彼にLINEしたい衝動
慈子(あいこ)です。
前回の続きです。
☆☆
八木尾くんは私の顔を見て驚いていました。
「え…珍しいですね!?ここに来るなんて…」
ものすごく動揺しているのがわかりました。
「あー…私も数年ぶりにここに来て
たまたま友達と近くにいたから寄ったんだけど」
私もなんとなく辿々しく答えてしまいました。
すると八木尾くんは
「えっと、、最近はここに来てまして…
テザリングができることがわかりまして…」
ここに最近来てる?
じゃあ、カフェ寄る時間はあるけど
いつものカフェじゃなく
こっちを選んで来ている…
そして
なんか、聞いてもいないのに
言い訳してる…?
八木尾くんの態度から
即座に感じたのは
そんなことでした。
いつものカフェに行ってないことに
なんらか負い目を感じているような
そんな印象。
そして友人と八木尾くんも顔見知りなので
挨拶して
私はそのまま席につきました。
1ヶ月ぶりに会った八木尾くん。
私は自分の席について
心臓がバクバクいって手が震えてるのがわかりました。
なんで八木尾くんに会うとこうなるのだろう?
友人は「ねえ!やっぱり舞台見に行こうよ!また普通に
戻れるって!気にしすぎだよ!」と言いました。
「考えとく‥」
八木尾くんは
何か思っていつものカフェに来てないんだ。
それはきっと、私のことなんだ。
あの、気まずそうな態度、、
あー、何考えてるんだろう!
私は八木尾くんに会ってしまったことで
いっそうモヤモヤしてしまいました。
そしてその夜…
夜はいけません。
なぜあんなに感情が昂りやすいのでしょうか。
メンヘラ度が一気に増してしまいます。
ああああああ、だめだ。
八木尾くんに
LINEしたい!!!!!!
結局モヤモヤは置いといて
ただ、八木尾くんとコンタクトを取りたくて仕方ない自分になってしまっていました。
でも、なんて?
もしかしたら私を避けて
カフェに来てなかったかもしれないんだよ。
そうも取れるあの態度の八木尾くんに何をLINEするの?
うー…でも、、、
したい、したい!!
確かめよう!!
LINEが冷たかったら
避けられてるってはっきりするし!!!
そうだ、そうしよう!!!
私はなんとかLINEする理由を自分なりに作って
あっさり送信しました。
送信内容はこうです。
「今日会った時、舞台のチケット買えばよかったー!」
舞台、行くんかい!!!!
自分で突っ込みながらも
これしかLINEする自然な理由が浮かばず。
すると八木尾くんからすぐ返信が来ました。
「チケットまだできてないんですよー取り置きできますよ」
あ、普通に帰ってきた。
「そうなんだ。じゃあ取置きで」
でも私、ほんとに行って大丈夫?
劇団の女とイチャコラしてるかもしれないよ?
…そうだ
本人に内容確認したらいいんだ。
ここは正直に
聞いてみたらスッキリする。
そしてラブストーリーとかなら
ちょっと見れないなって言ってみよう。
別にそれくらい言ってもいいよね?
「あのさ、劇団のSNS見たんだけど
八木尾くんが女性に抱きつかれてるシーンがアップされてて
もしかして内容ってラブシーンとかあるようなお話?
だったらヤキモチ妬いちゃうから知っておきたいなーって思って笑」
笑って入れたから
重くないよね…??
八木尾くんからは
「そんな内容じゃないですよ!!笑
コメディです!!あれは元カノ役のシーンです。」
と返ってきました。
ちゃんと答えてくれたー!
「そっか、じゃあ私が見ても大丈夫だね!」
「大丈夫です笑」
なんだ、そうなのか。
よかった!!
八木尾くんも普通だ。
私はほっと一安心していました。
いずれ、八木尾くんのことちゃんと吹っ切るつもりはあるよ。
でもさ、なんか避けられてるかもって誤解したままじゃあね?
後味悪いし
ほら、仕事も応援したいからさ!
うんうん。
そんな感じで
モヤモヤも多少晴れ
舞台の日をちょっとだけ楽しみに過ごしていました。
当日はお花を持って行こう。
予約しなきゃ。
…しかし
この舞台が「あの」きっかけになるなんて
この時は思いもしなかったのでした。
続く
☆☆
慈子(あいこ)