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クリッパーズ⇔ブレイザーズのトレード

アメリカ現地時間2月4日の夜2:26分にクリッパーズとブレイザーズの間でトレードが行われました。そのトレードの内容は、クリッパーズはノーマンパウエルとロバートコビントンを獲得し、ブレイザーズはエリックブレッドソー、ジャスティスウィンズロー、キーオンジョンソン、2巡目の指名権(ピストンズの2025)のトレードが行われました。

両者の思惑

クリッパーズ側

オフェンス及びフリースローのレーティングの現状

クリッパーズ オフェンスの効率 
2021-22 107.0(リーグ26位) 
2020-21 116.7(リーグ3位) 
2019-20 113.3(リーグ2位) 

クリッパーズ  フリースローレーティング
2021-22  0.221(リーグ27位)
2020-21 0.222(リーグ27位)
2019-20  0.295(リーグ2位)

カワイレナードとポールジョージが加入した2019-20シーズンは、ベンチからファールを引きだすのが上手いルーウィリアムズ、モントレズハレルという強力なベンチユニットを要していたため、オフェンス効率はさることながら、フリースローでも点を稼ぐことができていました。その後、2020-21にルーとハレルのコンビが解体され、バトゥームなどが新たに加入し、オフェンスレーティングは維持したものの、フリースローレーティングがリーグ下位まで沈みました。そして、今シーズン、カワイポールジョージやその他の主力の欠場によって、オフェンスレーティングもリーグ下位に沈んでしまいました。

ノーマンパウエル

ノーマンパウエルはサンディエゴ出身でUCLAで4年間プレーした後、2015年のドラフトで全体46位で指名されました。現在、ノーマンパウエルは、1試合当たり5.0本以上フリースローを打っているリーグの中の29人のうちの1人です(ちなみに今シーズンのクリッパーズのトップは、ポールジョージの4.5本で、リーグ38位)。加入することによって、クリッパーズのフリースローレーティングの改善に大きく貢献すると考えられます。また、制限エリア内での確率が55.9%とキャリア最低(キャリア通算62.9%)であるものの、スリーポイントの確率は40.6%とキャリアベスト(キャリア通算37.7%)であり、今シーズン3の確率に苦しむクリッパーズに大いに貢献してくれそうでもあります。その他に、ノーマンパウエルは、アイソレーション、ハンドオフ、ピックアンドロール、オフボールでのカーティングやスクリーンなど様々なことをすることができ、多様なプレーを好むティロンルーのスタイルにマッチし、より戦術の幅が広がると考えられます。

ロバートコビントン

ウィンズローの穴埋めとしてクリッパーズにきたコビントン。ウルブス、ブレイザーズ時代はPFで大半をプレーしていたものの、ロケッツ時代にはスモールボールのセンターとしていたこともあり、スモールボールをする時のクリッパーズにとって大きな戦力になりそうです。平均7.6点、一試合当たりのフリースローアテンプトが0.8で8年連続キャリアローであり、FGは38.1%とキャリア最低であるものの、3の確率は34.3%(1試合あたり4.8本アテンプト)、フリースローは83.3%とまずまずな成績を残しています。トレードされたウィンズローがFG44.7%、3が17.2%、フリースローが61.0%ということを考えれば、アップグレードされたと考えてもいいでしょう。また、1試合あたり、リバウンドが5.7本、スティールが1.5本、1.3ブロックを記録しており、リバウンドの確保をしっかりしたいクリッパーズにマッチしそうです。

つまり、メリットとしては

・フリースローのアテンプト数が増える

・チームとしてのスリーポイントの確率が上がる

・今までよりもリバウンドが確保しやすい

・スモールボールの起用も含めた戦術の幅が広がる

といったことが挙げられます。

クリッパーズの現状のロスター

PG レジージャックソン、アミアコフィー

SG ノーマンパウエル、ルークケナード、(ジェイスクラブ)

SF ニコラスバトゥーム、テレンスマン、ブランドンボストンジュニア

PF マーカスモリス、ロバートコビントン

PF イビカズバッツ、ハーテンシュタイン、サージイバカ

健康体なクリッパーズのロスター

PG レジージャックソン、ノーマンパウエル、ジェイソンプレストン

SG ポールジョージ、ルークケナード、ブランドンボストンジュニア

SF カワイレナード、テレンスマン

PF マーカスモリス、ニコラスバトゥーム、ロバートコビントン

C イビカズバッツ、ハーテンシュタイン、サージイバカ

となり、現状でもプレーオフを目指せるロスターであり、カワイレナード、ポールジョージが今シーズン中に復帰した場合、今年のプレーオフのダークホースとなりそうです。

このようにかなりクリッパーズにとってメリットのあるトレードのように思えますが、デメリットもあります。

➀ノーマンパウエルの契約の長さ

今回加入したパウエルの契約は2024-25まであり、32歳になる最終年は約20mにもなるため、万が一クリッパーズにマッチしなかった場合、アセットがないクリッパーズが動かすことが非常に困難になる可能性があるということです。ちなみにエリックブレッドソーは来期約19mですが、部分保証なのでウェイブすれば3.9mとなり、キャップスペースを空けることができ動きやすかった。

②正PGが完全にいなくなる

筆者は、ブレッドソーがPGとは考えていませんが、PG寄りかSG寄りかと聞かれれば、PG寄りと答えます。今回のトレードによって、現状でのロスターのガード陣がSG寄りのみになり、シュートが入らないない時間帯に相当苦労しそうではあります。去年のプレーオフではレジージャックソンのとんでもないシュート力で解決しました。来期は正PGでプレーメーカとして優秀なルーキーのプレストンがいるので多少マシになるかもしれませんが…

