アメリカナマズの釣り方
マルチアングラーであれば、「数が釣りたい」、「大物が釣りたい」、「ファイトを楽しみたい」、「魚を食べたい」などの目的に応じて対象魚を選ぶのではないでしょうか。一般には、「数釣り」と「大物釣り」は両立しないものですが、霞ヶ浦のアメリカナマズはその両立できる対象魚のひとつです。
また、釣りの入門魚としても適しており、ハイシーズンなら全長40~50 cmの個体が1時間で数本と飽きることなく釣れ、引きも強く楽しめます。
個人的にはアメリカナマズの「キャッチ&イート」を理想としていますが、魚を〆たことがない人にとってはハードルが高いと思うので、まずはレジャーとしての楽しみを見出したいところです。霞ヶ浦では本種を含む特定外来生物の「キャッチ&リリース」は認められていますし、海区扱いのため遊漁券の購入も不要です。
Tips
アメリカナマズは外来生物法による特定外来生物に指定されているため、生体の輸入、運搬、飼育、放流が厳しく制限されています。茨城県においては釣ったその場にリリースすることまでは禁止されていません(これは各都道府県の条例によって異なります)。そのため、釣った魚を丘に放置する行為は景観上問題となるのでおやめください。
記録
アメリカナマズ(チャネルキャットフィッシュ)の日本記録は、2006年8月愛知県の矢作川で釣れた全長120 cmですが、ネット上に写真はありませんでした。ネット上で写真が確認できたなかでは、2007年6月 新利根川で釣れた全長90 cm、体重11.95 kgが国内最大でした。霞ヶ浦では全長40~50 cmが数釣りできるチャネルキャットフィッシュですが、全長80 cm超となるとなかなかお目にかかれません。
アメリカ各州におけるチャネルキャットフィッシュの記録をみると、日本の11.95 kg(=26.3ポンド)を超えている州がほとんどなので、日本でもより大型の個体が釣れてもおかしくないはずです。ちなみに、世界記録はサウスカロライナ州の58ポンド(=26.3 kg)です。
時期
アメリカナマズの行動は水温に大きく依存します。
11~3月は水温が10℃以下がほとんどため活性が低く、4 m以上の深場や温排水などのポイントに生息しています。そのため、冬は釣り場の選択が特に大事です。
4月頃に水温が10℃を超えはじめると徐々に浅場に移動します。
5~7月の水温が24℃になると産卵期が始まり、成熟した個体は浅場の岩礁地帯に集まります。その間、水温が低下すると産卵期が伸びるそうです。全期間通しても釣れるのはメスが多いのですが、産卵期中は成熟したオスは巣に籠っているため特にメスしか釣れません。
8月に産卵期が終わると一時的に食いが悪くなります。また、夏は小型の個体がエサをつついていることが多いです。
9~10月には食いが戻ってきます。特に、雨天の後、やや増水して水に動きがあるときに食いがたつほか、風向きによっても釣果が左右します。また、小型~中型は群れをなして回遊していることも多く、アタる時間帯とアタらない時間帯のインターバルを繰り返します。
ポイント
霞ケ浦はほぼ護岸されており、以下の3点が代表的なポイントです。
1)水門
2)流入河川
3)テトラ帯
上記のうち、深く水に流れがあるところが特に良いポイントです。ハードボトムを好むので流入河川なら堰堤下も良いポイントと思われます。霞ヶ浦では土浦方面よりも潮来方面の方が爆釣の傾向が高いように思います(1回の釣行で10匹釣れば、冷蔵庫の容量が限界なので土浦方面の釣る私でも不満はないです)。
水門も常に釣り人がいる所と、そうでない所がありますが、サイズや数に拘らないならば、人がいない水門でまずやってみることをおススメします。霞ヶ浦全域にわたって周回ロードが設置されているのでドライブがてらポイントを探すとよいでしょう。
エサ
食性からアメリカナマズはエビ、貝類が特に好物と考えられます。アメリカナマズ専用のエサも霞ケ浦周辺の釣具店で売られていますが、わざわざ買う必要はなくスーパーで売られているもので十分です。その中で食いが良いと評判が高いエサは、サバとレバーです。そのほか、サキイカ、バナメイエビ、鶏肉、唐揚、塩辛、食パン、練り餌、ミミズで釣る方々がいます。
ナマズの感覚器官は優れているので、数釣りするためは臭いが強いエサが良いと言われています。ただし、大型狙いの場合は小型を避けるため臭いエサをやめるべきとも言われています。ちなみに、私が大型狙いの時は小鯵の一匹掛けにしています。また、エサのサイズを使い分けることで個体のサイズをある程度釣り分けることが可能となるでしょう。
道具
