1983年5月 IRAS・荒貴・オルコック彗星
1983年の5月、明るい彗星がやってきて、写真撮影に挑戦した。
この頃は、家の周辺も明るくなり、星野写真を撮るのは難しく、撮影地を探して、東へ西へ、ウロウロしていた。
時代は、イケイケドンドンだから、だれも星が見えなくなっても、気にしない。衛星から見た地球の夜景は、日本列島が明るく縁どられていた。
「アイラス・荒貴・オルコック彗星」は、赤外線天文衛星と日本の荒貴さん、英国のオルコックさんが、独立して発見した。
アイラスは天文衛星だ。そんな時代の幕開けとなった彗星だった。
この彗星は、長い尾をひくこともなく、突然現れて、さっさと消えてしまった。本当に珍しい彗星だった。ほぼ中央のぼんやりしたものが彗星。
こんな珍しい彗星もある。本当に宇宙は広くて無限だ。
星好きにとって、彗星発見は、あえてコメットハンターと呼び、例えて言えば、オリンピックでメダルを取るようなもの。
1965年の、池谷・関彗星が長い尾をひいて、明け方の空を賑わしてから、彗星発見はアマチュアの役割みたいになり、たくさんの方が夕方や明け方の夜空を掃天して、努力と幸運に恵まれた方だけが、彗星発見者となり、彗星に名前が付けられるという、名誉を与えられる。ただ、それだけだ。
捜索用の望遠鏡は、昔は自作が主流だったが、高性能な双眼鏡が適しているとわかると、ニコンの12cm、フジノンの15cmが花形になった。
とてつもなく高くて、普通の勤め人がおいそれと買えるものではなかった。
そんなアナログの世界にもデジタル化が浸透し、写真掃天が導入されたり、
デジカメで撮影し、家に帰ってからパソコンで確認する方法などがある。
2023年の彗星発見数は25個位?
日本人の発見は1個だけ。静岡の西村さんが発見した「西村彗星」。
通算3個目で、74歳で3個目を見つけた。すごいなあ!
本田実さんに憧れ、池谷薫さんの彗星発見に触発されて、コメットハンターになって60年。
その間、晴れていれば毎夜、星を見つめ続けている。
今夜も、明日も、世界中の誰かが、西村さんのライバルたちも、仲彗星を探して、仲良く夜空を見つめている。
本当の無償の星だ。