会社にしか友達がいない
先日、会社の人たちと遊びに行った。
会社という組織に入って働くようになってから、学生バイトの期間を入れて8年ほど経つが、飲み会や部活動でなく完全にプライベートで会社の人たちと遊びに行くなんてことは人生で初めてのことだった。
「仕事じゃないと平和でいいっすね」と同僚が言っていたが、正直私は仕事で話す時とあんまり変わらない気持ちだった。ふだんから肩肘張らずに仕事をしているとも言う。
そんなことより自分の中で革命的に感じたのは、「会社の人たちと友達みたいに遊びに行っていいんだ!」という価値観がうまれたことだ。
他人のエッセイブログやSNS等では、会社の人とプライベートで遊んだような話を見なくはないが、自分ごととは思えなかった。メディアとかデザイン事務所とか、仕事とプライベートの境界が曖昧なキラキラ系激務なお仕事の人の特権だろうと。
今回それが自分がやることになったのだから驚いた。会社の人と遊びに行くって、しがないIT系会社員がやっていいんだ。
今回は同僚に誘ってもらって行ったが、私も何か複数人でやりたいことがあったら会社の人を誘ってみようかなと思うようになった。
ところで、ふっくらすずめクラブというYoutubeチャンネルがある。オモコロライターの方々がやっていたチャンネルだ。悲しいことについ最近過去形になってしまった。
そこのチャンネル名が、今年の4月に「会社にしか友達がいない」という悲しいうえに死ぬほどつまらないものへと一瞬変わったことを覚えている人は多いだろう。
実際オモコロライターの方々はすごく仲が良さそうで、しかもBHB社の社員同士ともなれば休みが合うし収入や価値観も近く遊びやすいだろう。フリーランスと会社員で収入差から疎遠になってしまった話はよく聞く。フリーランス出身者が多いうえに、そもそも人気メディアを運営する広告代理店なんて激務of激務だろうから、遊べる友達がどんどん減っていって「会社にしか友達がいない」という事態に陥りやすそうである。
この言葉を見て、4月の私は「ふっクラのみんなは仲が良いなぁ」くらいにしか捉えていなかった。しかし、近頃急に「会社にしか友達がいない」が自分ごととして脳内に居座りだしたのだ。
最近、同年代の女性の知人と話すたび、キャリア観の違いや収入の差で溝が深まる状況にある。自分自身はどちらかと言えばバリキャリだが(このnoteのスタート地点からは考えられない現状)、人の近況を聞くと「給料低いな〜とは思うけど、責任を負いたくないし難しいことも考えたくない。新しいスキルを覚えるのもちょっと……」と言われてしまうことが多い。仕事が楽しくて富と名誉が大好きな私は、こんなことを面と向かって言われるとさすがに「この人とこれ以上仲良くするのは難しいかも」と思ってしまう。
あと、一緒に遊ぶとき収入が低い方に合わせた店やアクティビティを選ばねばならないのもきつい。牛角やガストも美味しいけど、せっかく友達に会うんだからもっと心がときめくお店に行きたいよ。
お互い20代なら収入面では会社員とフリーターでそんなに大きな差は無いけど、アラサー以上になるとキャリアの差がそのまま価値観の差・生活水準の差になっちゃうから、話が合わないし遊びづらいしで結果疎遠になる。
そうしたら、休みが合って生活水準も近い人同士で遊ぼうと思うと会社の人を誘うしかなく、「会社にしか友達がいない」の完成だ。
開き直って会社の人と友達になるのもアリなのかも……と近頃は思っているが、学生時代ですら友達を作るのがド下手だったため、普通に馴れ馴れしくてキモいと思われるリスクのほうが頭に浮かんでしまう。
現状の自分は「会社にすら友達がいない」なのかもしれないと思った。