アンソロは歩いてこない、なければ自分で作るんや

アンソロ出ないかな~と思ってるあなたへ

このカプ(ジャンル)のアンソロあればいいのに〜、誰か企画しないかな?このカプ(ジャンル)規模ならアンソロは絶対出るでしょ……と周りをチラチラ見てるそこのあなた!アンソロ、自分で企画しませんか?

確かにアンソロ主催はやることが多くて大変!でも、全員が「誰かアンソロ企画してくれないかな〜」と待ってたら永遠にアンソロは出ません。思い切って自分が手を挙げてみませんか?そうすれば、この世に1冊、確実に推しカプ(ジャンル)のアンソロが出るんですよ?

この記事は、アンソロ作ってみたいな〜、でも……と悩んでいる人の背中を押す一助になればと思って書きました。

※字書き目線です。漫画メインのアンソロはよく分からないぜ!
※ぼっち主催しか経験ありません。複数共同主催のノウハウは分かりません。
※愚痴やネガティブな感想、お気持ち表明は一切ありません。過去に私主催のアンソロに参加してくれた人には感謝の気持ちしかないし、私が参加したアンソロの主催・他メンバーにも同様だよ!
※クッソ長い記事になってゴメン!目次から気になるとこだけ読んでください



こういう理由で自分はアンソロ作れない……と思っている人へ!

よくある思い込みをひとつひとつ見ていきましょう。

「自分は人望がないから……」
→そんなことないよ!まあ万が一、あなたがジャンル内で問題を起こして多数の人からブロックされてるとかだったら実際人望はないのかもしれませんが、「人望がないから……」って自分で言う人は大抵、普通程度に人望あるので大丈夫だと思います!ていうか人望って別に要らんくない?アンソロに参加する人は主催者の人望で集まるのではなく、そこにアンソロ企画があるから集まるんですよね。買う人も同様です。最低限のマナー守ってれば大丈夫!

「このジャンルに知り合いがいないから……あまり交流してないから……」
→大丈夫です!アンソロに必要なのは交流ではなく実行能力と業務連絡です。あとお金の管理をきちんとするとか、秘密を守るとか。ビジネスライクに行こう!

「自分は表紙絵が描けないし、頼める絵描き友達もいないから……」
→大丈夫です!表紙はイラストを使わずデザイン表紙にする方法もあります。デザインは外注したらいい!同人誌の表紙作ってくれるデザイナーさんいますよ。お金で解決しよう!

「自分は字書きだから……」
→大丈夫です!表紙はデザイン表紙にしましょ!イラスト・漫画原稿を受け取って編集するのは確かに大変ですが、不可能ではありません。自信がなければ、いっそ小説限定アンソロにする手もあります!

「編集用ソフトを持ってない(買えない)から……」
→大丈夫です!無料で(または安く)使えるツールも色々あるよ!有料版をお試しで使うとか、コストを抑える方法はあります。

「編集用ソフトを使いこなせないから……」
→腹を括って試行錯誤しながら覚えるか、もしくは自分の身の丈にあった募集方法をしよう!

「同人誌を出したことがないから……」
→それはさすがに厳しい! 個人誌を経験してから再チャレンジしよう

「アンソロ参加経験がないから……」
→それは必須ではないかも!アンソロ参加者の立場も経験としてあった方がベターですが、個人誌経験があれば最低限なんとかなる!

「パソコン持ってない……」
→それは買った方がいいぜ! いや知らんけど……

「お金がないから……」
→それは無理しないで! アンソロは通常の同人誌よりコストがかさみ、赤字になりやすいです。最終的に収支トントンになるとしても、制作段階では費用が高額になりがちで、お金が飛んでいく一方です。印刷費も高額です。普段オンデマンドで本作ってるけどアンソロはオフセット!ってなると値段の違いにびびるのはあるあるですね。ただ、印刷所によってはアンソロ割引があったり、早割とか使えば意外と安く済む場合もあるので、どれくらいの費用になるのか見積もりを取ってみましょう。

「自分はこのジャンル新参だから……」
→大丈夫です!そんなん関係ないって!公式の前に二次創作者はみんな対等!むしろ新しい人がフレッシュな企画してくれたら嬉しいっていう古参もいるんじゃないかな?(※古参の人に歓迎されることを保証するものではありません)

「スケジュール管理能力がないから……」
→まあ程度によりますけど、個人誌をちょくちょく落とすとかだったらアンソロは厳しいかもですね……。

「他にもっと主催にふさわしい人がいるから……」
→その人が具体的にアンソロの企画を発表してるのでない限り、アンソロは「ない」んです。あなたが行動を起こさなければアンソロは永遠に出ないかもしれない。チラチラ見てないで腹をくくりましょ。

「誰も参加してくれなかったらと思うと不安で……」
→それは蓋を開けてみないと分からないところですね……。もし誰も来てくれなかったら自分ひとりで複数名義使ってでもアンソロを出すんだという強い気持ちを持ってください。アンソロに明確な定義はないので、発行者がアンソロだと言えばそれはアンソロなのです。

「50人くらい参加の大盛況アンソロにしたいけど2, 3人しか集まらなかったらどうしよう……」
贅沢をぬかすなァ! アンソロが出るか出ないか、それが一番大事。

「自分は漫画/小説が下手だから……」
→上手い・下手は問題じゃねえー!やるかやらないかだ!

