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『暮らしを広げる和のリノベーション』|地域に根ざした工務店が手がける上質な住まい_vol.3

「SO上質な日本のすまい3」に掲載の日本ならではの上質な住まいを手がける工務店事例をピックアップ。まつけんのリフォームさん(松代建設工業/長野県長野市)が手がけたのは、奥さまの祖父母から受け継いだ築50年の住まいのリノベーション。断熱・省エネ性能も高めて、小さな子どもたちものびのび暮らす住まいです。

2階中央の居室を取り払って吹抜けに。
光を取り込み開放感があるうえ、1階と2階をつなぐ役割も

光と風が通り抜ける、吹抜け土間のある家

家と田畑が入り混じる、調整区域内の既存宅地に立つA邸。リノベーションを終えた築50年の住まいは、1階のほとんどがひと目で見渡せる広い空間。中央に設けた吹抜け土間は、空間全体をつなぎながらさまざまな居場所を生み出し、光や風、北側に広がるのどかな景色を家の中に取り込んでいます。目に留まるのは、ほぞ跡の残る柱や梁。年季の入った火打や木下地とともに広い空間を引き締め、落ち着いた雰囲気を醸しながら家が経てきた年月を伝えています。

夫婦で作業できるよう、キッチンは広さを確保し、広めの作業台を設けた。
正面の扉の向こうは回遊動線上のバックヤード

「元々この家がとても好きだった」と話すのは、祖父母から受け継いだ家に暮らすご夫妻。奥さまは子どもの頃から慣れ親しみ、大人になって祖母と暮らした時期もあったと言います。住む人がいなくなりAさん家族が住むようになってからは、ご夫妻でこの家への愛着を深めてきました。とはいえ冬の寒さは凍てつくほどで、地震への不安も。間仕切りが多いため使わない部屋も多く、「大きな家の一部だけに住んでいる感覚だった」と言います。子育てしやすい環境を考えリノベーションを決断すると、既存を生かす建築を得意とするまつけんのリフォームに依頼しました。

リノベ前に居間だった場所はダイニングに。柱のほぞ跡はあえて残し、
雪見障子もそのまま活用

完成した住まいは、断熱・省エネ性能を高めた隅々まで使いきる家。使わない空間や行きにくい場所がなく、家じゅうが居場所になりました。特に目を引くのが吹抜け土間。地続きで庭とつながる土間を設けたことで、室内はもちろん外とのつながりも感じられるように。土間は作業スペースにもなることから、暮らしや遊びの幅が広がったと言います。また、既存の姿を変えることなく10帖から6帖に変更した仏間は、障子を開け放つとリビングにつながり、“毎朝手を合わせに行く場所”から“暮らしの中にある場所”に。祖父母をより身近に感じられるようになりました。不安やストレスから解消され、住むスペースが広くなったA邸。子どもたちも家じゅうを遊び場にしています。「ますますこの家が好きになった」とご夫妻。祖父母の思い出が残る家には、これからさらにご家族の思い出が刻まれていきます。

LDKの中央の土間は外部ともフラットにつながり、
気軽に外に出られる
元々は納戸だったというリビング裏手の小空間は
ご主人の書斎スペースに
昭和レトロな雰囲気の外観は、ほぼ既存のまま。
サッシの入れ替えに伴う外壁のみ補修した

施工/まつけんのリフォーム(松代建設工業)
長野県長野市青木島1-2-1
設計協力/トベアーキテクト
写真/阿部宜彦

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