JavaScriptのフレームワーク【Vue.js】をわかりやすく解説
Vue.jsとは、UI部分の開発に使用される、JavaScriptのフレームワークです。
効率的なプロダクト開発にはフレームワークの活用が欠かせません。
フレームワークとは、開発に必要最低限の機能をあらかじめ組み込んである「開発の骨組み」のことを指します。フレームワークを活用することで、よく使う機能などをその都度一から開発する必要がなく、開発効率向上が見込めます。
今回は、そのフレームワークの中でも人気のある「Vue.js」に焦点を当て、基礎知識や誕生背景から、Vue.jsを活用することで得られるメリットや注意点、さらには実際の活用事例まで、重要なポイントを押さえて解説していきます。Vue.js入門編として、初心者でもわかりやすい内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください!
Vue.jsとは?
Vue.jsとは、WebアプリケーションなどのUI部分(ユーザーから見える画面)を開発するために使用される、オープンソースのJavaScriptフレームワークです。正式な読み方は「ヴュー・ジェイエス」ですが、少し読みづらいため、「ビュー・ジェイエス」と呼ばれることも多くなっています。
Googleの元エンジニア、エヴァン・ヨー氏によって開発されたVue.jsは、プログレッシブ・フレームワークという、順を追って段階的に適応する概念を基に設計されています。そして、シンプルで柔軟性が高く、他の開発ツールと組み合わせても使いやすい仕様となっています。
ちなみにJavaScriptとは、Webページに動きをつける実装で使用されるプログラミング言語で、ユーザーの視認性や利便性を向上させることが可能です。Vue.jsは、このJavaScripをベースとしているため、生産性の高いWeb開発が可能となっています。
誕生の背景
Vue.jsを開発したエヴァン・ヨー氏は元々、Webアプリのフロントエンド開発によく使われるAngularというフレームワークを使用していました。
Angularは、Google社によって開発された、オープンソースJavaScriptフレームワークです。Vue.jsと同じく、Webアプリのフロントエンド開発に適したフレームワークで、MVCモデルを採用したことでスムーズなアプリケーション開発を実現しています。また、双方向のデータバインディングにより、より少ないソースコード記述の実装が可能です。
ヨー氏はこのような特徴を持つAngularを使用していく中で、もっと効率的に開発を進めたいと考えるようになりました。そして、Angularで好きだった部分を残しつつ、余分なものを削ぎ落とし軽量化したフレームワークを目指して、Vue.jsの開発を始めました。
アプリケーション開発は、リリース後もプロダクトをより良いものへするために、仕様変更や新規機能追加に向けて開発を継続することが一般的です。しかしながら、開発当初のフレームワークでは対応が難しいケースも珍しくありません。
そこで、段階的な導入を得意とするVue.jsを採用することで、既存アプリへの導入をスムーズに行えるだけでなく、機能拡張も簡単に行うことができます。
2014年にVue.jsがリリースされて10年経ちますが、他の有名フレームワークであるReactやAngularと肩を並べ、Vue.jsは人気のフレームワークとなっています。
Vue.jsの特徴やメリット
Vue.jsは、必要な機能を段階的に導入できるという効率性だけでなく、以下のような特徴やメリットから、プロダクトの品質向上や開発工数の削減も見込めます。ここでは、Vue.jsの特徴や採用するメリットをまとめていきます。
仮想DOMによる高速処理
通常、UIの変更を行う際には直接DOMを書き換えます。一方、仮想DOMでは、変更を一度仮想DOMに適用し、その後実際のDOMとの変更差分を比較します。変更点を特定すると、実際のDOMには変更が必要な部分のみ反映されます。このようにすることで、変更に関連する処理の負担を最小限に抑え、効率的なUI変更や高速なページ表示が可能になります。データの変更を自動で画面に反映
Vue.jsは、データ同士が紐づけられることで、片方のデータが更新されると、もう一方も更新される仕組みの「リアクティブシステム」を備えています。そのため、保存しているデータをシームレスに画面へ反映させることが可能です。また、Vue.jsは、MVCモデルから派生したMVVMモデルを採用したフレームワークで「Model」「View」「ViewModel」の3つの機能で分割された構造を持っています。データバインディングにより、ViewとViewMode間の同期を自動化することができ、手動でViewを更新する必要がなくなります。これにより、コードはよりシンプルになり、保守性を高めることができます。