こんなもんでしょうか? アンソロ作りたい気持ちになってきましたか?


アンソロ作り…何すればいいの? ざっくりした流れ

では、アンソロ企画のおおまかな流れを確認していきましょう。

  1. 計画を立てる。コンセプト、発行日、公募か招待か…など

  2. アンソロやります!と告知。告知用アカウント、webサイト作成。

  3. 募集要項発表。応募締め切り、作品提出締め切り、作品内容の縛り等。

  4. 印刷所決定。見積りを取る。

  5. 募集開始。質問・相談に答えたり、一斉連絡なども行う。

  6. レイアウト決め。表紙、口絵、扉、もくじ、本文、執筆者コメント、編集後記、奥付け等。

  7. 編集作業。作品を受け取ったらどんどんレイアウトにはめ込んでいく。修正の必要があればすぐ連絡する。

  8. 表紙作成。人に依頼する場合は早めに動く。

  9. アンソロの告知・宣伝。

  10. 提出締め切り。

  11. 印刷所の締め切りをにらみながら編集作業!

  12.  印刷所に入稿

  13. 通販サイトに登録

  14. 発行当日の頒布方法を決める。売り子を頼むか、取置きは受け付けるのか、献本はどうやって渡すか等。

  15. 発行!お疲れ様でした


アンソロ企画の難易度

自分にアンソロを作れるかどうか……?その成功条件は、「難易度が見合っているか」これに尽きます。
それでは具体的な難易度を見ていきましょう。
※主催者が字書きである場合を想定しています
※あくまで例示的なものです

【難易度:易しい】

小説限定アンソロで、レイアウトは主催者おまかせにすることを了承してもらう。執筆者には原稿テキストデータを提出してもらう。もらったテキストデータを主催者がWord等のテンプレに流し込む。扉、目次、奥付け等を付けて丸ごとPDF化。このやり方だとPDF編集ソフトが必要ありません。
表紙はデザイナーに発注。印刷所のテンプレートダウンロードページを伝えて、その通りに作ってもらう。もらったデータをそのまま入稿することにすれば画像編集ソフトも不要。確認用にPNG形式等のサンプルも貰ってね。
おそらくこれが一番ラクな方法。
原稿の構成がシンプルなため校正作業もしやすく、誤字脱字を見つけた時も「こっちで直しときますね!」ができるので時間がかかりません。原稿ファイルサイズも小さくて済むでしょう。
デメリットとしては、自分でレイアウトこだわりたい字書きさんもいるので、おまかせを了承してもらえるかどうか……ってとこですね。行間・字間の詰め方、フォント、ルビ、特殊文字、濁点あえぎとかも字書きの個性なので。
逆に、同人誌未経験の参加者が多い場合は、提出方法が簡単なためむしろ喜ばれるかもしれません。

【難易度:中】

小説限定または小説メイン+若干のイラストで構成するアンソロ。各自レイアウト組んでPDF提出してもらう。複数のPDFを結合したりノンブルを入れられるソフトが必要。
基本的に完全原稿(直しが必要ない原稿)が前提となります。もし各作品の原稿に不備がある場合、執筆者に修正をお願い→再提出→再チェック……になるので、日数を取られることがあります。スケジュールには余裕を持ちましょう。

【難易度:やや難】

漫画イラスト小説混合アンソロで、各自レイアウトした原稿をpsd等で提出してもらう。小説部分だけでもラクをするために、PDF完全原稿またはテキストデータでレイアウトおまかせとか、なるべく手間がかからない形にするのがおすすめ。
漫画イラスト原稿のために、psdを扱えるソフトが必要。ファイルサイズもかなりボリュームが大きくなってきます。ファイルが複数に分かれることになるので、ページ順序ミス、抜け・重複などに注意します。
小説原稿では通常考慮しない「塗り足し、タチキリ」「トンボ」「解像度」「モアレ」「局部修正」とかの概念が登場。ノンブルを入れる場所に気をつかうかも。隠しノンブルも検討。漫画原稿はページの左右が重要なので、右始まりか左始まりか必ず伝えましょう。(小説なら気にしなくていいという意味ではないですよ)

【難易度:むずかしい】

漫画イラスト小説混合アンソロで、原稿作成に不慣れな人がいたり、アナログ原稿の人がいる場合。または非常に参加人数が多い等。ToDoリストを作るなど、進捗をしっかり管理していきましょう。予算もスケジュールも余裕を持って取り組むのがおすすめです。

難易度上げ下げを考えよう!

