バス路線が運休された理由
ある日のこと、わが家の目の前を走るバス路線が運行停止になっていた。
わが家からドアツードアで1分のところにあるバス停留所を発着するそのバス路線は、ハーグのショッピング街とわが家をを10分で結んでくれる、最も便利な公共交通手段であった。しかし、ある日バス停留所に行くとその路線にはバツ印がされていて、「”一時的に(と書いてあった)” 運行はストップ中」となっていた。
まぁ、オランダでは良くある話である。
公共交通が、事前告知がある場合も多々あるけれど、前触れもなく運行がキャンセルされる。事故や天候などのやむ得ないケースもあれば、メンテナンス工事やストライキなど計画的な場合もある。
ただ、今回はキャンセルの理由がよく分からなかったのでググってみると・・・
・・・なるほど。
オランダ人にとっては、たぶん、何の変哲もないメッセージ(説明)なんだろうけれども、この余りに裏も表もない説明に、私は軽く衝撃を受ける。
バスドライバーが予定通りの休憩を取れない
バス路線を休止する理由として、この説明がなされることは日本では考えにくい気がする。「公共」サービスにおいて、提供側の事情など受ける側にとっては知ったことではない、とまでは言わないけれども、それはそっちで何とかする問題であって、言い訳にはならないと言うのが日本人の一般的な感覚のような気がするんだけど・・、どうだろう。
でも、オランダではそれがバス路線を休止する理由の説明として当たり前のように語られ、生活者も「しゃーない」と受け入れている(んだと思う)。
残念だけど、こうするより他ない。だって、バスが遅れるのは工事のせいで、工事は予定外に長引いちゃってて、遅延のせいでバスの運転手がちゃんと休憩取れないのも良くないじゃん。困る人もいるだろうけど、他に方法はないんだよね。以上!なんである。
そこに「残念ながら・・(Helaas)」の一言はあれど、「申し訳ございません」という言葉はない。
正直に言えば、オランダのいわゆる「カスタマーサービス」には、色々と頭に来ることが多いのも事実なのだけれど、その背景にあるものがこうした「働く側も人間であり」、「生活者であり」、そして「物事には限界がある」という、たぶんオランダ人は意識すらしていない当たり前が前提としてあることを発見するたびに、目から鱗が落ちる。
何事にも裏と面があり、片方だけ文句つけても仕方ない、と(半分)納得するのである。