イヤシロチとケガレチの役割
”イヤシロチ” と ”ケガレチ”
この名称を聞かれた事のある方は多いように思いますし、人によって捉え方も様々だと思います。これからお話しすることは、その一部だと思っていただき「そんな考え方もあるんだね」という程度に思っていただければと思います。
まず、イヤシロチとケガレチに対する私の捉え方ですが、これを説明するとき「シンクを思い浮かべてください」とお話します。
シンクに取り付けられている水道の蛇口がイヤシロチで、蛇口から吹き出す(流れ出す)水が、浄化や癒やしのエネルギーだと思ってください。そして排水溝がケガレチで、すべての禍々しいエネルギーを飲み込む場所だとします。
人はよく「イヤシロチは良い場所で、ケガレチは悪い場所」と思いがちですが、この2つは対になっていて、どちらかがあれば良いというものでは無いと私は思っています。
だってそうでしょう? 想像してみてください。蛇口から流れ出した水がシンクに落ち、シンクに沿って流れていきながらゴミ(汚れ)を流す。そしてそのゴミは排水溝に流れることで、シンクの中を綺麗に保つことが出来るのです。
もし、排水溝が詰まっていたらどうなりますか? 汚れた水が流れなくなり、汚れたままの状態になってしまいます。
このように考えるとケガレチは大切な場所となり、無くてはならない場所となります。もちろん、世の中の霊的なゴミが流れてくる場所ですので、住んで良い場所とはなりませんが、大切にしていただきたいと思います。
それから、なぜイヤシロチとケガレチを説明するのにシンクを持ち出したかというと、説明するのにもってこいだと思ったからです。
また、例えば蛇口ですが、これは”蛇の口”と書きます。日本では古くから龍の眷族のことを”龍蛇族(りゅうだぞく)”と呼ぶことが多く、この始まりは龍の最高神である五本爪の龍を秦の始皇帝が祀ったとされるからで、同時に五本爪の龍を使うことが出来るのも秦の始皇帝のみとされています。そしてそこから龍の格が下がる毎に指が1本ずつ無くなり、その後は手足が無くなって、最後は蛇のようにみえる龍(蛟:みずち)になると云われています。
そのため、西洋では蛇を魔界のモノとして扱いますが、日本では良くも悪くも龍の一族として扱うことが多く、その呼び名として出来たのが龍蛇族という言葉だと教えられています。
そのように見たとき、蛇口は口を大きく広げ、霊気を発する龍と見なすことが出来るように思え、それをさせているのが祓戸大神(はらえどのおおかみ)の中心的存在である瀬織津姫(せおりつひめ)であるように思います。
そしてシンクを洗い流すのが速開都比売(はやあきつひめ)、あらゆるゴミを飲み込む排水溝に当たるのが気吹戸主(いぶきどぬし)、そしてその水を循環させるのが速佐須良比売(はやさすらひめ)として見なすことが出来るように思えます。
イヤシロチとケガレチの関係も祓戸大神と同じように例えることが出来ると思えたからなのですが、ひとつ忘れていただきたくないことがあります。
ケガレチが増えることは基本的にありませんが、
イヤシロチに当たる蛇口は水だけではなく、浄化や癒しのエネルギーと捉えることができることから、変えることや増やすことが出来るものだということです。
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イヤシロチは、浄化や癒やしのエネルギーが吹き出す場所。
ケガレチは、すべての禍々しいエネルギーを飲み込む場所。
繰り返しになりますが、どちらが良い悪いではなく、両者は対の存在であり、それぞれの役割があります。