自分が考えているアンソロはどれくらいの難易度なのか見極め、妥協できるポイントは妥協したり、動かせないポイントは対策を考えましょう。

【難易度が上がるポイント】

<主催者のリスク>

・主催者にアンソロ参加経験がない
・主催者は小説のみ書く人だが、今回初めて漫画含むアンソロを企画する
・主催者が同人活動に使える時間が短め
・主催者の体調面に不安がある。主催者が一人暮らし(緊急入院などの場合、主催者が音信不通になってしまい多くの人に迷惑をかける)
・主催を複数人共同でやる(責任が曖昧になるリスク)⇔主催者が自分ひとり(負担増のリスク)

<スケジュールと予算のリスク>

・執筆スケジュールを短めに設定する
・印刷所で早割を利用する
・絶対に発行日を延期できない事情がある
・頒布数が読めない。または非常にたくさん売れる可能性。(印刷部数、価格設定に悩む)
・漫画、イラスト原稿がある
・同人誌制作経験のない参加者がいる
・各作品の開始ページ左右を揃えない方針とする(レイアウト混乱しがち)
・小説原稿のレイアウトを各自でやらせる(修正に手間取る可能性)
・どすけべ漫画・イラストがある(局部修正確認の手間)
・アナログ原稿提出を希望する人がいる
・主催者の想定していないソフトで原稿作成する人がいる
・各自のページ数を無制限とする(超大ボリュームの原稿貰っても本当に大丈夫?)
・メールなどで行う業務連絡に不慣れな参加者がいる
・ときどき急に音信不通になる参加者がいる/体調が不安定な参加者がいる(こまめに生存確認しよう!)
ノベルティを作る
発行記念企画を行う
特殊装丁もりもりにする
・普段使わないツール、ソフトを使う
・普段使わない印刷所を使う
・普段と違う方法で通販を行う

<人間関係リスク>

・表紙を描きたがっている人が複数いる
・参加者を公募(どんな人が来るか予想できない)⇔参加者が全員友達(慣れ合い、内輪揉めのリスク)
・参加者に飛び抜けて知名度の高い作家がいる
・参加者多数につき抽選する(不公平感や憶測を呼ぶリスク)
・印刷費を参加者で分担する/売上を参加者に分配する(やめたほうがいい)

<炎上リスク>

・不特定多数に知られたくないタイプのアンソロ
・元ネタジャンルの一般的知名度が高い
・カップリングやキャラ解釈などで揉めやすい要素を含む


【難易度を下げるには……?】

基本的には上記アップポイントの逆をやってください。

<その他の難易度ダウンポイント>
・「原稿の誤字脱字など軽微なミスの修正は主催者におまかせする」とあらかじめ同意を取る
予算をたっぷりかける(印刷費や有料サービスなど、お金で時間を買えることがあるので)
・参加者の多くが普段から余裕入稿している精鋭ぞろい(締切破りリスク低)
……など


アンソロ企画において気をつけた方がいいよ!ってポイント

財布と相談!

アンソロはこだわればこだわるほど赤字! 特殊装丁、ノベルティ、記念企画……どんどん予算がふくらみます。お金をかけてでもやりたいことなのか、よく考えて! でも、どうしてもやりたいなら、割り切って景気良くやりましょう。

テーマは具体的に

「●●で●●するA×Bアンソロ!」みたいに特定のテーマを打ち出して、「そのシチュエーション面白そう、かいてみたいな」と創作意欲をくすぐるのがいいんじゃないかな〜と思います。ただ、あまりにマニアックすぎると参加者が少なくなるし、ほどよいバランスが大事ですね。

