「しぶや」と「りえら」〜身近でまとまる聖地巡礼〜
じはんきです。本日より、この度スクールアイドルの世界にまた一つ素敵な企画が生まれたので参加しております。
1日めの今日は「 #ちっぽけな昨日までの私じゃない 」ということで、このタイミングで是非とも書きたいなぁと思っていたことを。
今日は、りえらちゃんの聖地巡礼についてのお話です。
「三拠点」を起点に
プロジェクト発表時、大きく驚かれたのがいわゆる「わたしたち」の文化圏と真逆の文脈を持つ渋谷・原宿・表参道などが舞台であることでした。アニメで初めて登場したサニパのホーム神津島を除き、基本的にはこれらの範囲の中で物語が進んでいきます。従来のシリーズとは異なるこれらの場所を舞台にしていることに、私は「スクールアイドルという概念そのものが部活動から離れつつあることへの象徴」という理由を挙げます。当初あくまで「学校を救う手段」であったスクールアイドルが、「私を叶える」手段として意味を持ち始めたその象徴が、この舞台に表れているのではないのかなぁと。
渋谷は若者文化の象徴と言われることがよくあります。しかしながらそれは、1970年以後とごくごく最近のお話だったりします。きっかけになったのが「PARCO」をはじめとするセゾングループの進出、それに対する109などの東急グループの競争です。高度成長期を終え、生活の中に彩を求めていくようになった時代にさっそうと登場したセゾングループは、斬新な広告やカルチャーのクロスオーバーを武器に、最終的に成し遂げたのは「街のデザイン化」でした。ここから考えるに、おそらく「ラブライブ!シリーズ」が安定期に入ったことで同じようなあたらしい風をもたらすための位置づけだったのではないかと、個人的には思っています。
「聖地巡礼のデザイン化」
もともと「著作物のツーリズム」として"北の国から"の例もあったりしますが、聖地巡礼が一般的に広まったのは、「らき☆すた」のあたりだったでしょうか。現実と「絵の中のセカイ」のクロスオーバーとして広まった聖地巡礼は、いまでは地域活性化の切り札としても扱われるようになるまで巨大化したように思います。街を象徴するものとしても扱われるようになり、ポジティブな意味でもネガティブな意味でも引用されやすいものになったですが、僕自身は大きな曲がり角に来ているとも思っています。
常に「ハコ」を入れ替えつつテーマを維持していくテーマパークと違い、現実の世界の景色はある程度"不変"です。いったん安定期に入れば、そこから先にどのように人気が動いていくかはわかりません。あくまでさまざまな組織が一体となり、その街の魅力を押し出していく。そういったものではいずれ通用しなくなっていく自治体も出てくるのではないかなぁと個人的には思っています。すでに舞台から作品の魅力を発信するというもの時代が、だんだん終わりに近づいているとも考えていたりします。
そこに「スーパースター!!」が投げかけたのが、すでにデザイン・ブランド化がされた都市に新たな位置づけを求めることだったのだと私は感じています。あたらしく都市を見つけるのではなく、PARCOのようにクロスオーバーしていくこと。それこそが変化なのだと。
リニューアル後の現在の渋谷PARCOは、上記のようにこれまでの文化を継承しつつ、「テクノロジー」というこれまでPARCOがあまり注目してこなかった分野にも進出しています。PARCOがソートリーダーとなるのではなく、あくまでこれまで通りチャネルづくりに徹するという姿勢を打ち出したことに僕は最初めちゃめちゃ驚愕しました。
アニメと若者文化がクロスオーバーしたとき、いったい世の中はどうなっていくのでしょうか?それこそ何か一つの時代が大きく動いていく、本当の節目に立っているのかもしれませんね。プライムビデオ様々です。
距離の近さは心の距離か?
さて。りえらちゃんの住む街を巡るということで一つ大きな特徴が「シリーズ屈指のスポット間距離の近さ」です。バスで30分以上かかる沼津市内→内浦が特殊なのかもしれませんが、距離にして約3000mの範囲内にたくさんの思い出が密集しています。歩いて15分というのは非常に巡りやすいなぁと。すき。
距離が近いことでどんなことが起こるかというと、僕自身は「1日で多くの感情に触れやすい」ということをあげます。聖地を巡るというのは、その場所にある風景だけでなく、シーンシーンの間に込められたみんなの表情、感情、伝えたい想い、そして何よりも“できごと”に触れるということです。1日で行けるスポットが多ければ多いほど、より深いところまで触れられるということなのです。
りえらちゃんの思い出は、そのまま何かを考え、行動しただけでなく「真摯に向き合って」というものが多くあるのは実際にシーンを見た方ならわかると思います。みんなそれぞれがまごころのもとに行動してると思うんですよね。それだけにこんなたくさんスポットを巡っていいのかと思いますが、それでいいのです。
心まではデザイン化できない
先程街のブランド・デザイン化、とも言いましたが…あくまでりえらちゃんは「聖地巡礼」の枠の中に収まっているのは、街の中に彼女たちの「思い出」があるからと思います。心まではデザイン化できないのです。聖地巡礼とは何か、というのはみんなの思い出に触れることである以上、ここから先どのようにクロスさせていくかは非常に難しいものであると思います。
そしてブランド化していく中で決してすれ違うことも多くない「わたしたちの文化」と「彼ら文化」ですが、そこで大きなきっかけになりそうなのが冒頭で触れた「部活動から離れた」ことだと思うのです。羽を伸ばし、自分を叶えられる場所としてこの地にスクールアイドルが誕生したのは、きっと運命的なものだったのかもしれませんね。
原宿ゲーマーズの場所を見るに、まだまだクロスが始まったばかりの「しぶや・はらじゅく・おもてさんどう」と「りえら」。これからも目が離せません。
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