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歯科矯正 SSRO(下顎枝矢状分割法) 体験記

みなさん「歯科矯正」したことありますか。

歯の表面にブラケットを接着剤でくっつけて、ワイヤーで歯並びを直すアレです。

最近は、通常の治療より高価にはなりますが、歯と同じ色のブラケットだったり、見えないよう歯の裏側にブラケットを接着して矯正したり、軽微であればマウスピースを使うものもあります。

歯科矯正は美容医療や美容整形と同じく、基本的には審美性を追求したものなので「自費治療」(保険が使えない)が一般的です。が、

保険が適用される歯科矯正があることはご存知でしょうか。

私は大人になるまで矯正に保険が適用できるとは知らず、そこまで経済的に余裕があるわけではなかったので、ずっと矯正を避けてきました。

美容医療で同じ治療をしたら500万円程度はかかるのではないのでしょうか。

保険適用で歯科矯正をするには条件があり、

①「厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療②前歯3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る)に対する矯正歯科治療
③顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・手術後の矯正歯科治療

日本矯正歯科学会ホームページより

また、上記治療には高度な技術を必要とするため、治療を行える機関も限られていたり、上記①の詳細は種類が多かったりすることもあり、ご興味のある方は以下のホームページをご参照ください。

日本には「高額療養費制度」があるため、「限度額適用認定」を事前に提出しておけば窓口での負担も一般的な家庭であれば手術月であっても7~8万円程度で済むため、かなり経済的負担は助かります。

総額でも、交通費などを除いて、(もうかなり前のことで覚えてなくて申し訳ないですが)70万円程度だったように思います。

私の場合は、食事でうまく物が噛めなかったりしたため、かかりつけの歯科に紹介状を書いてもらい、大学附属、かつ、日本最大の歯科に通いました。

行列のできる大学病院のため、平日朝にも関わらず4時間くらい待機し、総合診察部から矯正科に紹介状を書いてもらい、矯正の専門医が診察後、保険適用可否を判断します。

ここで条件に当てはまる病名が確定診断されて以降に保険が適用されます。

歯科矯正の場合、すごく簡単に言えば「骨切り等の手術が必要なレベルかどうか」が大きなポイントです

結局その日は1日がかりでした。。。

私の場合は「顎変形症」と診断され、手術が必要と判断されたため、その後(今もですが)手術前後で1ヶ月おきに約3年間、その後も、通う必要はないのかもしれませんが、10年近く通院を続けています。
※術後、ブラケットが外れてからは数ヶ月や1年に1度程度ではありますが…。

上顎と下顎の両方、上顎のみ、下顎のみの骨を切る手術、また、術式もいろいろとあるようですが、私は下顎の骨のみ「SSRO(下顎枝矢状分割法)」という術式で手術を受けました。

私の住んでいた県では一番大きい病院でも上記手術は年間1件程度の手術実績なのですが、大病院はほぼ毎日の頻度で同じ手術をおこなっているため実績が段違いです。

ちなみに手術を要する矯正は、骨がある程度固まりきってからでないと骨が大きく動く可能性があるため、大人になってから手術をおこなうことが一般的のようです。

病棟

手術前矯正

保険適用の歯科矯正は前述した通り、手術が前提となるため、矯正の方法が一般的は自費治療とは異なります。

まず、緻密な計画に沿ってMRIから顎骨の模型を作ってシミュレーション等するため、レントゲン・MRIや、手術前後の採血の頻度はすごいです。

また、手術後の咬合(かみ合わせ)を想定して矯正治療を行うため、(特に)手術直前期などはかみ合わせが一時的に悪くなります。

あとはブラケットを装着して月1回程度ワイヤーの締め直しを行うため、一般的な矯正と同様と思います。

手術あるなし関係なしに、矯正を始めてから数ヶ月間、歯が動き始めるまでの期間は激烈に歯が痛いです。

歯に何か物が当たるだけでも、上下の歯をカチカチするだけでも激痛が走ります。

金属のワイヤーで骨を強制的に動かすわけですからそのくらいの痛みはありますよね…。

鎮痛剤や、あまり歯に振動を与えない食事をして堪えるしかないです。
※それでもあまりに痛い場合は担当医に相談してワイヤーを緩めるなどしてもらってください。

SSRO(下顎枝矢状分割法)イメージ …但し、古い

手術(SSRO=下顎枝矢状分割術)

「骨切り手術」とは言うものの、骨を切るわけではありません。

正確には「人工的に割る(骨折させる)」が正しい表現です。

骨の中には血管や神経が無数に走っているため、切るわけにはいきません。

外から切るとフランケンシュタインになってしまうため、手術は口腔内(口の中)からおこないます

奥歯の奥あたりからメスで切開して、顎の骨を露出させ、割れやすいように細かにひびを入れて目星をつけたら、パカっと魚をおろしたように骨を骨折させてずらします。

そして予定した位置でチタンプレートとチタンねじで固定します。

SSRO(下顎枝矢状分割法)イメージ2 …但し古い

私の場合は下顎だけですが5時間以上かかりました。

当たり前ですが痛すぎるため全身麻酔下でおこないます。

近年は骨に溶ける素材のプレートとねじもあるようですが、強制力がチタンに比べて弱いため、私の場合はせっかくの大手術で失敗したくないため執刀医に説得されチタンを選びました。

以下が私の骨を固定していたチタン(実物)です。

チタンプレートとねじ

※チタンは骨と人体への親和性が高いため、取り出す必要はないと説得はされましたが、私は術後1年程度で再手術して撤去してもらいました。
( あくまで気持ちの問題です )

術後

当たり前ですが、顎の骨の両側が骨折しているため、起きて麻酔が切れると2日程度はめちゃくちゃ痛いです。

折れたところがビリビリするので寝返りが恐かった。

入院は下顎だけだと10日程度です。

口の中の縫ったところに血だまりを防ぐためのパイプが装着されているのですが、そこから口の中に血などがでてくるため、口の中がしょっぱいです。

吸引パイプをわたされるため、自分で口の中に溜まったものは吸いだします。

顎がめちゃくちゃ腫れるため、抑えるためにポンポンが左右に縛り付けられます

足には血が溜まらないように大きな温熱マッサージ機のようなものが取り付けられます。

ベッドの昇降も自分でやります。(自動ベッドです!)