公募か招待か

公募というのは、「参加者を募集します!参加したい人は連絡ください!」というタイプ。招待は、主催者が知り合い等に声をかけて集めるタイプ。実際には両方が混在してたり、こちらから招待に上がろうかと思ってたら向こうから先に名乗りを上げてくれたというパターンもあります。
一人でも多く集めたい場合は公募にしますが、どんな人が来るか分からない怖さもあります。リスクを減らしたければ、「そのカプの同人誌発行経験者のみ」「web発表作品が1つ以上あること」「主催者と相互フォローであること」等制限を付けるのもありです。
気心の知れた人だけを集めて完全招待制にするのもよいですが、「呼んでもらえなかった……」とガッカリ感を与える可能性もあるので、なぜその形式、そのメンバーなのかを説明できるようにしておくといいかなと思います。
公募と招待が混在している場合は、誰が招待メンバーなのか分からないようにしたほうが、人間関係トラブルを避けられると思います。公募枠と招待枠で待遇に差をつけることは絶対にやめましょう。
この人にぜひ参加してほしい!と心に決めた相手がいる場合は、思い切って声をかけてみましょう。もし不都合なら断られるだけなので、ダメ元で声かけるだけ声かけてみるのはありです。打診するときは必ず、一対一の連絡手段(DM、メール等)で伝えましょう。ほかの人に見える場所で「アンソロ参加しませんか!?」と言われたら断りづらいですし、周囲から「あの人にだけ声をかけて……」と邪推される原因にもなります。

不安がる参加者(候補)をいかに説得するか

最近はネットで同人活動が完結する人も多いですものね。同人誌未経験だから……という理由でアンソロ参加をためらう人もいます。でも個人で同人誌出したことない人が、アンソロでコツを掴めば、その人はその後個人誌を出せる可能性が高まるじゃないですか? それって素敵なことだと思うんですよね。しっかりサポートするからぜひ参加してほしい旨を誠実に伝えましょう。

たとえばなんですが、「この人が参加するなら私にもできるかも!」と思わせるような人(同人誌初心者)を初期から参加させておくと、参加を迷っている人の心理的ハードルを下げることができるかもしれません。これはなかなか狙ってできる技ではありませんが……。私も狙ってやったことはないです……。やりようによっては失礼に当たるので慎重にどうぞ。要は、アンソロだからってそんなに身構えないでね〜怖くないよ!ってことを丁寧に伝えていけばいいと思います。

炎上リスク回避

炎上の未来が予期できていれば苦労しないので、本当に難しい話ではありますが……
・普段から攻撃的な言動をしない
・信頼できる人からの忠告は素直に聞き入れる
・「たぶん大丈夫だろう」で突き進まない
・公共の場に出していい話題かどうか慎重に判断
・アカウント切り替え間違いに注意
・告知アカウントで個人的な発言をしない
このあたりを注意しておくとよいかもしれません。

お名前は絶対に間違えない

メッセージを送るとき、執筆者一覧を出す時、アンソロの裏表紙や奥付で……お名前を間違えないように気を付けましょう。(その節は大変申し訳ございませんでした)
マジでマジでマジでマジで絶対間違えちゃダメなものに限って間違えるんですよ。悪気があって間違えるのではないのです……ただうっかり間違えるだけなのです……。とはいえ名前間違えられたら「この主催者大丈夫かな」って思いますよね。このミスは出来る限りゼロに近づける努力をしましょう。
いやいや、そんなん間違えないっしょ〜と慣れてきた頃が危ない。名前は必ずコピペしよう!手入力しないでコピペが一番!ただし最初にコピペしたのが誤字ってるとずっと間違え続けることになるので気を付けて!コピペしないで手打ちならせめて10回は確認しよう。
あと、これはミス防止のテクニックなのですが、執筆者に連絡するとき、文面使い回ししてたら名前を書き換え忘れた~!って痛恨のミスを防ぐため、メール本文内には極力お名前を書かないのがおすすめです。全員共通で送る業務連絡であれば、まったく同じ文面でBCC一斉送信するのも手ですね。

連絡はこまめに。なるべく即レス

メッセージ、質問、原稿提出を受けたら、とにかく1分でも早く「見ました!(詳しくは後ほど)」って返信を先にしたほうがいいです。じっくり読んでから……よく考えてから……とか思ってるうちにズルズルと返信が遅れてしまい、こんなに遅くなったからにはきちんとした返信をしないと!と思い込んでますます遅れてしまう……というのがよくあるパターンです。(実際にはなかなか即レスできず申し訳ございませんでした)
相手の気持ちを考えましょう。相手は、メッセージが無事届いたのかどうか、不具合とか、迷惑メールBOXに行ってしまったかな?等を心配しています。まずは「既読」の連絡だけして、具体的な返事はゆっくり考えるのがおすすめです。
妙な時刻にメッセージ返信したら「こんな時間に起きてるのかよ」って思われそうで……とか、あまりに即レスだと待ち構えてたみたいでキモいんでは?とか思うかもしれませんが、相手はあなたの生活リズムに興味ないから大丈夫だと思うよ!それより返信忘れが何よりも怖いのでそのリスクを避けましょう。

