オランダで育つ息子の世界解釈
夕食後に食卓で携帯をいじりながら、フィードに流れてきたオランダ語の記事を読んでいるときのこと。なじみのある単語なのに、その日本語訳がどうしても思い出せなかくて、ちょうど目の前でお絵描きしていた次男に助けを求めた。
「ねえ、ゴーくん、"Onbeleefd"ってどういう意味だっけ?」
すると次男曰く、
「"Onbeleefd"っていうのは、お寿司をしょう油にドボドボつけて食べるみたいなこと。あとは、イタリアでパスタにケチャップをかけて食べるみたいなことかな」
と言う。
おい、おい、またトンチンカンな答えが返ってきたぞ、と思わず笑いそうになるが、息子は真剣そのもの。私が「えーーー、本当に??」と驚いていると、近くにいた兄にも確認を取ってくれた。
「ねえ、ジョーくん、そうだよね?」
長男も話に加わり、
「うん、お寿司にハシをぶっ刺して食べるみたいな感じかな」
と同意する。
その頃には、私もGoogle翻訳を使って、「Onbeleefd」が「rude」、つまり日本語で「無礼な」って意味だってことを思い出していた。
でも、もし誰かが私に「無礼ってどういう意味?」って聞いてきたとして、息子たちみたいな答え(例え)は絶対に出てこない。息子たちの答えは、「礼」っていうものが”文化”や”習慣”によって変わるっていうことを言っていて、私はそれにハッとさせられた。
単一的な文化の中で育った私は、彼らと比べて、「礼」というものをもう少し絶対的なものとして捉えている気がする。守るべきルール、みたいな感じ。
対して、異文化に揉まれて育つ彼らは、「無礼」というものはある文化や習慣から外れた行動だという理解。つまり、無礼っていうのはルールや規則を破ることじゃなくて、文化の問題なんだと理解している様に見受けられる。
確かに、日本人から見たらお寿司を醤油にびたびたに浸してつけて食べる姿や、イタリアでパスタにケチャップをかける行為は、その文化圏ではちょっと受け入れがたいことだと思う。だから、彼らのこの説明はOnbeleefdという言葉を正確に解説している。
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子どもたちは皆、日々のささいな体験を通じて、新しい言葉の意味をひとつひとつ発見していくのだと思う。
自分の経験と結びつけて、言葉の意味を理解していくわけだけど、オランダみたいにいろんな文化が入り混じる国で育った彼らは、それぞれの体験をベースにして、同じ言葉でも私たち親とは違うニュアンスや概念を形作っているみたいだ。
いやーー、ほんとに面白いなぁ、と思う。