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言葉にできないファッションを、言葉であえて語ること👗

こんにちは、自問自答ファッション通信あきやです🥰2冊めの書籍「一セット」の服で自分を好きになる大好評発売中っ😉読んでみてね~↓↓↓

🦫ファッションを「語る」とはなんだろう

「自問自答ファッション」は、今年で6周年です👏
「なりたい自分像」「好きなもの」「似合うもの」を言語化して、自分だけのファッション作っちゃおう!という活動を続けております。ちょっと変わったファッションの選び方ではあるのですが、やってみると奥が深くとても楽しいです。

そんな中で「なぜ、わざわざ言葉にしてからファッションを選ぶの👀?服って視覚や感覚で選ぶものでしょう?」と聞かれることも多くなってきました。

これはちょっと一言では表せないので、私の人生を振り返りつつ、この方法に行き着いた経緯を語ってみたいと思います🙏(今回、自分語りでございますぞ〜🐿️イェイイェイ)

👓そもそも、目が見えていなかった

「ファッションは言葉にできないことを服で表しているのだから、言葉で表すことは野暮だよね」なんて考え方を聞くことがあります。

聞くたびに「その通りだな〜」とも思いますし、同時に「でも、語ると面白いんだけどな〜!」なんて思ったりもします。

そもそも、この珍しい活動を始めたきっかけは「シンプルに私の視力がすっごく悪い」ことからはじまっています。しかし続けていくにつれて、たとえ目がいい方の服選びでも「ファッションの事を話すのって、すっごく面白い!」「言葉にしてみると分かりやすくなるな〜!」と、気が付いていったのです。

生まれた時から弱視だった私は、外に出ることがとても怖いと感じながら過ごしてきました。どんなに目を凝らしてみても、「星」というものが分かりません。空と海と砂浜はずっと一体化しています。猫や犬などの動物はいきなり動くので恐怖です。公園でガラスの破片の上に転んで怪我をしたこともありましたし、トラックとぶつかってしまったこともありました。(見えなかったので避けられなかった&よく生きてたな)

そんなわけで物心つくまで「世界、マジでなんも分からん」と思いながら人生を歩んできたのです。

そんな風に「外が怖い」&「世界分からん」に取り憑かれていた私は、どんどん創作物の中にのめり込んでいきます。テレビ、雑誌、本、漫画、絵画……そう、「人工物は安全」なのです。

テレビにどれだけ近づいても(目には悪いけど)命が守られている、というのがありがたかった。自然の絶妙な色彩の変化は「見えにくい」のですが、人間が作った創作物(人工物)は私にとって「見やすい」ものでした。

「目は悪いけど見るのが好き」「人間も好き」だった私は、特にファッションの世界に夢中になっていきました。テレビで見たファッションショー、雑誌の中でのファッションの世界、着せ替え人形、すべてにのめり込んでいきます。

その時によくやっていたのが、「見たファッションを言葉にすること」です🖊️

白紙のノートにびっしりと、その日にみた服の感想を書いていました。「やわらかいふわふわのスカートが出てきた」「舞踏会みたいで素敵だった」「水色とピンクが混ざり合ってわたあめみたいで可愛かった」。見たものを言葉にして型紙におこしてジェニーちゃん(着せ替え人形)の服を作るのが趣味になっていきました。

「視覚(インプット)→言語化→視覚(手芸でアウトプット)」
のサンドイッチをしていたんですね🥪
あまりに服が好きだったので見るだけでは興奮が収まらず、溢れてしまう。
それを何かに発散したい(出力したい)という気持ちがあったのだと思います。視力があやふやな分、何かで記録を取りたいと思った時には言葉を使っていました。

ファッションデザイナーになりたかった私は、高校生の時にファッションコンクールに出場してみましたが見えている人と比べられると「こりゃ無理だわい」と思い、夢をあきらめてしまいました。しかし、なんとかファッションという大きく輝かしい太陽系の周りをくるくる回れないだろうかと思い、被服学科のある大学に入ります。

🌱視力が弱い人たちの豊かなファッション

大学時代に盲学校のボランティアをした時のことです。
私とペアになった視覚障害のある女の子がたまたま「ファッション好き」さんでした。目は見えていないのですが「お洋服の話が好き」な子だったのです。数日間一緒に過ごしたのですがとても気が合い、たくさんお話ししてくれました。

「お姉さんの服はどんなの着ているの?」
「あの人はどんな服着ているの?」
そんな風にたくさん服の質問をしてくれました。

「私の今日の服は卵焼きみたいな黄色のTシャツだよ、素材は綿だからサラサラしているよ」「あの人はお仕事中で白いシャツに黒のジャケットを着ているよ。白はお米の色で、黒は海苔の色だよ」と、言葉で伝えると「ふーん、そうなんだ」とニコニコしてくれました。(食べ物の例が伝わりやすかった気がします🍚)