ただし、あまりにも主催の連絡が速すぎたり頻繁だと、ペースについていけない……とプレッシャーに感じる人もいます。メリハリをつけて、時にはどっしりと余裕を見せるのも大事かも……ですね。(その節は本当に申し訳ございませんでした)


表紙はデザイナー外注もあり

表紙イラスト描いたりデザインしてくれる友達がいない~ってときは、お金で解決しましょう!
ありがたいことに、手ごろな価格で同人誌表紙デザインを請け負ってくれるデザイナーさんたちがいらっしゃいます。制作事例サンプルを載せてる場合が多いので、それを見て、「こんなデザインがいい」とイメージを膨らませましょう。
デザイナーさんのアカウントを普段からチェックしたり、知り合いから情報収集しておくと、キャンペーンや紹介割引が利用できる場合もありますよ。
デザイナーさんから、「完成したデザインを制作事例として公開してもよいか?」というのをほぼ必ず聞かれると思いますが(公開OKにすると制作代金が割引されることが多い)、アンソロの表紙をどこまでおおっぴらにしていいのか、あらかじめ方針を決めておきましょう。執筆者名やカプ名を隠したうえで公開してもらう方法もあります。
小説アンソロだとデザイン表紙は定番ですが、漫画・イラスト含むアンソロジーであっても、あえて表紙はイラスト無しで……というのも選択肢の一つだと思います。表紙を誰が描くかで揉めたり、嫉妬を呼ぶリスクがあると判断したら、デザイン表紙を検討してみるとよいかもしれません。

表紙デザイン外注をすると、まずサンプル1種または数種をもらって、OKなら入稿用データ納品という流れになると思います(いきなりサンプル+本番データ同時納品の場合もあります)
サンプルもらった時点で、ワーイ!って嬉しくて、すぐ公開したくなる気持ちは分かりますが、まずは「参加者だけに」サンプル画像を見せたほうがいいです。万一、致命的なミスがあった場合、ここで気づけばすぐ訂正できるので。(その節はご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした)

締切は余裕を持って

アンソロは個人誌より時間がかかります。自分の原稿だけでなく、編集、レイアウト作業で予想以上に時間を取られます。
自分だけ頑張れば発行できる個人誌と違って、他の人の進捗に左右される部分もあります。
「これが決まらないとこれが配置できなくて……」「この作業が終わらないとこっちに取り掛かれなくて……」というボトルネックが発生しやすいのもアンソロ独特の悩みです。
スケジュールには余裕を持たせましょう!
では、どれくらい期間があればいいのか?それは正直、参加人数や仕様によって全然違ってくるので一概に言えません……。アンソロHowTo記事を読んだり、アンソロ経験のある知り合いに聞いたりして、考えてみてください。

あと、これはあまり大きな声で言えないのですが……締め切りって2段階ありますよね。建て前の締め切りと、本当の締め切りです。
執筆参加者に原稿締め切り日を伝えるとき、絶対に「本当の締め切り」を伝えてはいけません。
本当の締め切りというのは、それを破られるとあらゆる作業が後ろにずれこみ、限界となり、アンソロが発行できなくなるデッドラインのことです。これは主催者だけが把握しておけばよいものです。参加者に伝えてしまうと、最悪それまでに仕上げればいいんだと勘違いさせ、締め切り破りが発生しやすくなります。なので参加者には「建て前の締め切り」だけを伝えます。
場合によっては、建て前の締め切りをさらに2段階にして、遅刻しそうな人に「○月○日が本当の締め切りですよ」と伝えることもあります。遅刻常習犯がその仕組みに慣れてる場合は「そんなこと言って、本当の締め切りじゃないの知ってるんだから」とギリギリを攻めてくることがあるので注意しましょう。
無事入稿できた後も、「遅刻者いたけど、本当の締め切りは○日だったから、余裕で間に合った~」なんて具体的日付を言うことは慎みましょう。締め切りを守った参加者は「最初の締め切りに必死で間に合わせたのにな……」と思うかもしれません。

ところで原稿提出期限は、お尻だけじゃなく頭も決めておいたほうがいいです(受付開始日のことね)
なぜかというと、あまりに早く提出してくれる人がいると、あとから仕様変更したいとき困るからです。意外と、参加人数が確定しないと決められないことって多いんですよね。(はい……その節は申し訳ございませんでした)

左右を確認!

