「熱環境リフォーム」で冬の快適さはここまで改善できる
光熱費削減や、ヒートショック・熱中症予防の観点から、寒さ・暑さの温度差を感じない快適に暮らせる高断熱住宅の必要性がうたわれています。
書籍『人生を変える住まいと健康のリノベーション』では、住宅の断熱性能を向上させると健康にどうつながっていくのか、「熱環境リフォーム」の提案者 甲斐徹郎さんと、「熱環境×健康長寿」の研究者 星旦二さんが解説しています。
1章につづき、2章は著者の甲斐さんが初めて高断熱住宅を訪問して衝撃を受けた話、冬の快適さを高めるための話などの紹介です。
2章 「熱環境リフォーム」で冬の快適さはここまで改善できる
冬の快適さに大きく影響するのは、住宅の「断熱性能」と「気密性能」。断熱性能と気密性能を高めると、誰もが驚くほど快適な住まいができあがります。「誰もが驚くほど」とはどの程度の驚きなのか。まずは、性能にこだわった住宅の「すごさ」に驚かれた甲斐さんの体験談を紹介します。
1990年代、甲斐さんはコンサルティング会社にお勤めされ、住宅の窓ガラスや断熱材を扱う建材メーカーの仕事を担当していました。その仕事を通じて、「高断熱・高気密という工法で、すごい住宅をつくる技術がある」という話を、いろいろなところで耳にするように。
ほどなく、高断熱・高気密住宅を施工している工務店の経営者から「とにかく一度来てみないか」と誘われモデルハウスに体験宿泊することになりました。そして、大げさではなく衝撃的な体験をすることになるのです。
訪問したのは真冬の寒い日。普通なら寒くて仕方がないような、吹き抜けの広いホールがある開放的な間取りでも、寒さを全く感じられなかったそうです。暖房は、各窓際の温水パネルヒーターだけ。ここでの体験は、それまで抱いていた「快適さ」という概念を一新させるものでした。
それは、「暖かい」と感じるのとは次元が異なる、「寒くない」という感覚です。
こうした環境に身を置いたことがなかった甲斐さんにとって、それは「快適さ」に対する価値観を一変させるほどの衝撃な体験でした。
多くの人はそもそも「自分の家は快適ではない」とは思っていません。それにはおそらく2つの理由があります。ひとつは、「快・不快」という感覚は、日々の暮らしにおける習慣に基づいて意識されるから。そしてもうひとつは―――。
快適な住空間にするためには、自宅の断熱性能の課題をみつける必要があります。2章では、自宅の熱環境レベルの自己診断をすすめています。
さらに気密性能の測定や窓面の性能アップなど、熱環境リフォームで行う冬の寒さ改善の方法や、断熱豆知識の話が続きます。また、窓面の改修を行ったリフォーム実例では、完成した後の光熱費の削減や、結露がなくなり快適さが上がった住まい手の声も。
2章のポイント
リビングの足元と天井付近の上下温度差が大きい。朝起きたときにリビングが冷えきっている。窓面の温度が低く結露している。これらはすべて住まいの断熱性能および気密性能が悪いことの証し
窓面はとても熱を逃がしやすい部位。ガラスが単板だとその表面温度は外気温に近くなる。最低でも窓面の性能アップは実施すべき。費用は100~200万円程度
窓面に加え、床下と天井裏に断熱材を付加すると、より断熱効果が高まる。施工の際、各壁内部の上下の端部にグラスウールなどを詰め込んで、壁体内気流を止めると、壁面の断熱効果も高まる。総費用は300~400万円程度
家全体を本格的に高断熱・高気密化させることも可能。その場合、床、壁、天井すべてを引きはがした大掛かりなリノベーションとなり、費用も1000万円を超える規模となるが、「寒さを感じない」ような極上の快適さを実現させることができる
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