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クルマ屋さんの分かりやすーい解説     『クーラーガス』編


こんにちは、ジコプロ中の人です。

さて、今回は今の車には必ずと言っていいほどついているカーエアコンのお話です。もっと言うとエアコンに使われているフロンガス類のお話です。

エアコンの何話すんだよ?とお思いでしょうけど、読み終わるころにはなかなかの衝撃的な内容で、ビビリ倒すこと請け合いです。(自らハードル上げてく)

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冒頭で「必ずと言っていいほどついている」なんて書きましたが、「エアコン付いて無い車なんてあるの?死ぬじゃん?」と思ったあなた、あるんですよ。

軽トラなど一部の車にはエアコン有り・無しが選択できます。
普通車にはもう全車付いていると思います。

普通車でも、平成10年ぐらいまではエアコンってグレードの低い車には付いていなくて、オプションで20~30万円位プラスして付けてたんですよ。

さてさてそんなエアコン、冷える仕組みは家庭用エアコンと同じなのですが、そこら辺は特に問題では無いので省略します。
今回の本題は冷却に使われるガス(冷媒ガスといいます)のお話です。

==フロンガスの変遷==

みなさんも「フロンガス」という名前を聞いたことはあると思います。

とかく「地球温暖化」や「オゾン層破壊」といった悪いニュースで出てくる奴ですね。

昭和の頃、自動車のエアコンに使われていた冷媒ガスは「CFC-12」というフロンガスでした。しかし後にこの冷媒ガスがオゾン層をスーパー破壊してしまうものだという事が分かり、世界中で使用を止めようという事になりました。

そこで日本でも1996年に完全使用禁止となり、その少し前の頃つまり平成初め頃から、「HFC-134a」というフロンガスに変わっていきました。
このガスは代替フロンと呼ばれ、先の「CFC-12」と違いオゾン層を破壊しないフロンガスなのです。拍手~~パチパチパチパチ👏

これらの2つのガスはもちろん互換性が無いので、冷媒システムに使う機器も違ったものになりました。


==最近の環境問題==

しかーし、近年オゾン層破壊ではなく、二酸化炭素が地球温暖化に影響しているという事はご存じだと思います。「脱炭素社会を目指す」なんて言葉も聞かれるようになりましたね。

そして今世界では地球温暖化係数(GWP)という指標が取り入れられ、この係数の高い物の使用を止めて地球温暖化を防ごう!という機運になっています。

さて、ではカーエアコンの冷媒ガスのGWP値はどれくらいか?

昭和に使われていたCFC-12は、10,900です。  
平成に使われていたHFC-134aは、1,430です。

おーだいぶ減ったじゃないか!すごいじゃないか!と思いますが、規制が厳しい欧州では2017年に自動車に使われる冷媒ガスのGWP値上限を150にすると決まりました。これに習い日本も2023年に同様の数値基準にするという事が決まっています。

えっ!!全然ダメじゃん!?どうするの?
という事で出てきたのが、また新しい冷媒ガス「HFO-1234yf」(長い)です。こちらはなんとGWP値が「1」という優れモノのガスなんです。
やったね!解決!拍手~パチパチパチパチ👏👏

もちろん今までのガスと互換性は無いので、違った機器を使用します。
そして既に2019年からこの冷媒ガスが採用されている新型車が徐々に出てきました。

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==車の燃費問題==

さて、ここで一旦ガスの話から離れます。
実は一見関係なさそうに見える冷媒ガスと燃費の関係についてもお話ししなければなりません。

二代目プリウスが登場した平成15年位から車メーカー各社「ガソリン1Lで〇〇km走る!」という燃費競争が激化してきました。
燃費が良い=ガソリン代安い、環境に良い、税金優遇などメリットが多く、国も後押しして0.1km/L単位の燃費合戦が繰り広げられました。

これによる弊害も色々あるのですが、今回それは一旦置いておきます。
燃費を良くするのにはどうしたら良いかというと、主にエンジン性能の向上・空気抵抗の低減・車両重量の低減があげられます。