これが手術当日~2日めくらいの姿です

また、自分の場合は後ろ側にずらしたため、喉が狭くなり、しかも顎が腫れていて、花粉症の薬も飲めなかったため、窒息しそうに苦しかったけれど、一番きつかったのは尿を出すために尿道の穴の中まで装着されているパイプが痛かった…。
( 下ネタですみません、事実なのでお許しください )

手術前から「アンパンマンレベルで腫れるよ」と言われていたのですが、2日くらいすると顔の下半身がめちゃくちゃ腫れてきます。

ポンポンに腫れを抑えつけられている様子 はやく風呂入りたい

1週間半くらいするとピークを過ぎて腫れが引いてくるので、(パイプ除去は数日で、1週間くらいすると抜糸もおこないます)あとはおさまるのを祈るのみです。

入院中の食事

手術前後は物が食べられないため、私の場合は点滴から栄養を摂っていました。
※他のいた病院では、「入院中、経管栄養が一番きつかった」という患者の意見が多かったため、点滴にしたとのことでした。

その後、食事を始めるのですが、最初は液体のみです。
( そりゃ、顎の両側骨折してて噛めないんだからそうですよね )

術後3日めでも食事はこんなんよ

あまり顎の骨にに響かないようにしつつも、おなかが空いてむさぼるように吸います。

液体ばっかやー!

数日すると固形物が登場します。
噛めないので、すり潰す感じでしょうか。

おかゆとやわらないものばっかやー!

また数日すると硬さのレベルが上がります。さんぶ!

食事らしくなってきた。おじいちゃんになった気分。

バナナと温泉卵キタ!

バナナはまだ痛い

これは何だっけ?

忘れた

おっ!

何だっけ?

えっ!

さんぶまできた!

だんだんとごはんっぽい!

見た目かたそうになってきた

たいみそー と ロールキャベツ的な何か?

離乳期の幼児になった気分

2~3週間で ごぶ キター! あいかわらずバナナは強敵です。

これが入院時最終形態

基本的にはすべて美味しくて、食事が待ち遠しいのですが、食べ過ぎ飲み過ぎ気味だったため、この10日程度の入院でかなり筋肉と体重は落ちました…。

入院中矯正・教授診察など

入院中も顎の痛みに関わらず矯正は容赦なく行われます。かなりSです。

手術前に硬い輪ゴムのようなものをかける特殊なブラケットが装着され、手術直後は固い輪ゴムのようなもので矯正がおこなわれます

また、食事の際などは自分で付け外しをおこないます。

手術数日後、まだ腫れすぎて反咬合。

手術数日後

おっ!

さらに数日後

えっ!

さらに数日後 だいぶよくなってきましたね

大学病院なので、1週間に1回程度は教授診察や教授回診みたいなものがあります。(「白い巨塔」を思い出しますね。。。財前くん!)

教授診察時は医師が若干そわそわしていますね。。。w

あくまで大学附属病院である以上、(拒否する権利はありますが)研究の対象ともなるので、いろんな医師の卵(大学院生)たちの治療を受けたりもします。

若いパワーを感じられていいですね。

手術後矯正

手術後も矯正は続きますが、ある程度落ち着いてくると「リテーナー」によるつけ外し可能な矯正となり、頻度が「毎日→毎日の就寝時→2~3日おきの就寝時→1週間おき」のように減ってきます。

診察も「1か月おき、2か月おき、3か月おき、半年おき、1年おき」と頻度が少なくなってきます。

1~2年続け、矯正担当医から「もういいよ」と言われたら無理に続ける必要もないのですが、私の場合はせっかく苦労して直したため、10年程度経った今も数日おきに就寝時はリテーナーを付けており、壊れたら修理しに通院する程度です。

チタンプレート・ビス撤去

骨に溶ける素材であれば別ですが、チタンの場合、気になるようであれば約1年後に撤去手術が可能です。

前述した通り、チタンは人体への親和性が高く、MRIなどへの影響もないため、付けたままでも問題がなく、そのままの人もかなりいるそうです。

もう1度同じ場所を口の中から切ってビスとプレートを外すわけですが、骨を割るわけではないため、かなり身体的な負担が違います。

実物です

チタン使用、かつ、どうしても気になるようであれば手術を依頼してください。

最後に

基本的に健康体なので、なんだか咳が止まらないなぁ…と高熱が出て、「マイコプラズマ肺炎」で1週間入院したくらいで、大きな手術・入院をしたことがなかったのですが、私が入院したことのある病院の食事はどこも温かくて美味しかったです。

入院中、外出可能になってからは毎日病院を抜け出して、お昼に成城石井やスーパーで買ったお酒を外で隠れて飲んでてごめんなさい!
<m(_ _)m>

なぜかすごく美味しかった…。

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これまでほぼ苦難しかない半生でしたが、これからは上がるのみだと信じて活動していきます。苦あれば楽あり。苦労を知っているからこそ幸せに価値を感じるもの。よかったらチップしてもらえると嬉しいです。