アメリカナマズ釣りをはじめるにあたっては高尚な道具を用意する必要はありません。例えば、釣具店で売っている入門用チョイ投げセットでよく、極端な話ペットボトル釣りも可能です。
私の場合は、スピニングリール仕様のバスロッド、シーバスロッド2本、3.9 m投げ竿の4本の竿を使い分けています。使用しているスピニングリールはダイワのレブロス3000~4000で、巻いている糸はナイロンの4~6号です。写真は最も良く使用している竿とリールのセット(クロスビート965、レブロス3000)です。
アメリカナマズは体をよじってファイトするため、魚体にラインの傷がつかないようナイロン糸で良いと私は思っています。アメリカナマズのファイトは強烈な引きのため、リールのドラグ機能が特に大事です。そのため、道具をそろえる場合は竿よりもリールの機能を重視したほうがいいでしょう。
大型の個体がかかると魚が根に潜って全然寄せられない場合があります。私が使用するナイロン6号の耐久負荷とレブロスの最大ドラグ力がそれぞれ約10 kgで、力いっぱい巻くにはバスロッドやシーバスロッドでは負荷が大きいと考え、大物狙いの時は投げ竿を使用しています。
さらに、全長50 cmを超えるとタモ網を使わず水面から抜きあげることは難しいので、タモ網等を準備した方が良いでしょう。
Tips
アメリカナマズを取り扱う際の注意点
胸鰭と背鰭に棘があります。この棘に毒はありませんが、幼魚ほど鋭く、ノコギリ状なので刺さるとなかなか抜けません。この棘は成長に従いノコギリ状ではなくなりますが、大変硬いのでそれでも注意が必要です。
また、ヤスリ状の歯なのでいわゆるバス持ちを素手で行うと怪我をします。特に大型の個体は噛む力が非常に強く、挟まれないように注意が必要です。
ぶっこみ釣り
ぶっこみ釣りはアメリカナマズの一般的な釣り方です。仕掛けは、道糸に中通し重り8~10号を通してより戻しを連結、そこに市販のハリス付き丸セイゴ針をつけるというものです。
アメリカナマズはやすり状の歯を持つため、ハリスが3~4号でもファイト中にハリス切れを起こす場合があります。そのためチューブでハリスを守る等の工夫をすると良いでしょう(写真はケプラーノットと大型の丸セイゴ針のセット)。ハリス切れを避けるため、ブラクリのような重りと針が接近した仕掛けも使用しましたが、重りと針が離れていた方が食いが良いようです。
アタって一気に引っ張られる場合もあれば、コツコツといつ合わせたらいいのか分からないアタリの時もあります。むこう合わせで釣れた場合、針が胃袋にまで達しているので、魚から針を外すのは容易ではありません。その時は、より戻しからハリスごと外して次のハリスを付けた方が効率的です(〆た時に針は回収できます)。
置き竿の場合は、竿が水中に持っていかれるトラブルが起こりえますので、スプールフリーにしておくと良いでしょう。
Tips
茨城大学のサークル「霞ヶ浦チャネルキャットフィッシュバスターズ」が用意したアメリカナマズ釣りの手引きがよくまとまっていて便利です。振り出し竿の伸ばし方、糸の結び方まで解説していますので、釣りを全くやったことがない方は必読です。http://kkano.cwes.ibaraki.ac.jp/%E9%A7%86%E9%99%A4%E9%87%A3%E3%82%8A%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%20ver1.pdf
ウキ釣り
アメリカナマズはヘラブナ釣り師の竿にもかかるのでウキ釣りもよいでしょう。霞ヶ浦は透明度が低いうえ、湖底には捨て網やブロックなどが多数沈んでいて、ぶっこみ釣りでは仕掛けをロスしやすい場所があります。ウキ釣りでは根がかりが避けられる利点がある一方、水の流れがある場所(水門や流入河川など)ではウキが流されてしまう欠点があります。
主に小型の個体を釣りたい場合は夏場に針を小さくしてウキ釣りをするのがいいと言われています。仕掛けは、玉ウキを使ってウキ下50 cm程度にすればOKです。
ルアー釣り
私はルアーマンではないので語るべき内容はないのですが、霞ヶ浦でブラックバスやシーバスを狙うとアメリカナマズがかかるようです。思い起こせば、ポカン釣りなどで狙われていたマナマズが、2010年頃からルアー釣りの対象魚として注目されました。アメリカナマズもルアーを良く追うようなので、ルアー釣りの対象魚として今後注目されるかもしれません。
以下でルアーでアメリカナマズを狙っている方の記事をリンクしました。
アメリカナマズの釣り方について語ってきましたが、アメリカナマズ釣り歴2年、年間100匹以上釣ったものの最大のサイズは全長70 cmの釣果とまだまだ素人の域なので話半分で読んでいただければと思います。