ギンコウクエスト〜王の護衛編〜
今日は拠点担当の役員がやってくる。
勇者であるあなたは、午後イチで役員帯同での外交を命ぜられた。
役員はまだ支店長らと話し込んでいる。
しかし、課長連中は「役員殿をお待たせしてはならない、エレベーターを呼んでおけ」とかまびすしい。
さあ、どうする?
コマンド
さあ、勇者よ。 そなたの選択肢はどれだ?
心の赴くままに選んでみよ!
正解編:
「役員が来てからエレベーターを呼ぶ」これは人として「大正解」だ。
「私の拠点が入っているビルは他の会社も入居しているし、うちの事情で昼終わりのこの時間にエレベーターを止めてしまうのは申し訳ない。」
とでも考えたのだろう。
エライ、素晴らしい。
即刻死刑だ。
これはギンクエの中では大罪に他ならない。
「役員がエレベーターホールに出てきた時、エレベーターが来ていない。」 これは罪だ、支店長の面子がない。
おそらく、ゴール前のネイマールをマンマークするディフェンダーのごとく役員に張り付いた支店長に吹っ飛ばされるであろう。 僻地に、閑職に。
官吏にとって、エレベーターと言えども王への絶対恭順を示す大切な場なのだ。
これはどうだろうか?
ハッキリ言おう、筋は悪くない。
だが、たまたま役員到着前にエレベーターが来たとして、他の会社の人が乗っていたらどうする?
役員が少しでも窮屈そうにしたらどうする?
死刑だ。
役員に下々の民と同じ空気を吸わせる罪に抵触する。
銀行員にとって銀行の役員以上に優先するものはなく、役員様の前では一般人などゴミに等しい。
捨ておけ!
これ一択だ。
しかも、全身で身を挺してエレベーターを止めよ!
仰々しくするほど正解だ。
しかし、エレベーターは長くは止められない。
ヤツらは閉まろうとするだろう。当然だ。
他の階で人が待っているんだから。
なんなら長くエレベーターを止めすぎて警報が鳴る時だってある。
されど無視だ、聞かなきゃ警告も無意味なのだから。
最終段階にくると扉がガッシャンガッシャン言いはじめるだろう。
その時はこうだ。
「一度扉を閉じようとさせて、扉が閉まりかけたところで手を挟む」んだ。 そうすると再び扉は開く。
時間が稼げる。
モー娘。の「おー!ほら行こうぜ!」のダンスの動きだ。
そう、それで良い。 華麗に舞え!
だが、その時に考えてはいけないことがある。
その代表格に「苦労して良い大学を出してくれた親の顔を思い出すこと」だ。
父さん母さん、あなたの子供は全力で頑張ってます!(背景ブザー音)
「エレベーターも自分で呼べない人がどうして銀行経営なんてできるの?」なんて絶対に頭をよぎらせてはいけない。禁忌だ。
自分でエレベーターなんて呼べなくても出来るんだ、銀行経営は。
さて、あなたが全身全霊で止めたエレベーター。
ようやく役員が支店長室から出て来る。
エレベーターホールで支店長と目が合う。
ボスは満足気だ。
あなたはほっと一安心。 と、そこで役員が言う。
「トイレ行って来るから先降りといてくれ」
・・・チーン。 すみません、役員。
私も一緒にトイレに流してもらえませんでしょうか??
完
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