Nikon F4は不憫だねえ
ニコンFシリーズは、昭和の時代に生まれた、一番高いカメラだった。
それまで使っていたFM2が不調で、新しいカメラをどれにしようか、楽しい悩みを味わっていた。対象機種はFM2かF4で迷っていた。
苦悩数カ月、結局、使い慣れたFM2に落ち着いた。
あれから三十年近く経過し、デジカメに写真機の座を奪われたFM2が可哀そうだと思い、フィルムを入れてあげようかなあと、空シャッターを切りながら掃除しているとき、突然F4のことを思いだした。
スマホで中古市場を探してみたら、Fシリーズで一番の不人気機種とある。
価格も一万円台で買える。なんてこっただよ。FM2より安いじゃないか。
毎年、一万円のお年玉で何か買うのを行事にしていた。
F4を手にしても、デジカメが写真機の今は、フィルムを入れて撮影する機会は、まずないだろう。
フィルムを入れるなら、FM2が先だし、悶々とするところだ。
それにしても、なぜ不人気なのかと、グルグルと巡ってみたら、いろいろとわかった。
ボディがプラスチックで、Nikonのロゴがプリントだし、AFが遅いとか、さんざん書かれてあった。
ひとつ前のF3は人気機種で、価格も高いのに比べて、進化したはずのF4が不人気で、価格も安い。
この時代は、カメラメーカーもみんな元気で、レンズメーカーも一杯あり、フィルムや印画紙や雑誌も盛り沢山の、いわゆるバブル末期の頃の話だ。
あの時代に、F4を存分に使ってみたかったなあ。
蓼食う虫も好き好きではない。
造った人のことなんかを考えると、なんか不憫になるのだ。
やっぱりおいらは根っからの職工だなあ。
写真は、二歳の孫が古いデジカメで撮った一枚。
数センチの超接写。ピントが合わない。それが良いのよ。