読み込みや実行速度の速さ
Vue.jsは、コンポーネントベースのアーキテクチャとシンプルなコードを特徴とし、ブラウザ上での読み込みや実行速度が非常に高速です。これらの特徴と仮想DOMのメリットを組み合わせることで、ユーザーへ高速かつスムーズな操作性を提供します。
機能ごとにファイルを分ける
Vue.jsでは、コンポーネントを機能ごとのファイルに分けることができます。これにより、コードの構造化と管理が簡単になり、チームで作業分担や、協力、メンテナンスが行いやすくなります。結果として、チーム全体の作業効率も向上させることができます。拡張性や柔軟性が高い
Vue.jsはシンプルな構造ながら、柔軟性と拡張性が高く、必要に応じてカスタムディレクティブやプラグインを追加することで、機能を拡張することができます。
注意点
Vue.js開発にはここまでに挙げたような多くのメリットがありますが、使用にあたっての注意点もあります。注意点を理解した上で、開発への活用を検討しましょう。
大規模開発には向いていない
Vue.jsは、SPAのような小規模/中規模のシンプルなアプリケーション開発を得意としています。大規模開発は、状態管理の複雑さや、プロジェクト構造化の難しさ、パフォーマンスの懸念などから、Vue.jsよりも、Angularなどの先行するフレームワークの方が向いているとされています。
ネイティブアプリ開発のフレームワークとしては適していない
Vue.jsは様々な開発に活用できますが、その中でも「Webアプリケーション」の開発に適したフレームワークです。ネイティブアプリ開発は、パフォーマンスの制限やネイティブUIとの適合性などの課題から、Vue.jsは適していないと言われています。ネイティブアプリ開発の人気フレームワークには、FlutterやReact Native、Ionicなどがあります。
Vue.jsの活用事例
Vue.jsは、国内外問わず様々なWebアプリケーション開発に活用されています。また、近年では、JavaScriptフレームワーク「Nuxt.js」と組み合わせて使用されることも増えています。
Nuxt.jsとは、Vue.jsがベースになったJavaScriptフレームワークで、Vue.jsをより使いやすくする機能を備え、ますます開発を効率化させるだけでなく、パフォーマンスやユーザー体験をより向上させることができます。
以下で、Vue.jsやNuxt.jsが活用された、代表的なサービス事例を挙げていきます。
飲食店の検索/予約「Retty」
日本最大級の実名型グルメサービスであるRettyは、2017年頃からVue.jsを用いたモダンなフロントエンドに刷新しました。東京都「新型コロナウイルス感染症対策」サイト
東京都福祉保健局が運営する「新型コロナウイルス感染症対策サイト」は、Vue.jsを含むNuxt.jsを用いてフロントエンド開発が行われています。なお、このサイトのプログラムは、ソースコード共有サービス「GitHub」にて公開されています。「SGホールディングス株式会社」HP
佐川急便株式会社を筆頭に、様々な事業を展開するSGホールディングス株式会社のHPの開発に採用されています。高級ファッションブランド「ルイ・ヴィトン」公式サイト
フランス初の高級ファッションブランド「ルイ・ヴィトン」の公式サイト画面は、Vue.jsやNuxt.jsが活用された開発によって構築されています。このように、世界中からのアクセスが想定されるサイトでも活用されています。
ちなみに、Nuxt.jsに名前が似ている開発技術に「Next.js」があります。Next.jsはReactベースのJavaScriptフレームワークです。サーバサイドレンダリング、クライアントサイドレンダリング、静的サイト生成などの機能によって、Reactアプリ開発を効率化するもので、全くの別物です。
まとめ
ここまで、Vue.jsについて、基礎知識やその誕生背景とともに、Vue.jsを活用することでのメリットや注意点、活用の実例まで解説してきました。
効率的なプロダクト開発に欠かせないフレームワークの中でも、Vue.jsはWebアプリ開発でその力を発揮し、仮想DOMやコンポーネントベースのアーキテクチャといった特徴から、開発効率やプロダクトの品質を向上させることができます。
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