ある日の彼女は「お母さんとお揃いの地元の洋服屋さんで買った赤いトレーナー」「弟とお揃いのユニクロで買った青いズボン」を着ていました。パキッとした色のコーディネート。
私が「いいね、お母さんと弟くんとお揃いって嬉しいね、一緒にいるみたいだね」というとニコッと表情が明るくなり、買った時の話を語ってくれました。服の話なんですけど、その話の中にどれだけ家族を愛しているかがギュッと詰まっているんです。

服が見えない彼女の中では「その服がどんなデザインか」よりも「いつ、どこで、誰と服を買って、それが大切な人とお揃いであること」の方が重要であるようでした。

それまで私は「ファッションというのは、人をきれいに可愛く見せてくれる視覚特化型のツール」だと思い込んでいました。

しかし彼女と話すことで「ファッションって買った時の状況や、大事な人への想いと結びついているんだな。それをお話すると楽しいな」と気付かせてくれました。

きっと、彼女のお母さんは「出かけ先で目が見えない娘が迷子にならないように、何かあったときに誰かにすぐ見つけてもらえるように」とあえて目立つ色の服を選んでいるんだろうな……と想像できて、ちょっと泣けてしまいました。

👜百貨店時代の話

大学を卒業してからは、22歳から33歳まで百貨店で働いていました。
お客さまは20代〜101歳までの幅広い年代の女性の方々です。私は正社員といえども慄くほどの薄給で、働けど働けどお金は貯まらず、ポンポンとお買い物をされている(ように見える)お客さまを見て「いいなぁ、余裕があって。私は生涯で一度だっていいバッグなんて買えないんだろうなぁ」と思っていました。

キャリアを重ねて店頭での接客からより深くお客さまと関われる「パーソナルスタイリスト」として働くようになり、その考えはちょっとずつ変わっていきました。そこで知ったのは「ポンポン買っている人なんて全然いない、みんな泣きながら拳を握って買っている」というまぎれもない事実でした。

自分よりも年上の方のご案内することが多かったのですが、その気持ちのアツイこと、激しいこと。何回かお会いして信頼してくださるとみなさま語り始めてくれるんです、「人生」を。

「離婚したからバッグ買う」というお客さまと一緒に泣きながらヴィトンのバッグを探したり、「母が亡くなったからバッグ買う」というお客さまと一緒に泣きながらシャネルにいったり、「40代ではじめて転職する」というお客さまと23区でスーツを選んだり、みんなみんなお買い物の度に一曲いい歌詞が書けるくらいの口上を語ってくれます。その語りはもう“演歌”そのものでした。

ここでもやはり「(服という)表面だけでは何も見えないんだなぁ」と気付きました。お買い物ってどうしても「結果(買ったもの)」が見えちゃうんですけど、皆さんが私に語ってくれたのは間違いなく「心情・情景(エピソード)」の部分なんですよね。

「ミセス・ハリス、パリへ行く」という映画で、主人公の家政婦であるハリスは夫の戦死の報告を受け「床を磨いて貯めたコツコツお金でディオールのドレスを買う」という行動に出ます。(とてもいい映画です)

この物語で大切なのは、「何を買ったのか」というよりも「なぜ」「どのようにお金を貯めて」「どんな気持ちで」のところです。

「結果」はディオールのドレスを買ったことですが、ハリスの暮らしと絶望と希望と、「心情と行動」の部分に胸が打たれます。

これは映画の中だけのストーリーかと思いきや、まさしく私が出会ったほとんどの女性たちが「毎日毎日途方もなく長い時間を働いて、コツコツ貯めたお金でエルメスを買う」みたいなことをしていて、「これはリアルに起こっていることなんだな」と噛み締めています。街行く人のファッションの中にもきっと、長い長い「語りパート」があるものです。

🐶分厚い鈍器のような気持ちの言語化の先に

私がはじめてGUCCIのバッグを買ったのは、30歳を超えた時に突然左目が見えなくなったからです。(元々弱視だったのですが、より一層見えなくなったのです)しかし、これも私が「語らなければ」誰も知らなかった出来事です。

端から見れば「ただ、GUCCIのバッグを買った人」な訳ですが、
左目が見えなくなるそしてGUCCIを買う
という「」の部分に、「魍魎の匣 / 京極 夏彦」くらいの分厚い分厚い鈍器のような「気持ちの言語化」がありました。