③2巡目をはたいてグレードアップしたキーオンジョンソンを手放した

今年のドラフトで指名したキーオンジョンソンは、ドラフトの際にピストンズの2巡目二つをくっつけて、獲得した選手です。このことからもクリッパーズのフロントから相当期待されていたことが伺えます。実際、ドラフトコンバインで垂直飛びで48インチをたたき出し、新記録を打ち立てたり、1月上旬の試合で持ち味のアグレッシブなディフェンスを見せてあわや逆転勝利かと思わせるシーンの立役者になり、相当なポテンシャルが垣間見えました。そのような選手を今回トレードで出してしまったのは、将来かなりの痛手になるのではと筆者は考えています。ちなみに、筆者は育て方を間違えなければ、準オールスタークラス、もしくはオールスタークラスの選手になると考えています。ガードの育成に長けているブレイザーズは、必ず育成しきるでしょう。将来が楽しみです。

その他にもラグジュアリータックスの問題といった問題がありますが、NBA1の資金力を持つスティーブバルマーにはあまり問題にならないので割愛します。

ブレイザーズ側

ブレイザーズ側の現状

・現在西の10位でプレーイン当落線上

・リラードのケガからの復帰が未定

・アンファニーサイモンズとナシールリトルなどの若手の台頭

・ラグジュアリータックス越え

ブレイザーズ側が今回なぜこのトレードを行ったか?簡単に言えば、タックスを削減し、来期のキャップスペースの柔軟性を確保するためです。

ブレイザーズは今回のトレードを行うまで、ラグジュアリータックスのラインから3mオーバーしていたため、余計に税金を払う必要がありました。ですが、今回のトレードを行った結果、ラグジュアリータックスのラインから1mだけ下回ることに成功し、余計な税金を払う必要がなくなりました。

このトレードのメリット

➀ブレッドソーなどを含めたトレードにより来期のキャップスペースを空けることができた。

先ほど述べたようにブレットソーの来期の契約は19.3mですが、3.9mの部分保証であるので、全額保証するまでにウェイブすれば、来期のキャップスペースを空けることができます。加えて、来期6mの税金を節約できるだけでなく、来シーズンのタックスラインから約17mも下回ることができ、ヌルキッチもしくはサイモンズとの再契約に当てることができるようになりました。

②キャップスペースの柔軟性ができた

①に近いものがありますが、このトレードが起きる前までは、サイズの小さいノーマンパウエルとの契約が2024-25年(最終年のパウエルの年齢は32歳)まで残っており、キャップスペースの柔軟性が全くない上に、動かしづらいという状況でした。ですが、今回のトレードでノーマンパウエルを放出したことによって、柔軟性を確保した上に、パウエルの後釜としてポテンシャル枠のキーオンジョンソンを確保することができました。キーオンジョンソンの契約は安いので、キャップスペースを圧迫することがないため、ブレイザーズにとってはメリットが相当あるのではないかと思います。

③キーオンジョンソンの獲得

クリッパーズが今年のドラフトで指名したキーオンジョンソンは、ドラフトの際にピストンズの2巡目二つをくっつけて、獲得した選手です。このことからもクリッパーズのフロントから相当期待されていたことが伺えます。実際、ドラフトコンバインで垂直飛びで48インチをたたき出し、新記録を打ち立てたり、1月上旬の試合で持ち味のアグレッシブなディフェンスを見せるシーンが多くあり、相当なポテンシャルが垣間見えました。筆者はガードの育成に長けているブレイザーズが育てきれば準オールスタークラス、もしくはオールスタークラスの選手になると考えています。将来が楽しみです。ちなみに、ブレイザーズはGリーグチームを持たないチームであるので、パウエルの控えとしてすぐに試すと考えられます。


・ブレイザーズは今後マッカラムのトレードに動くか?

ブレイザーズファンが疑問に思うこの疑問に対する答えは、その可能性が非常に高いです。

リーグの一般的なコンセンサスとしては

ノーマンパウエル:1巡目指名権

ロバートコビントン:2巡目指名権

と変えられるレベルの価値があると思われていたそうです。しかし、ブレイザーズは、サラリー合わせの選手と指名権を獲得するよりも、来期以降のキャップスペースの柔軟性を確保を優先したことから、将来を見据えて動いていることが垣間見えます。このことから、ブレイザーズ側としては、アンファーニーサイモンズが台頭してきた今、役割の被るマッカラムを保持するよりはトレードして、サイモンズと再契約して、ロスターの平均年齢を下げる方を選んだと見ていいようです。


ではアスレチックの記者が考えるトレード案はなにか?

それはペリカンズとのトレードです。トレード内容は

・ペリカンズ

CJマッカラム

・ブレイザーズ

ジョシュハート

サトランスキー

サラリー合わせの選手

1巡目指名権

のようです。ブレイザーズファンからすると、全く釣り合っていないように思えるトレードかもしれませんが、このトレードには来期のキャップスペースの柔軟性をさらに確保するという思惑が隠れています。

このトレードによって、サトランスキーの契約が今季で切れるため、来期約16mのキャップスペースを空けることが可能になります。さらに、ジョシュハートの契約は部分保証であるため、オフにウェイブすれば、来期約29mのキャップスペースを空けることができ、ブレドッソーのウェイブと合わせれば、アンファニーサイモンズとヌルキッチの再契約分は完全に確保することができます。さらに、指名権によって、ドラフトでいい若手の確保をすることができます。

最後にクリッパーズとブレイザーズのトレードの評価が出ていたので、明記してして締めたいと思います。

クリッパーズ:B+

ブレイザーズ:B-

参考:ザックハーパー、ジョンホリンガー、ローマレー







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