本というものは……特に分厚い本は、綴じてある部分(ノドと言います)の余白を多くとらないといけないので、普通、奇数ページと偶数ページで余白設定は異なります。ノンブルの位置も逆になりますね。なので原稿レイアウトにおいて奇数ページ・偶数ページは常に区別して扱います。
原稿の内容においても、漫画・イラストであれば見開きページを意識するのは常識ですし、小説であっても、「左側ページのラストで惹きつけて、次のページめくったときに驚きを」といった効果を考えてレイアウトする人もいます。これを間違えると大変なことになる(見開きが繋がらない、演出効果が台無しになる)ので、左右はよくよく注意して下さい。
右と左が時々わかんなくなるんだよな……って自覚のある人はもちろん、左右の区別くらい当たり前にできると思っている人も、脳が疲れた状態でレイアウトしてるとだんだんわけがわからなくなるので、機械的にチェックできるツールを使うのがおすすめです。
私の場合は、Excelでかんたんな表を作って、ページNo、左/右、誰の原稿の何ページ目……のように記録してました。ページ抜けやノンブルのミスも防げるので、そういうのを作っておくとよいです。ほかに何か使いやすいツールがあるならそれでもいいです。

参加者には、ひとりひとりの原稿は左右どっちから始まるのか、あらかじめ(依頼時または募集時に)伝えておきましょう。あとから「左じゃなくてやっぱり右始まりで!」とか言うと、もうネーム作っちゃったよ!!ってなったら迷惑をかけます。
さらに言うと、全参加者で左始まりor右始まりどちらかに統一したほうが楽です。
ただし、どちらかに統一した場合、各原稿のページ数によっては、真っ白な余りページができてしまうことがあります。別に気にしない!っていうのもありですし、もったいないから何かおまけ的なもので埋めるか……でもいいと思います。読む側としては意外と気にならないです。

コメントカットの仕様

執筆者コメントはどの場所に配置するのか、先に決めておいた方がいいです。本全体のまえがきとして置くのか、各作品の扉ページ/扉ページ裏に配置するのか、または本全体のあとがき部分に載せるのか。読者が作品を読む前に目に入るのかどうかで書く内容が変わってくる(ネタバレ、裏話ありかなしか…)ので、あらかじめ伝えておくとよいでしょう。

校正をする?しない?

作品を受け取ったとき、または編集作業中、原稿の内容面の不備に気づくことがあります。入稿できないレベルの不備なら修正依頼するしかありませんが、ちょっとした誤字などのミスを指摘するかどうかは結構悩むところです。指摘→差し戻し→再提出→再チェック→さっきのは直ったけど今度はここが……!→差し戻し→再提出……で予想以上に時間がかかることもあります。
提出は完全原稿が基本というのは皆さんご承知だと思うのですが、やっぱり人間ですからミスは出るし、ミスに気づいてしまった以上はできるだけ直したいですよね。読者に最高のアンソロを届けたいから……。
校正にどこまで手間暇をかけられるかは、主催者の時間的・精神的余裕によってさまざまです。徹底的に校正しようとしたら、時間がいくらあっても足りません。
また、参加者のほうも、いちいち間違いを指摘されるのが嫌という人もいるかもしれません。
「校正はしてもらえたらラッキー」というレベルで考えている参加者もいれば、「主催が丁寧に校正するのは当然でしょ」という考えの人もいるかも……。
結局はスケジュールと相談しながらバランスを取るしかないですね。校正を手伝ってくれる人いませんか?と助けを求めるのもありだと思います。
あと、校正するときは、必ず紙に印刷してチェックしましょう。
パソコンの画面できちんと確認した!ちゃんとできてるもん!って思っても、印刷したとたん「あっ!!」ということは本当によくあります。面倒でも必ず印刷しましょう。

生存確認をしろ

あの人から返信来ないな〜、忙しいのかな……あれ!?連絡が取れない!みたいなことはしばしば起こりえます。最悪の場合、亡くなっている可能性すらあるので、ときどき生存確認したほうがいいです。と言っても参加者が多いとなかなか難しいですが、原稿締め切り前に進捗確認のタイミングを設けるとか、何らか返信を要するメールを送るとかして、「この人から返事がない、おかしい」と早めに気づけるようにするのがベストです。SNSで毎日つぶやく人なら生きてることは分かるので助かるんですけど、もともと頻繁につぶやかない人もいますからね。

進捗確認もしよう

参加者がもくもくと原稿頑張ってて〆切ギリで出すつもりなのか、〆切を忘れてるのか、はかどらなくてもうダメかも……と思ってるのか、入院とかして原稿どころじゃない状態なのか、主催からは何も分からないんですよね。かといって直前に催促するのも悪いし……難しいですね。
事前に、「〆切の●日前に一斉進捗確認します」と伝えておくといいかもしれないです。あなただけをせかしてるわけじゃなくて、みんな生きてる?って確認したいだけだよ〜って感じで。「順調です」「やってます」「生きてます」とか返信テンプレを用意してあげたら親切かも。
〆切を破られた場合どうするか……も事前に決めておいたほうが安全です。参加辞退として扱う、〆切破りの場合校正サービスをしないとか。

