NEW ME_映画「GOLDFISH」
「アナーキー(亜無亜危異)」のギタリスト・藤沼伸一が初めて映画監督に挑戦した渾身の作品、永瀬正敏主演映画『GOLDFISH』が3月31日に公開されることが決定。
鮎川さんのロック葬のあと
久々にアナーキーの茂と寺岡くんに会い、献杯。
いろいろ話しているうちに
この映画の話題が出て
「いい映画だよ〜」とふたりに笑顔で言われて
試写会に行くことを決めました。
イチ
この映画の主役はイチ。
藤沼監督自身であり
ギタリスト藤沼伸一でもあるイチ。
彼の視点がこの映画を構成しています。
時には物悲しく
時には熱く
時には笑い転げ
時には静観
時にはままならない思いを抱えながら
過ごしてきた同年代の仲間たちとの日々。
主役のイチからみた
かつてのバンドメンバーの現在の姿。
若さで弾けていた頃の関係性とは
月日を経てズレが生じます。
イチは十代の時から弾いているギターで生活をし続け
自身のライブでは自分の感情を切り刻むように
ギターという武器をかき鳴らし、爆発させます。
ただし、私生活は決して爆発的ではなく
淡々とした無彩色な風景に埋没。
どんよりとした空気に包まれています。
無機質だけど、きちんと並んでいる同じ種類のレトルトカレー。
毎日の怠惰な感情を振り切るように
卓上のレトロなおみくじを回すイチ。
かつてのメンバー
時代は移り変わり、十代の時とは明らかに違う世相の中
若いエネルギーではち切れそうな日々は遠ざかり
かつては矛盾を感じる大人たちに向かって叫んでいた歌も
今や自分たちが充分、年齢的には大人になっている現実。
イチはアニマルに
不純な動機でバンドをやろうぜ!と誘われるけれど
怪訝そうに拒絶。
最初はアニマルに「ばーか」と言いながら
バンド再結成には懐疑的なイチが
少しずつ物語の中で
バンドを再始動させようとする行程で
自分が本来持っていた情熱を探すように
メンバーと再会していく。
そんな中、一番イチが対峙するのは
自分よりもっと無機質に
時が止まってしまったようなハルです。
バンドというものは
微妙なバランスによって結びつくもの。
その結びつきを長年持続させることはなかなか出来ない。
ましてや、再度、バンドを始動させることは
ことごとく難しいことである。
限定期間の活動であれば
しばしビジネス的には確立するかもしれないけれど
もっと根底の部分、どうしてまた音楽をやるのかという
心の底から湧いてくる「情熱」が
バンドには一番必要不可欠だから。
そこがメンバー全員、揃わないとバンドは生きれない。
物語と事実と映画
人には、誰にでも
その人なりのストーリーがそれぞれにある。
どんな人にも
自分が主役の物語がある。
そして、個々の物語は主役の命がある限り
続いていく。
若き日には
人生の先のことなんて、まだまだ思いもよらず
振り返ることより、前に進むことが優先される。
そんな時空の中の物語は、断片的で瞬く間に過ぎて、散ってゆく。
逆に年を重ねると
その先の未来よりも、過ぎた日々のほうが
明らかに多くなって重くなり
過ぎ去った日々の物語の全ては
その人の現在の状況の背景により
併せ持つ記憶に委ねられていきます。
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