見出し画像

北の指導者の母

Q.金正恩の母である高英姫(コヨンヒ)の父、高太文(コテムン)は東亜プロレス所属のレスラーでしたが、彼が名乗っていたリングネームは何?

A.大同山又道

以前、こういう問題を作ったことがありますが、最近読んだ『肉声が暴く北朝鮮の闇』という文春ムックで、これが間違いであることを知りました。

簡単に言えば、高英姫(または高容姫。ただし彼女が金正日に嫁いだ当時は既に北朝鮮は漢字を廃止していたので、カナ表記が適当とされる)の父は高太文ではなかったという話です。
それ以前は「高英姫の本名は高春行(コチュネン)。六〇年代に帰国した在日朝鮮人で父は、大同山というリングネームで活躍したプロレスラー で、北朝鮮へ帰国後は柔道の指導者となった高太文」というのが通説とされていたようです。

情報が修正されたのは割と前の話で、2006年に韓国の国家情報院が公式にこの通説を否定しています。私が地下クイズを始める遥か前のことのことです。
なのになんで古い通説をそのままクイズにしてしまったんだと思ってしまいますが、それだけこの通説が割と最近まで日本に浸透していたのでしょう。

ちなみに件のムックによると、文藝春秋で通説を否定する記事が書かれたのは2012年。やっぱり私が地下クイズを始める前だった( ^ω^)・・・
ウィキペディアを確認してみたら、そっちでもすでに古い通説は否定される内容になっていた( ^ω^)・・・
記事を書かれたのはデイリーNKの高英起氏で、様々な資料に当たられて細かく調べた様子が綴られています。
特に彼女が金正日に嫁ぐ前の資料があれば、まだ偶像化されていないから信憑性が高いだろうと、かなり古い北の資料にも目を通されています。

おおまかな内容はこちらのニュースでも確認できるので、興味のある方はお読みください。

ちなみに金正恩が指導者の座に就いた2012年、『先軍の母』という高英姫の宣伝映画を作らせたそうですが、幹部の反対にあって国内での公開は頓挫したそうです。
恐らくは在日朝鮮人という北朝鮮では低く見られる母の出自を隠し、ロイヤルファミリーの一員として相応しく飾り立てた内容だったのではないかと想像します。

北朝鮮関連の問題は、そもそもが謎に包まれた国だけに「~と言われているのは何?」という問い方をすれば大体OKな部分もありますが、はっきり事実が変わっている部分については認識を改める必要があるでしょう。
以前私から冒頭のクイズを出された方は、申し訳ありませんが間違いでした。お詫び申し上げます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?