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昭和の星 昭和45年1月2日のスバル

今から50年以上も昔に撮った、星の写真が残っていた。
赤道儀が無かったので、固定撮影したものだから、星が流れている。
撮影日は、昭和45年1月2日とあるので、まだ高校生だ。
なにかイベントがあったから撮ったのか、星がきれいだから撮ったものか。
星の写真を撮るまでには、3年程かかっている。
現像を頼んだ写真屋のおっさんがやる気なかったせいで、なんでも自分でやらないといけないと悟り、自家現像と引き伸ばしを覚えた。

ふたご座だろうかしら
中心は点になってるけれど
開放ではこれが限界だ


はじめて星を撮ったのは、中学3年生のころだ。
ネオパンSSという、ASA200(昔はASAなのです)のフィルムで星を撮って、町外れの家に近い写真屋に現像だけを頼んだ。
翌週、出来上がり予定日に遠回りしてネガを取りに行く。
不機嫌そうな顔をしたおっさんが、丸まったフィルムを裸のままポンと投げてよこした。
なにも写ってねえぞと、投げ捨てるような言葉。
それでも、2百円払ったような記憶がある。
60年近い前の中学生にとって、二百円は大きな金額だった。
金額以上に、なにも写っていないと言われたことがショックで、しばらくは写真を撮る気にもならなかった。
丸まっているフィルムを両手で伸ばしてみたら、貴重なネガは傷だらけで、星が写っていたとしてもわからないほどだった。
小遣いをためて、よく晴れた日に再挑戦。
今回は自信があったが、また丸まったフィルムを投げられた。
そんなわけが無いと思い、家に帰ってからよくみると、傷だらけのネガに小さな黒い点がポツポツと何個かあった。
でも親父の古いカメラではこれが限界だったし、あのおっさんの顔をみるのも嫌だった。数年後につぶれたが。
高校に入って、カメラがミノルタSRT101になり、自分で現像もできるようになったし、安い引伸機も手に入れた。
その頃に撮ったものだろうか。

星が点じゃないけどスバルが写っている
ゴミなのか星なのかも不明だが
50年以上前は自宅で六等星がみえたの

ネガケースには、ネオパンSSをパンドール増感1600とある。高いので、まだトライXは買えなかった。
レンズは標準しかないから、露出は30秒が限界。だからおもいっきり増感していた。
このころは、毎日が新商品発売みたいな感じで、これも欲しい、あれも欲しい、もっと欲しいと、星撮りたいじゃなくて欲しい病に感染していたなあ。いや、70歳を過ぎているのに、あのころと変わらずに、欲しい病に感染したままだ。
究極の欲しい病は銀色ドームの天文台だが、これは60年経っても変わらないなあ。
中には、時代遅れの五藤光学の15cm屈折望遠鏡を入れて、高橋実さんみたに、もっぱら月の写真を撮るのだ。だれかくれないかなあ。

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