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KIZUNA GATE
コンビニ夜勤の楽しみといえば常連客にあだ名をつけることではないでしょうか。
あたしはファミリー◯ートさんに長いことお世話になりました。
なにぶん田舎だったものでお客様が少ないこともありワンオペが当たり前、やることもわずかなので気楽ではありましたが、そこにあったのは深海の底のように圧倒的孤独な10時間。
店内に流れる陽気なラジオ番組がやけに寂しくて、当時流行していた加藤ミリヤさんや西野カナさんの歌詞に自分を重ねてもうわからないよ私が生まれたその意味を会いたくて会いたくて震えていました。
AM3:30ぐらいになると決まって現れるお客様が数名いらっしゃいました。
毎週顔を合わせるうちにお会計の際に少しずつ言葉を交わすようになり、名前を覚えていただけるようになりました、嬉しかった。
あたしの名前は名札からお客様に伝わりますが、お客様の名前は名乗ってくださらない限りわかりません、ですのであたしはあだ名をつけて覚えることにしました。
銭湯帰りのグラサンオールバックには湯上がりヤクザ。
唐揚げだけ買い猛ダッシュで去る青年には爆走チキン。
2000円札しか出してこないババアにはLOVE2000。
みんな優しくて大好きでした。
永遠なんてものは多分存在しません。
あたしにも長年勤めたコンビニを去る日がやってきました。
最後の日には今までお世話になったみなさまに感謝を伝えようと、涙を堪えて笑顔で接客しようと心に決めて制服に着替えました。
AM3:30が近づくにつれて鼓動が加速していきました。
ちゃんとお別れできるのだろうか、ありがとうと言えるのだろうか。
何度も自分の中でリハーサルを行いました。
これで大丈夫だと準備を整えたAM3:00頃、あいつらは突然やってきた。
あたしの勤め先の近くにあったROUND◯様から流れ込んできた酔客集団、入店のBGMと共に盛大に叫びやがる。
こっちは散々エンドロールの準備をしてきたんだ、余計なノイズを撒き散らすなと心底憤りました。
だけど、奴らの放ったリリックにあたしは全てを奪われた。
入店BGMに乗せて打ち込まれる言の刃。
「あーなたとコーンビニお◯んこマート〜♪」
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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は?????????????????????????
「あーなたとコーンビニお◯んこマート〜♪」
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「あーなたとコーンビニお◯んこマート〜♪」
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「あーなたとコーンビニお◯んこマート〜♪」
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ギャハハハハハハハハハハwwwwwwwwwwwwwwwww
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
あたしはその後入院し今に至ります。
思い出のカケラを集め 世界を超える
わたしたちはひとりじゃない
走れ 進め 届け
KIZUNA GATE
未来へ!
Jille.