入稿チェックリスト

余裕のある時から入稿時チェックリストを作っておくのがおすすめです。あれを忘れないようにしなきゃ、と思ったことは絶対に忘れるので、思いついた時にすぐさまチェックリストに追加しておきましょう。印刷所が指定するデータ作成方法に従うことは当然として、余白、塗り足し、解像度、ノンブル、ページの左右、目次、奥付、QRコード読取り確認など、チェックすべきポイントをまとめておきます。

告知アカウントの運用

アンソロの宣伝、情報公開のため、告知アカウントは必須です。こまめに告知アカウントから発信し、まずはアンソロが出ることを多くの人に知ってもらいましょう。
フォローの方針はあらかじめ決めておくのがよいです。フォローしてくれた人全員フォロバする、またはアンソロ参加者のみフォロー、どちらかにするのが一般的です。
告知アカのフォロワー欄にインプレゾンビがわいてることがあるのでこまめにチェックしてブロックしましょう。
告知アカウントで個人的な交流はしないのが無難です。特定の人ばかりと仲良くしていると思われないように。あくまでアンソロの告知につとめ、情報発信と、質問への回答程度にとどめましょう。

発行が近づいてきたら、各作品の見どころ、R18要素の有無、特殊要素などをネタバレにならない範囲で紹介しましょう。
エロ多めなら欲しい!という人、逆にエロ多めなら購入を躊躇する……という人もいます。どちらにせよあらかじめ分かればみんな安心です。

様付けする/しないをきちんと使い分けることも大事です。原則として、参加者に対してのみ送るメッセージなら敬意を表して「様付け」、読者や不特定多数に対するメッセージなら参加者は身内扱いなので「呼び捨て」となります。ただ、ほぼ身内で作るアンソロで読者と参加者が限りなく等しい場合などは、常に様付けでもいいのかもしれません。
呼び捨てにする場合、「敬称略とさせていただきました」と添えておくと丁寧です。

メールのやり取り

インターネット老人会の人は特に気をつけてほしいのですが、あなたが思っているメールの常識は相手にとっては常識ではないかも……ということを肝に銘じましょう。メールに自分の名前を書かなかったり、もらったメールに返信する習慣がない人もいます。細かいことで腹を立てず、業務連絡がスムーズにできればヨシ!と考えましょう。
最初に軽めの用事で「このメールを読んだら必ず返信してください」と送って、練習の機会とするのがおすすめです。
返信を求めるメールを送るときは、いつまでに返信してほしいのか書いておきましょう。返信がない場合どうするか(了承として扱う等)も書いておけばトラブル回避になります。

メールの件名は直接的に分かりやすいものがよいです。「進捗確認」「原稿提出方法」「献本について」等。
人によっては、メールが来ると、何か叱られるんじゃ!?とびくびくしてしまうこともあります。文字だけのメールは冷たい印象を与えることがあるので、怖くないよ~と親しみやすさを出していきましょう。いっそ、ポジティブな連絡のときは常に件名に「♪」を付けます!くらいしてもいいと思います。今度やってみようかな。

当然のことながら、メールの宛先で「CC」使っちゃダメですよ!?(全員がもともと互いのメールアドレスを知っている場合を除く)
アンソロの規模に関係なく、個人情報はきちんと守りましょう。
BCCは便利ですが、CCはダメです。違いが分からない人はデフォルトの「To」だけ使ってください。

転売対策

奥付に書くのは当然として、もう表紙にでかでかと「転売禁止」って書いておくのがいいんじゃないかな。知らなかったって言い訳を封じましょう。もし出品されたとしても表紙に転売禁止って書いてあったら、買い手が付きにくく、出品削除も通りやすいのではと思います。

献本引き渡し方法

顔を知らない相手に現地で直接渡す場合、本人確認は取った方がよいです。HN名乗りだけで受け取れてしまうと、なりすましもありうるので……。参加者が多い場合は手間がかかって面倒かもしれませんが、あらかじめ送っておいた合言葉や画像を見せてもらう等、お互い負担のない確認方法を考えましょう。


アンソロの一般的な構成

だいたいどのジャンル、どのアンソロでも共通する構成はこんな感じです。参考までに。
(★は必須要素)

  • カバーおもて側(カバー付けないなら無し)

  • おもて表紙★

  • おもて表紙の見返し印刷等(しないならしないでOK)

  • 遊び紙、遊び紙印刷(なくてもよい)

  • 総合扉ページ(アンソロタイトル、ジャンル、カプ名、注意書き等)★

  • 目次★

  • 主催まえがき

  • 作者コメント(冒頭にまとめて配置する場合)

