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NEW ME_ネオアコ総集編&新潟番外編

佐賀、博多、京都、大阪と続いてきたneo ACOUSTIC SESSION ライブ。
年内としては最後となる新潟公演も無事終えることが出来ました。

【ARE YOU EXPERIENCED?】 シリーズの5つの会場

今まで観たことのないPERSONZを感じて頂こうという【ARE YOU EXPERIENCED?】 企画シリーズ。5本。
どこも個性ある建造物にての演奏は想像以上で、とても印象深かったです。

佐賀浪漫座(旧古賀銀行)

歴史的建造物ツアー初日は佐賀市歴史民俗舘旧古賀銀行で行われました。百年以上の歴史をもつ情緒ある木造建築物の優れた反響の中に位置しているレストラン&カフェ「浪漫座」にて。
旧古賀銀行は九州五大銀行の一つ。
現在の建物は大正全盛期のものに復元されています。
2005年、旧古賀銀行社屋の新たな使用プランが公募され「地元の音楽家が世界に羽ばたくきっかけの場所にしたい」と佐賀市内でライブハウスを営んでいた角田章裕さん(すみだあきひろさん、現在の浪漫座店長)の企画が採用され浪漫座がオープンしました。この会場の素晴らしい響きはジャズサックス奏者の渡辺貞夫さんのお墨付きだそうです。

※この会場の周りは柳町(やなぎまち)という町で、古き時代の街並みが美しいゾーン。興味があり、ネットで調べたら、小さなまちの取り組みとしてのチャレンジをしている町でした。都市に対しての地方ではなく、その土地のアイデンティティをしっかり持ち、文化財級の建物の活用や、リノベーションの可能性、歴史的な観点による、町の魅力再発見とロマンを大切にしようという動きです。このキャッチフレーズが素敵。
「地域には魅力的な人・文化・歴史がどっさり眠っている」
ほんと、そうですね。
利便性だけで、全国どこへいっても同一の風景が拡がる日本。車が停めやすい巨大モールがあり、チェーン店だらけの看板が乱立する街の構図ではなく、人・文化・歴史、地域にある財産は唯一無二。
下記のサイトに浪漫座の角田さんのインタビューも載っています。

柳町の取り組みについてのサイト

石蔵酒造博多百年蔵ホール

近年では「博多百年蔵」の愛称で呼ばれることが多くなった酒蔵。
博多に残る唯一の「現役の酒造場」として、今もなお昔ながらの酒造りが続けられている場所であると同時に、街中に残る歴史ある空間として、築百余年の酒蔵の太い梁、高い天井、土壁を活かした空間でコンサート等も開かれる場所となっています。登録有形文化財。明治以来、150年以上に亘ってその趣を受け継いできた博多百年蔵。

※建物に入るとお酒の香りがほのかに漂う酒蔵。2011年10月漏電により約1000㎡を焼失する火災に見舞われたそうです。そこからの再生。
今ある百年蔵はそんな歴史を乗り越え、独特な蔵という佇まいを活かし、披露宴やコンサートというイベントを通して、外部に向かって開放されている現代にマッチした場所でもあります。
石蔵酒造さんのパワーは下記のサイトにて。

石蔵酒造の歴史

京都文化博物館別館(旧日本銀行京都支店)

日本銀行京都出張所は1906年(明治39)にできた建物。1965年(昭和40)に移転するまで、まちの銀行としてとてもにぎわっていました。かつて営業室だった場所は今はホールとして、演奏会や講演会などに使われています。所長室や応接室だった場所には店舗が入り、昔とは違った華やかさがあります。

※京都を何度か私用で訪れた時、この建物に遭遇。その重厚感のある風情に興味津々でした。今年5月にKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭で展示作品を観るために入館した時の衝撃。あぁ、ここでライブやりたい〜!そう思い立ってからご縁に引き寄せられライブが実現した会場。
下記のサイトに銀行時代の昔の写真との現在の写真があるので面白いですよ。銀行の職員さんがデスクを並べてお仕事していた場所で演奏したんだわね〜がよくわかります。是非、ご覧ください。

旧日本銀行京都支店_今昔物語

大阪南港サンセットホール

南港サンセットホールは180度ガラス張りの空間から臨むパノラマビューが堪能できるアコースティックコンサートホールです。
大阪市内唯一の「海の見えるホール」とも呼ばれています。
三層吹き抜けの高い天井がより開放感を与え、音の反響も美しいホール。