正直、文字に書いても書いても書いても書いても、言葉にしきれなかった悔しさがあり、でも家族に心配をかけたい訳もなく、友人に伝えてオロオロさせても申し訳ないし、会社に伝えてこれまでしがみついてきた仕事が制限されてしまうのも悔しかった(その当時は、視力を失ったことで昇格できなくなるのを恐れていました)。
でも自分の両手に到底抱えきれないこの気持ち、どうしてくれよう→
「よし、バッグを買おう🐶」となったわけです。

ただ「バッグが欲しい」という気持ちだけでは、おそらく私は憧れのGUCCIを買おうとは思わなかったと思うのです。しかし、今までお客さま達が何百回も、何千回も私に語ってくださったエピソードが大きな味方となってくれました。

そして言葉にしきれなかったことが、「ファッション」に昇華されていったんだなぁと思っています。

この時の経験は、私が「自問自答ファッション」を立ち上げる大きなきっかけとなりました。なんとかファッションにしがみつきたいけれど、視覚という大事なものを失った時に「私には、まだ言葉がある」「言葉とファッションなら私にもまだ何かできるかもしれない」と巨大な北極星となり、私の行く道を明るく照らしてくれました。

もちろん「高いもの」がいいわけじゃないですよ😉

たまたま私が百貨店出身なので、ラグジュアリーブランドのことを語ってしまう機会が多いのですが、もちろん「高価だからいい」というわけではありませんっ🙅‍♀️(何というか…私にとって、ハイブランドは喉から手が出るほど恋焦がれた遠い遠い憧れであり、尚且つ物理的にはすごく近いところにいたのです〜)

人によっては「会社を辞める」とか、「引っ越す」とか、「旅行に行く」とか、「好きなミュージシャンのライブに行く」とか、それぞれの「到底抱えきれない言語化できない気持ちの逃し場所」ってあると思います(私のコンセプトが旅人だったらその足でインドに飛んでいたかもしれません)。

お金をかけなくても手に入れられるものや、できることはたくさんあります。ファッションで表すのであれば自分で手作りしたものも素敵ですし、古着屋さんで見つけたお気に入りのアクセサリーなんかも愛おしいです。

しかし、私が20代の時に感じていた「なんで高いもの買うんだろうなぁ」という気持ちは、自分が実際に経験してみたら、スッと腑に落ちるものでした。

特にラグジュアリーブランドは歴史が長いことや、メゾンのお針子さんの手仕事を感じられること、メンテナンスをしっかりしてくれることなどから「人生に長く寄り添ってくれる」という安心感があるのです。(いろんな口コミがありますが、私の経験上ちゃんとしてくれるところの方が圧倒的に多いですっ👞)

「ミセス・ハリス、パリへ行く」の物語が描かれたのは1950年代。その頃からディオールは憧れだったと思うと歴史のロマンも一緒に抱きしめられてお得(?)だな〜と感じています。みんながコツコツ演歌を歌うことでメゾンや美しい文化が守られていくのであれば、これほどwin-winなことはありません。(特に私が「視覚」より「ストーリー」への想いが強めなので、ヒストリーのあるブランドさんに惹かれるのかもしれません👝)

👗ファッションへのコンプレックスがある方にも

自問自答ファッションには、自分のことがなかなか好きになれなくて「鏡を見られなくなってしまった」「ファッション楽しめなくなってしまった」という方も多くご相談に来てくださいます。

見た目のコンプレックス以外にも、
🐈「仕事と育児に追われ忙しくしている間に10年経ってしまった…」
🐇「病気をしている間に服選びが楽しくなくなってしまった…」
🦌「生まれてからずっと服を選ぶのが苦痛で仕方ない…」
🐿️「ファッションにうつつを抜かしてはいけないと教育されてきた」
という方がたくさんいらっしゃいます。

鏡が見られなくなってしまったり、ファッションのブランクがあったり、そもそも服のことを考える機会がなかったり、着る服を制限されてきた方が、最初から肉体に服を着せつけていく作業って実は精神的に大変で、期待と不安が入り混じって拒否反応が出ることもあります。
「自分のコンプレックスばかりに目が入ってしまう」
「10年前の自分の姿と全然違くて悲しい」
「ちゃんとした服を着れば、もっと自分は美しいと思い込んでいた」

試着室で映し出された現実にがっかりしていまい、さらにファッションが遠のいてしまうことも。(どんな人でも、10年前とは違うわけです。でもそれを10年間見て見ぬ振りをしてきていきなり見つめると……ビビりますよね😉⚡️)