  • 各作品の扉ページ(タイトル、作者名、注意書き等)

  • 作者コメントページ(作品ごとに配置する場合)

  • 各作品本文★

  • 作者コメント(最後にまとめて配置する場合)

  • 主催あとがき・編集後記

  • 執筆者一覧、各連絡先(作者コメントと一緒に載せてもよい)★

  • 奥付け(主催連絡先を必ず記載。SNSアカウントだけでなくメールアドレス推奨)★

  • 遊び紙、遊び紙印刷

  • うら表紙の見返し印刷等

  • うら表紙★

  • カバーうら側


各作品の配置方法3種類

扉ページの有無によって3パターンに分類できます。
①扉フル(おもてうら両面)
→めくって左=奇数ページから本文開始

②扉ハーフ(おもてのみ)
→めくって右=偶数ページから本文開始

③扉なし
→前の作品が終わったら即次の作品を詰め込む

どのパターンでもいいですが、それぞれメリット・デメリットがあります。

  • ページ数を節約できる ③<②<①

  • 読みやすさ ①=②>③

  • 作業のしやすさ ①>②>③

状況に応じてお好みでどうぞ。
どのパターンで行くのか、参加者には早めに伝えましょう。それによって原稿のレイアウトも変わってくるためです。
たとえば③の場合だと、扉がない都合上、タイトル、作者名、注意書き、エンドマーク等を「原稿内に」記載してもらう必要があります。
①②で扉ページを作る場合は、「主催のほうで扉ページにタイトルと作者名を入れるので、原稿本文にはタイトル・作者名を書かなくてよい、むしろ書かないでください」と伝えましょう。


参加者にあらかじめ伝えた方がよい30のこと

参加者を募るとき、告知アカウント/サイトを作ったとき、こういう内容を伝えておくとよいだろうなというのをまとめました。これでだいたい網羅できてると思います!コピペして使ってください。

  • 募集内容(カプ、テーマ、内容の縛り、成人向け可否など)

  • 作品形態(小説、漫画、イラスト等なんでもいいのか、限定なのか)

  • 参加資格(誰でもOKなのか、相互に限るとか、個人誌経験者限定とか……)

  • カプは固定か、避けてほしい要素があるのか等。あとで揉めると厄介なので最初に決めておくとよい。「リバOKですか?」「普段逆カプですが参加できますか?」「未成年でもいいですか?」等、ひととおりの質問を想定しておく。

  • 主催者の名前(HN)、連絡先、アンソロ告知アカウント

  • 発行時期

  • 発行イベント

  • 頒布方法(イベント現地、通販等)

  • 公募か招待制か混合か。先着順で締切または抽選をする場合はその旨。

  • アンソロ企画を水面下で進めている場合は、○月○日主催から発表するまではアンソロのこと黙っていてほしい等お願いする。

  • 表紙はイラスト有りか無しか。イラスト描いてくれる人が決まってる場合はその旨。デザイン表紙ならその旨。

  • 印刷所、装丁(決まってる範囲で)

  • 印刷所がテンプレートを配布している場合はそのリンク

  • 印刷費用は誰が負担するか、参加者に費用の発生はあるか

  • 執筆のお礼内容(献本+プチギフトが一般的)

  • 献本の引き渡し方法

  • 応募受付期間

  • 原稿受付期間(開始日と締め切り両方伝えるのがよい)

  • ひとり当たりページ数または文字数

  • 既発表作品のリメイク・加筆での参加はありか

  • 参加にあたって絶対に守ってほしいルール(公式凸しない、盗作禁止など、当たり前のことも一応書いておくと安心)

  • 再録制限(アンソロ発行から一定期間は、寄稿作品を個人誌やwebで発表しないでほしいというお願い。意外と忘れがちだけどこれが明記されてると助かる。「完売したら…」はお勧めしない。期間で区切るべき)

  • 共通テンプレートを使用する場合、使い方説明

  • 原稿は奇数ページ始まりか偶数ページ始まりか

  • 原稿の本文内にタイトル、作者名入れるか、不要か

  • 執筆者コメントの配置は作品の前か、後か

  • 原稿データ提出方法

  • 執筆者コメント提出方法

  • 主催が寄稿作品の校正をするかどうか(真剣にやろうとするとめちゃくちゃ時間と手間がかかるのでよく考えよう。いっそ「校正はしません!完全原稿でおなしゃす!」もあり)

  • 各作品のサンプル部分は各作者が自由に掲載・宣伝してよいのか。サンプルの定義(冒頭1ページ、全体の3割等)


以上です! めちゃくちゃ長々と書いてしまいました。読んでくださった方、お疲れ様でした。
愛の詰まったアンソロが出来上がることをお祈りしています!