂さんご夫婦が、なぜ「地元おかざきのギフト」に出品してくださったのか伺いました。
「やっぱり翔くんだったからこそだよね。翔くんだったから、普通の話を普通にしてしまったし、翔くんだったからここまで来れたんだと思ってます。」
翔さんにとって、長坂さんの息子さんは学校の後輩にあたり、お父さん同士は20年来の付き合いがあります。単なる取引先の担当者という関係を超えた関係性があったからこそ、だったのですね。
「長野県から地元カンパニーさんがきて突然話をされたとしても、申し訳ないけどこんな風にすぐに引き受けなかったかもしれない。」
出品にあたって、経営者仲間の息子という絶妙な立場の翔さんが取材に同席してくれたことで、長坂さんにとっては新たな発見もありました。
「息子と商売の話をしたことはなかったけど、今回のことをきっかけに息子世代の翔くんと話をする機会を貰えたのは大きかったですね。潜在的に考えていたことを言葉にできたり、普段考えたことがなかったことを考えるきっかけになりました。」
最後に複雑な心境もお話してくれた長坂さん。
「こんにゃく業界は、近年の食生活の変化もあり、あまり勢いのある業界とは言えなくなってきています。現代のニーズを捉えた新しい商品の開発を進めてはいるものの、今のような状況ではなかなか後を継いで欲しいとは言えず、かといってこのまま池田屋をつぶしてしまっていいのか、という思いもあるんです。」
すると黙っていられなくなったのが弊社代表の児玉さん。何を隠そう、児玉さんはアスパラ農家の長男として生まれ、東京で就職した後も実家や地元への想いを無視できずに地元カンパニーを立ち上げたのです。
※参照:児玉社長がバグってる
「自分も農家のセガレなんで分かるんですけど、絶対に息子さんも何か感じてるし、言わないだけでちゃんと考えていますよ!」
帰る間際、玄関先で急に熱く語り出した児玉さんに、長坂さん夫婦が少しだけ嬉しそうな顔をしていたような気がしました。
岡田印刷の翔さんだからこそ出来た「地元おかざきのギフト」をきっかけに、様々なところで少しずつ波紋が広がる小さな変化の物語が、実は何よりもかけがえのない結果なのかもしれません。
岡崎の、岡崎による、岡崎のためのギフト
「地元おかざきのギフト」の制作に協力してくださった岡崎市観光協会さんは、新型コロナの影響で方向転換を余儀なくされた岡崎市の産品のプロモーションを、「地元おかざきのギフト」にのせました。地元の魅力を再発見し、地元を離れた人も含めて地元愛を深める効果を狙っています。
「地元おかざきのギフトを一緒に作る中で、地元の人とネットワークができたことが何より良かったことですね。これまで表面的にしか関われなかった部分にも、中に入りこんで深い部分で関わることができるようになったのは喜びです。岡田印刷さんがどんどん推進してくださったので助かりました。」
他の地域では例がない中で「地元おかざきのギフト」に出品してくださった生産者のみなさんも、協力してくださった岡崎市観光協会のみなさんも、このギフトをつくろうとしたのが地域の人だったからこそ、この地域の未来のために貢献できると信じて手を上げてくださったのです。
私が長年愛着を持って住んできた"地元"に、血の通った関係がたくさんあるように、岡崎には岡崎の人にしかわからない温かな関係があり、だからこそ「地元おかざきのギフト」は沢山の人が協力してくださり、そしてこれからもたくさんの人に利用していただくのでしょう。
だから、それぞれの地域のギフトは、地域のプレーヤーが、地域を巻き込んで、地域の歴史をくんで、地域の未来のために作るほうが、絶対にいいと個人的には思います。
私にとって初めての宿泊出張だった今回の岡崎訪問ですが、地域の方々の緩やかであたたかな関係性は、自分の地域生活をあらためて振り返ることに繋がりました。
地域の、地域による、地域のためのギフト
温度感のある地域のギフトをつくっていくべく、地域の地域による地域のためのカタログギフトプロジェクトを全国に展開していくのが、名前の中に地元(ジモト)がある、藤本(フ・ジモト)くんです。
藤本くんの地元は香川県。学校帰りに毎日うどんを食べ、年越しはそばではなくうどんを食べる、うどんを全身にまとった人物。あと、夫婦揃って牛乳が大好きなので毎日のご飯は牛乳に合うメニューかどうかで決まるそう。
ただ、進学・就職と地元を離れてしまい、うどん以外で大好きな地元への想いをどう昇華させればいいのかわからずにいるそうです。
岡田印刷の翔さんや、ギフトに携わってくれた方々とお会いして、その土地土地の人が、いろんな想いを抱えて生きている、その営みを感じられたことは大きな収穫だったと語る藤本くん。
翔さんや地元おかざきのギフトの関係者のみなさんのように、熱く地元のために動く姿に感銘を受ける一方で、「地元」って一体何なんだろう…という問いへの答えはまだまだ模索中。
もっといろいろな地域の営みを知りたい、いろんな「地元」に触れてみたい。
この地域の地域による地域のためのカタログギフトプロジェクトをすすめることで、「地元ってなんだっけ?」という問の答えに少しでも近づきたい、そして大好きな地元との関わりを考えたい、と意気込んでいます。
そんな藤本くんは、地方の印刷会社さんとタッグをくんで、3年後には25地域のカタログギフトを流通させていきます。
「地元おかざきのギフト」に続く地方のギフトを作りたい我こそはという印刷会社さん、ご連絡お待ちしています!(fujimoto@jimo.co.jpまで!)
藤本くんと一緒に様々な地域の営みを感じつつ、「地元とは」の探求を楽しみたい入社希望のみなさんも、お待ちしています!(現在このプロジェクトのチームは藤本くん1名…)
※ご応募はこちらから▼
https://www.jimo.co.jp/recruit/top/
岡崎のみなさんに感謝と敬意をこめて、岡崎に続く地域のカタログギフトをどんどん送り出していきますよー!
頑張れ藤本くん!
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