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荒野にて

観ました。
荒野を舞台とした、少年と馬の絆を描いた映像美の美しい物語かと思っていたけど、物語が進むにつれ少年のただでさえ不安定的だった生活が、どんどん底へと落ちてゆくのが観ていて辛かった。

とは言えただの映画、他人事とは思えず。


天涯孤独となってしまうところ、人間より動物といる時の方がお喋りになるところや、最初から最後まで人に迷惑をかけない様に生きるところ、上手に人を頼れないこの主人公の性格が、どうにも自分と重なってしまい涙が出てきた。


15歳なんて色んな欲が溢れる多感な時期。

そんな年頃に降りかかった両親との離別は、自分が欲を持つことすら悪に思えてしまったのかもしれない。


好きなことを好きと言えず、やりたい事も押し込んで労働しながら叔母を探し彷徨う姿は、私を緊張させた。



私は20代のほとんどの時間、ちょっとした贅沢をした後は必ず「これはきっと何か悪い事が起きるぞ」と思って生きていた。

普通の人から見たら何のことはないであろう贅沢。
少し高い服を買ったとか、プチ旅行をしたとか。

でも私は自分の事をそんな贅沢をするに値しない人間だと思っていた。

自尊心がとにかく低かった。

30代になってからは、自分の一番の味方は自分だということに気付き、自分を労ることを覚えた。
悪い言い方をするなら自分に甘くなっていた。



この主人公の生き方は、そんな私を20代に引き戻し緊張させた。



もっと努力しないと。
今日は休みだけど、休んでていいのか?


しかしこの物語が静かなハッピーエンドであった事は、救いだった。


そして私はチャーリー(主人公の少年)に感情移入しつつも、彼を救った叔母の様な存在になりたいと思った。


つい、自分の事で精一杯になりがちだけれど、もうそういう年齢だと自覚した。

隣にいる人が悩んでいたら、そっと手を差し出す、そのくらいの余裕のある大人に。

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