そんな風にファッションのお悩みって実はかなり複雑に込み入っています。
過去現在未来、肉体から精神から時代から状況まで、絡み合う何本もの糸たち、それを自分で解くのは一筋縄ではいかないもの。「服」を選べるようになったとしても「気持ち」がついてこなくて(方向性がバラバラで)気力が続かないことも多いのです。

そんな時は最初に
「自分の感情を言葉にすること」
「自分のなりたい気持ちを書き出すこと」
であれば、鏡を見ずとも体のことを考えずとも取り組むことができます。どんな映画が好きなのか、どんな音楽が好きなのか、どんな気分になりたいのか。何を学んできて、何に心を振るわせて、何を置き去りにしてきたのか。

心から次第に領域を広げていくと、自分のことがちょっとずつ分かるようになってきて次第に服選びができるようになります。

今までファッションに苦手意識を持っていらっしゃった方でも「人生と服は一直線で繋がっているんだな」と感じられるのは、言葉選びと一緒に取り組んでみたからというのもあると思います。

「ファッションを言葉にしてから選ぶ」って、確かにちょっと変わった手段だけど、その分違う視点で取り組んでいけるので、今の服選びになんだかモヤモヤしてしまったな……という方にはいい方法だなって思うのです。

🐨みなさんが語ってくれたことでたくさんのことが見えました

この活動を始めるまでもずっと接客業をしていたのですが、やっぱり初めてお話ししただけではその方の全ては分からないものです。(ご本人すら気が付かないことがあります)
しかし、みなさんが「自分の言葉」でコツコツ語り始めてくださって、たくさんの方がそれをえいやっと公開してくださって、やっとやっと私も理解が進んでいきました。

みんなの心には私が想像していたよりもずっとずっと多種多様で面白くて、唯一無二の宝島が広がっていました🏝️

だから私は「あえて語るファッション」があったって、いいと思っています。そして、みなさんが先人として語っていくことは、これから壁に突き当たる数多くの人たちを救っていくのだと思います。

視点を変えたい時、ぜひぜひ「あえて語るファッション」を取り組んでみてくださいね📖🖊️

🧁おまけ🧁
マティスの展覧会を見に行った時に、彼は同じモチーフに対し「絵画→彫刻→絵画」とサンドイッチして描くことで見方を変えてより深く描けるようにしているという記載がありました🎨

色彩の魔術師であるマティスは、絵画→切り絵→空間作りなども挑戦していて、最期まで自分の「色彩」の表現方法を探っていました。頭の中にあるものを出すときにさまざまな方法を試し続けているのがとてもかっこよかったです。

私はたまたま言葉とファッションが好きなので、言語化→服選び→言語化→服選びを繰り返していますが、その過程の中でファッションだけでなく、自分のやりたいことや生き方も見つけていくことができました。とても嬉しい副産物ですし、やっぱり生きることと着ることは繋がっていると感じています。

表現方法は言葉だけでなく、ダンスでも歌でもメイクでもいいのですが、チャレンジしていくことで明確化されて出力しやすくなる=生きやすくなるな〜と思っています。

そして、今回も「感情」の部分を大きくピックアップしてしまったのですが。中には「あきやさんみたいにエピソードや大きな葛藤がないのがコンプレックスです…」とか「ビジュアルシンカーなので言語化が上手くできないんです…」「しっかり考えてお買い物ができなんです…」と言ってくれる方も多くいらっしゃいます。
なんだか毎回「感情至上主義」「哲学命」みたいになってしまっていて申し訳ない…そんなつもりはないんですよ〜〜〜〜😭(偏っててごめーーーんっ!)

ファッションスタイリングの中でも自問自答ファッションは「王道の老舗ラーメン屋」ではなく、「独創的な新しい味で、一人でやってる屋台のラーメン屋」の立ち位置なんです🍜🍜🍜

なので、「理由なんてないけど、服欲しい〜✨」とか「このお洋服見た目がかわいい〜👗」ってワクワクした気持ちでお買い物してくださいませね🥰そんなお買い物って、すてきなことです〜〜✌️🎀💖

ただ、「こんな人もいるよ〜」「ファッションを言語化してみるのも楽しいよ〜」「服選びに迷っちゃった時に何かのヒントになるかもよ〜」という一例のお話でございました。

人には人の自問自答🦫
人には人のお気に入りのラーメン🍜
自問自答ファッションの扉はいつでもいつまでも大きく開かれておりますっ!
これからも仲良くしてくださいね😉🤝🧡

9月7日(土)に講演会があります〜🙌オンラインチケット(リアルタイムもアーカイブも見られます)発売中です👗思いっきり話しますぞ〜〜〜〜見てみてね🐇🧡

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自問自答ファッション通信|あきや あさみ
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