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「今度はオレの番。」

最近、よく出るこのカード。

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見た瞬間に自分に似ていると思った。
そして次の瞬間、彼にそっくりだと気付いた。
見たことのある構図。この前会った時に二人で撮った写真そのものだった。

カードの説明には、この青い生き物はイエティ(雪男)と記されていて、

いや、まんまやん!!!

と笑ってしまった。
ホント、二人とも見た目がそっくり。
体格差も。

instagramにアップしたら、爆笑のメッセージがいくつも来た。
他人から見ても似てるってことか。
「っていうか、もはや本人w」なんてメッセージ。
写真の彼は青いキャップを被っていたから、そこも大爆笑ポイントだった。


レコーディングから一週間、何故か毎日のように涙が溢れてる。
何が原因かは未だ判らない。けれど、ただただ毎日涙が溢れて、眠りも浅く、珍しく怖い夢も見る。

動きたい、動きたい、止まっていたくない、アウトプットして沢山残していきたい

そんな私の思いとは裏腹に歌うことはおろか言葉を記すことすら出来なくなっていた。

私はこういう時期がとてつもなく苦手だ。止まっているのは嫌なのだ。

歌っていたいし、産み出していたいし、仕事もしたい。
何にも生産しない時期なんて本当に、心底嫌いだ。

そして、残り時間はそう多くはない。

ああ、苦しい!

そう思い、焦り、のたうち廻る度に、このカードが出てくるようになった。


ニコニコと青い雪男は私に語りかける。そして、ある日、こう言った。

「じりさん、疲れちゃったんだよ。」

???何に?

「ずっとアウトプットしてきたでしょ。
 届けようと、伝えようと、ずっと言葉にし続けたよね。
 伝え続けて、声が枯れちゃってる。血が噴くほどに。

 枯渇してるよ。」

愕然とした。
自分は枯渇なんぞしないと思っていたから。
幾らでも湧くからこそ、形にできないことが辛いのだ、と。

「枯渇するほどに、伝え続けてくれたんだよ。
 分かってる。
 だから、少し、今は休んで。」

大丈夫だよ、と。

その時、私は、自分の心の中に干上がった湖を視た。
ひび割れて、一滴の水が湧き出すのも間に合わない。それほどの量と速度で、ただただ注ぎ続けたそうだ。
大きなバケツで、いや、ぶっといパイプの電動ポンプで自分の泉から流出させ続けていた。バケツリレーなんて比じゃ無い。直通。

彼が言うには、湧き出す速度が間に合わなくなってしまったのだという。

枯れる、なんてもの知らなかったなぁ…とぼんやり思いながら、同時に
この人は私にこんなことまで教えてくれるのか、と静かに驚く。

涙は相変わらず毎日溢れる。
悲しかったり、そんなこともなかったり、なんかがぶっ壊れてんじゃないか!?と思うほど。とても、喉と、肌が、渇く。

その理由は判らない。
ただ一つ、分かったこと

それは、

私自身が気付いていなかったことに
彼は気付いてくれていた

ということ。


なんでそんなことをニコニコと平気で言うのだろう?
ちょっと酷くない?
と思ったけれど、その理由はすぐに分かった。

彼はもう知っている。
そういえば、私もそれをずっと伝え続けてきたのだ。

”私たちは、絶対に、大丈夫。”

それは、私が喉から血が出るまで紡ぎ続けたその言葉は、
とても乾いて弱っていたその人を、
(どのぐらいかは判らないけれど)潤すことが出来たのだ。

そして、彼はこう言った。


「今度は、オレの番。」


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