※アジア太平洋トレードセンター内にある会場。とにかく巨大なことはわかるんですが、時間がなくて会場の窓から巨大な建物を眺めるのみ。残念。
90年代に出来たこの複合施設。リハ前に会場のスタッフさんにリサーチしたら、運営的にはいろいろあったようです。私が興味を持ったのは「大阪の負の遺産」という部分。そこをズバリ会場の方にお聞きしましたが、確かにそう言われたこともありましたし、一時は客足が遠のいたこともあったそうですが、今はまた盛り上がってきているとのこと。
歴史的建造物のお話をしたら、このホールも百年残れるように頑張ります!と元気におっしゃっていた大阪気質のパワーを感じました。ガラス張りで風景も音も最高。本来はクラッシックホールということですが、垣根をとっぱらっていろいろな音楽をじゃんじゃん奏でていって欲しい場所です。
このホールに関しては、どれだけ大きい場所にあるんだ〜的に、巨大複合施設ATCのサイトをご覧ください。

ATC

新潟旧第四銀行住吉町支店

旧第四銀行住吉町支店は、大正15年5月に起工され、昭和2年10月に竣工しました。建物は昭和初期の銀行建築に多く見られる古典的な様式。
設計者は新潟市の長谷川龍雄氏で、施工は地元の建設会社の武田組。
外壁には花崗岩を積み、正面入口には4本のイオニア式の列柱が並びます。この列柱とその奥に見えるアーチ形の窓が、銀行だった建物の荘厳さを強調しています。 内部は、ロビーの上部が吹き抜けで天井が高く、柱、壁、天井は白漆喰仕上げで、腰壁や営業室のカウンター、階段の床などに大理石が用いられています。銀行建築として豪華さを表現しようとした様子が感じられます。

※このライブでの感想は下記の「偶然コラボ」にも記しましたので、そちらをお読みください。
サイトはこちら↓

旧第四銀行住吉町支店

ネオアコツアー、新潟での偶然のコラボ

5つ目の新潟の出来事ですが、会場のすぐ外にある芝生でちょうど私たちのライブスタートと同時刻にヨガのインストラクトイベントが行われたのです。これがまたヨガに参加する皆様たちにPERSONZのこのアコースティックは大好評。私たちがステージとした玄関サイドの窓にはライブスタート時にはヨガ参加の皆さんが集まって手を振って下さって、バンド側もそれに応えるという微笑ましい偶然のコラボと相成りました。

夕暮れ、会場から程よく漏れ聴こえるPERSONZの音を背景にヨガを楽しめました!とライブ後、あたたかいメッセージがInstagramに届いており、私たちも双方で素敵な瞬間だったんだなぁと芝生にてのヨガの方たちの様子を想像して嬉しくなってしまいました。

素晴らしい空間とのコラボレーション

ここからは、今後のこのツアーの特徴や素晴らしさをより多くの皆さまにご紹介したく、全国の歴史的建造物を維持している会場の方々にも届くような説明となっています。よろしくお願い致します。

まず、上記に挙げた会場でのPERSONZのアコースティックライブは、最初にそれぞれの会場が持つ様々なオリジナリティのある空間と環境がライブをする上で最優先されました。

元銀行の佐賀や京都、新潟の建物は、漆喰の壁や、石造や煉瓦の外壁、大理石のカウンター、そして、箇所箇所にある職人技の趣向を凝らしたモチーフが重厚でシックな世界観で、どこの会場も吹き抜けの天井が高く、音の抜けがとにかく素晴らしい。

では、今まで5本、ライブを行った多種多様で個性ある建造物と、私たちが、どうやって音のコラボレーションしたかをご説明致しましょう。

この歴史的建造物ツアーを企画した当初の課題は、私たちのようなエレクトリックなバンドの音を自然な響きが持ち味の会場でどう表現をするかでした。ここはバンドでも、かなりミーティングを重ねた重要な部分です。

