【野球中継】テレビ派?ラジオ派?
実況オタクくんです。
さて、野球中継において「テレビ実況」と「ラジオ実況」は違う。
その違いを考えてみた。
まず「ラジオ」。
ラジオは音声で情報を伝えるメディアなので、試合の様子を音声で伝えなければならない。
よって、ラジオ実況のアナウンサーは目の前で起きていることを全て言葉にしなければならない。
例えば
「1回の表、◯◯高校の攻撃、右のバッターボックスには1番キャプテンの佐藤、マウンド上エースの高橋、振りかぶって第3球を、、、、投げました!アウトコース直球外れてボール!142キロ。カウント2ボール1ストライクとなりました。」
といった具合である。
これが凡打でもヒットでも同じ。
シーンに合わせて言葉を詰め込まなければならなくなるため自ずと早口になる。
またテレビではスーパー表示で何回の表or裏なのか、バッターは何番でBSOは何か、が一目でわかるが、ラジオの場合はわからないのでその都度言わなければならない。
一方、「テレビ」ではどうだろう。
音声以外に視覚情報がある。
説明した通り、打者の右左、BSOなどは見てわかるのだ。
そのためテレビ実況は見てわかることは削ぎ落とされている。
皆さんも注意してテレビ実況を聞いてみてほしい。
ピッチャー第◯球、投げました!
を言わないのである。
テレビ実況では言葉の数が減った、
ではラジオより楽なのかというとそうでもない。
ラジオでは気にしなくてよくて、テレビでは気にしなければならないこと。
それは「映像とのシンクロ」である。
見ている人が気持ちがいいように映像と実況、あるいは紹介を合わせなければならない。
バッターを映していたらバッターの紹介。
ピッチャーにズームしていたら、今のピッチャーの心境など、その映像にぴったりの言葉を選択、いわばナレーションのように差し込んであげる。
これがテレビ実況で求められるものだ。
自ずと名実況と呼ばれるシーンでは映像と実況がシンクロしているはずである。
例えば
『2015年夏の甲子園 決勝
仙台育英vs東海大相模』
3点ビハインドの仙台育英は2アウト満塁のチャンスを作ると1番佐藤が同点の3点タイムリースリーベースを放つ。
そのシーンは
(映像:ピッチャーズーム)
『切り抜けられるか?!東海大相模』
(映像:バッターズーム)
『弾き返すか?!仙台育英』
という実況の後に佐藤がスリーベースを打っている。
この気持ち良さ!このシンクロ率!
実況だけでなくカメラマンや中継ディレクターの「この後何か起きそうだ」という先読みの絵作りも素晴らしい!!
リアルタイムで観ていて大興奮だったのを今でも鮮明に覚えている。
あ、ちなみに、このスリーベースは6球粘った後の7球目だった。
ピッチャーが投げる直前に実況アナウンサーは「7球目!」と言っている。
テレビでは「第◯球」とか「◯球目」と言わない、と前述しておきながらこのシーンは例外であった。
「今言った言葉に明確な意味を持つか?!」
これがテレビ実況でコメントを減らした時に重要になってくるようだ。