しかし、エンジン性能空気抵抗は散々研究して来ているので、そうそう向上するものではありません。
そこで一番手っ取り早い車の軽量化に各社力を入れて取り組みました。

軽い材料への変更・部品点数の低減・鉄板の薄板化・防音材の低減等、あらゆる物を削れるだけ削ったのです。
各部門グラム単位で軽量化ノルマが課せられ、担当者は相当苦労したと聞きます。

今までは各部贅沢に余裕を持った作りになっていた構造や機械類が、性能が維持できる限界までスリム化したわけです。

そしてその軽量化の波はエアコン系統にも当然来ました。


==クーラーシステムの軽量化問題==

クーラーガスの量も減らされたわけです。
もともと車のクーラーガスは高圧で充填されていますので、どうしてもちょっとずつ抜けてしまいます。夏に初めてクーラーかけたら、効きが悪かったというのはガス不足が主な原因です。

今までは余裕を持ったガス量・冷却性能を持ったクーラーシステムがギリギリの大きさにサイズダウンした感じです。
クーラーガスも量にして2~3割削減されました。

するとどうなるか・・・?

ちょっとのガス不足でもクーラーの効きが弱くなってしまいます。
夏が来るたびにガス量チェックして充填し直さないとダメかもしれません。
そしてガスはどうせ漏れるならと多く入れておけばいいというものでも無いのです。
ガス量の多すぎはこれまたクーラーの効きが悪くなります。

ギリギリのサイズで作られているので、多くてもダメ少なくてもダメ。クーラーガス量のシビアな管理が要求されるようになってきたのです。


==ガスチャージのDIY作業はオススメできない==

DIY作業でもクーラーのガスチャージは出来るので、クルマ好きの人はやったことがある人もいるかもしれません。

マニホールドゲージという、ガス缶とクーラーのパイプをつなぐための、ホースとメーターの付いた簡単な器具を使って作業します。

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この器具を使えばクーラーガスの充填はできます。ただ問題はガスの量が管理できないので、今何グラム入っているかはわかりません。

平成25年ごろ以降に販売された車は、しっかりグラム管理が出来るガス充填機を使ったガスチャージが重要です。

できれば下の写真の様な、きちんとしたクーラーガス充填機を持ったクルマ屋さんにお願いしましょう。

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==さて衝撃の内容とは?==

さて、ここまででほぼ解説は終わりましたが、さして衝撃的な内容ではなかったと思います。

なにが衝撃なのか??

実はクーラーガスのお値段です。

クーラーガス缶は下の様な200g入りの容器が一般的です。
(写真はHFC-134aのガス缶)

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今ほとんどの車に使われているガス、HFC-134aは販売価格で大体2,000円位です。1500~2000ccぐらいの小型車で3本ぐらい使います。

エアコンの効きが弱い時にガス充填機で補充してもらうと、大体一缶ぐらい使います。工賃と合わせて10,000円弱ぐらいなお値段でしょうか。

そして、話題の新ガス(HFO-1234yf)は200gで2万円ぐらいします(!)
ちなみに某ディーラーでは1缶3万円します(!!)
ガス補充で3~4万円かかる計算になりますね。

さらに車のフロント部をぶつけた場合、ほぼすべての車のフロントバンパーのすぐ後ろにはコンデンサーというガスの冷却装置が付いていて、これが壊れてガスが抜けていしまいます。(下の写真の赤丸の部品)

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コンデンサー本体の値段は新ガスも旧ガスもそんなに変わりはありませんが、ガスが完全に抜けてしまっている場合、再充填にかかるガス代は仮に3本使ったとすると、6千円が6万円になってしまうという事ですね。

今後このガスを使った車が増えてくれば、ガスも量産されて安くなるとは思いますが、10分の1になることはないと思います・・・

夏場のガス補充も事故時の負担も大きくなるというお話でした。


(クルマ屋さんの分かりやすーい解説 クーラーガス編 おわり)

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