医学博士が「欠陥住宅」に住んで実感した「健康な住まい」の基本
光熱費削減や、ヒートショック・熱中症予防の観点から、寒さ・暑さの温度差を感じない快適に暮らせる高断熱住宅の必要性がうたわれています。
書籍『人生を変える住まいと健康のリノベーション』では、住宅の断熱性能を向上させると健康にどうつながっていくのか、「熱環境リフォーム」の提案者 甲斐徹郎さんと、「熱環境×健康長寿」の研究者 星旦二さんが解説しています。
そこで本誌1章より、医学博士の星さんの住まいと熱環境の実体験について語った内容を抜粋紹介します。
1章 医学博士が「欠陥住宅」に住んで実感した「健康な住まい」の基本
星先生ご夫妻が戸建て住宅を新築したのは2002年。その当時、お2人は自宅の熱環境がそれほど劣悪だとは思っていませんでした。とくに冬の寒さがひどかったということですが、それでもそのことを「冬だから寒いのは仕方がない」と受け止めていたのです。
そうした暮らしのなかで、星先生は2005年から住環境と健康との関係を明らかにする研究チームに予防医学の研究者という立場で参加することになります。この経験は、自らの住まいを熱環境という視点から客観的に見直す機会となりました。住宅の熱環境、とくに断熱性能が健康状態を大きく左右することが調査データから立証され、そうした問題意識を持つようになって自宅を見つめ直してみると、実に多くの問題をはらんでいることに初めて気づかされたのです。
その後の紆余曲折を経て、ついに自宅の熱環境リフォームに踏み切ったのが2014年。生まれ変わったわが家での実生活を通じて住宅の断熱性能の重要性を再認識し、星先生はようやく実感をもってその効果を断言できるようになりました。そして12年もの長い間、寒い住宅で我慢の生活をし続けてきたことに、リフォームの後ようやく気付いたといいます。「熱」という環境性能は「体感」という可視化しにくい領域と結びついているため、プロであっても体験を伴わなければなかなか実感できなかったのです。
新築時の「しくじり」の原因や、リノベーションに至るまでの道のり、さらにはこうした実体験から得られた研究課題など、ざっくばらんにお聞きした内容が本誌に載っています。
1章のポイント
「冬だから寒いのは仕方ない」と思っている人が多い。その自分の認識を疑うことが重要
室温が上がると健康になり長生きするという、断熱性能と健康長寿との因果関係が最新の調査研究によって明確になっている
熱環境リフォームに対する費用的な見返りは、光熱費の削減から算出すべきではなく、「命」の問題として考えるべきである
長生きすればその分もらえる年金は増える。熱環境の改善は人生に対する先行投資と考えるべきである
詳細はぜひ本誌をご覧ください。
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