夏の「暑さの犯人」と「涼しさづくり」の秘訣
光熱費削減や、ヒートショック・熱中症予防の観点から、寒さ・暑さの温度差を感じない快適に暮らせる高断熱住宅の必要性がうたわれています。
書籍『人生を変える住まいと健康のリノベーション』では、住宅の断熱性能を向上させると健康にどうつながっていくのか、「熱環境リフォーム」の提案者 甲斐徹郎さんと、「熱環境×健康長寿」の研究者 星旦二さんが解説しています。
ここでは4章の内容を紹介。「夏を涼しくする」ために必要な対策や、自宅の暑さの自己診断とその原因はなにか。そして「究極の涼しさ」のための極意について、などのお話です。
4章 夏の「暑さの犯人」と「涼しさづくり」の秘訣
住まいの工夫しだいでエアコンに頼らず快適に暮らすことは可能です。ただし「夏を涼しくする」ための方法は、「冬を暖かくする」のに比べて少し難易度が上がります。断熱性能を上げれば夏も涼しくなるかというと、そう簡単にはいかないのです。
たとえば直射日光などの熱を室内に取り入れてしまうと、断熱性能の高さが逆に排熱の邪魔をしてしまい、なかなか涼しくならないのです。「夏だから暑いのは仕方ない」と諦める前に、なぜ暑いのかを知って正しく対応すれば、夏の快適性は格段に上がります。
著者である甲斐さんのオフィスは「ヒートアイランド現象」の影響が深刻な世田谷にあります。ここで甲斐さんは、クーラーなしでどこまでできるかチャレンジを始めました。オフィスのバルコニー空間をすべてスダレで覆い、徹底した日射遮蔽を行ったり、屋上に菜園をつくったり。それらの実践を経て、天井の表面温度の上昇を知るなど、少しずつ暑さの原因に近づいていきます。
そこから、自分を取り囲む物の表面温度が高いと、体感温度に影響することに気づき、暑さの原因がわかるように。原因が特定できれば「暑さ」を改善し、「涼しさ」を意図的につくり出すことが可能になります。夏場は特に「放射」の影響が大きいため、そこに着目して対策を打つことが重要と甲斐さんは説きます。
実際に簡単な対策で効果が生まれた事例を、温度測定のグラフ等とともにわかりやすく紹介しています。
本章では、自宅の暑さを自己診断できるようにチェック項目も掲載。日射の侵入や、窓の外の熱だまり、天井の表面温度などチェックします。そのほか、さまざまな改善策や極意も紹介しながら、「クーラーよりも快適な空間」をつくりかたを解説します。
夏の暑い住まいの改善策は「暑さを入れない」ことと「暑さを遠ざけること」が基本。その先の「究極の涼しさ」を手に入れるためにはー。
続きは、ぜひ本誌で対策と極意をご覧ください。
4章のポイント
住まいを暑くする原因は、日射によって上昇した表面温度。日射が当たるとその表面温度は気温よりもはるかに高温になり、50℃を超えることもある
いったん表面温度が上がると、その熱は「蓄積」してしまう。夜暑くて寝づらい原因は、日中に室内に蓄積した熱が残っているから
周囲の表面温度が気温より2℃高いと、体感温度は1℃高くなる。とにかく表面温度が高いことが暑さの元凶
対策は、バルコニーや庭の領域を活かすこと。住居の外部に日陰領域をできるだけ広く取り、表面温度の高いものを窓面から遠ざけるようにすると効果的
植物を活用して日陰をつくると、日射が当たっても植物の葉の表面温度は蒸散作用により低く保たれるため、より涼しさを味わうことができる
詳細はぜひ本誌をご覧ください。
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