ネオアコースティックの使用楽器考察

通常のライブではドラムセットでバシバシいくわけですが、歴史的建造物内ではドラムの低周波と振動、何より爆音がネック。防音がされてませんからね。そこで会場に適応させつつ私たちの楽曲の持ち味を響かせるため、デジタル・ハンド・パーカッション“HandSonic”をチョイス。手元だけで音量や音色、演奏のニュアンスを叩き分けられるので今回のアコースティックライブには最適でした。

PERSONZドラムス 藤田勉

ギターも通常の私たちのライブでは、エフェクトやアンプを通して拡声する表現ですが、今回はアンプを通さずP.A.ダイレクトのアウトプットで、使用するギターもエレクトリックアコースティック(略してエレアコ)という楽器で、音量や音をエレクトリックとアコースティックの間でコントロールできる機材をチョイスしています。

PERSONZ ギター本田毅

ベースギターも基本は通常演奏ではギターと同様ですが、やはりアンプを通さず、更にフレットレスベースを使用していますので、深みのあるマイルドな音を表現しているところが通常のライブとは違います。

PERSONZ ベースギター渡邉貢

これが、ロックバンドとしてのPERSONZが、いつもとは違う空間でライブをするゆえに工夫してプランした、ドラム、ギター、ベースのネオアコースティックという手法です。

この使用楽器の工夫によって、天井が高く、心地よい残響が特徴の会場の演奏で、音量を適正に保つことで、ボーカルも際立って抜けて聴こえるようになり、新たなバンドの演奏スタイルとなりました。この音響は、私たちを長く聴いていらっしゃるコアファンにも賞賛をうけています。

使ってこその歴史的建造物

古き時代の建造物。
クラシカルなフォルム。
もちろん維持していくのは大変な努力が伴うと思います。
当時のパーツの替えも手に入りにくいし、今ある貴重な建物を守りながら保護していくことは、金銭的にも大変な事と思います。
ですが、やはり建造物は使用してこそ、その場を活かすことができます。
人のいない建物は朽ちやすい。
それに活気というものが建造物には必要だと思うのです。
百年に渡り生き残ってきた建造物を活かしながら維持する。
とても大切なことだと思います。
冒頭でご紹介した佐賀柳町の
「地域には魅力的な人・文化・歴史がどっさり眠っている」
文化財級の建物を活用する。
古き建造物を現代にリノベーションして息を吹き込む。
歴史的な観点も含めて、時代を経て存在する建造物は魅力的です。
古都、京都では京町屋が毎年700〜800軒が減少しているとのこと。実際、京都市内を歩くと綺麗な街並みの中にポッカリと駐車場になっているスペースや一区画だけが更地になっていたり、景観的に残念な様子をみると、維持するのがとにかく大変なのだと思いますが、一度壊したら二度と元通りにはならないことは今、考えないといけませんね。特に京都は景観的に日本の財産ですからね。維持するための行政や特例などの取り組みも重要と思います。

ネオアコのきっかけは大阪南港ホール


唯一、今までご紹介した会場の中で、大阪の南港ホールだけは、歴史的という部分ではまだ建築されてから歴史が浅いのですが、実はこのホールが今回の企画のルーツになったのです。

今までやったことのない会場でどう演奏するか。
ある日、スタッフから大阪に南港ホールという変わったホールがあると提案されて、まずは、この会場からスタートした企画なのです。

実際、演奏してみたら、この大阪港を見渡せるガラス張りの会場のインパクト力は抜群。音響もガラスの跳ね返りの影響もなく素晴らしい鳴りで、お越しになったお客さからの評判も再度ライブして欲しい!との要望多数で、湾岸の暮れゆく景色と共に音を楽しめるライブは唯一無二でした。

今回、使用させて頂いた全ての会場に改めて感謝を述べたいと思います。
素晴らしい空間をお借りできたことを心から感謝致します。

建物の大きさから、全ての会場は限定数で100人から200人規模の空間でしたが、その規模感も効果的な結果となり、大きなコンサートホールとは違い、とても身近でダイレクトな響きとなって、お客さまのひとりひとりの胸に刺さるライブができたと思います。

来年も数カ所すでに視察を終えているので、更に、この歴史的建造物、もしくは、今まで観たことのない場所でのPERSONZネオアコライブは続く予定です。全国各地、視察を重ね、ここだ!と思う場所でPERSONZをご覧になって頂くため会場探しに邁進致します。

新潟、番外編….

さてさて、ここからは、新潟の番外編でございます。

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