「あそびば」としてのユニバーサル・シティウォーク大阪を観る
かつての超アメリカンな雰囲気からよりポップな形に変わっていったユニバーサル・シティウォーク大阪。久々に訪れた時、そのあまりの様変わりぶりに衝撃を受けた思い出があります。ともあれ、今日こんな記事を書いてるのはこういうのがあったからです。
シティウォークは直結でお手軽に、イクスピアリは非日常を、という比較も面白いっちゃ面白いのですが、シティウォークをお手軽と見て楽しもうとするとびっくりしまっせ、と言うことを書き連ねていきます。
斜めの三段構造
シティウォークの構造は大きく分けて3つ。地平(という名の3F)エリア、ちょっと隔てて中層階エリア、高層階エリアです。これだけだと他と同じじゃねぇか!という方もいらっしゃると思いますが、ポイントは「地上から見える景色とそのほかで見える景色が違う」ということです。
地上から見える景色は、ネオンと映画の世界で煌びやかな世界に彩られています。まるで生きている世界から目を背けるように、その姿は大きく、虚像のようにも見えます。これらは夜になるとさらに暴力的なまでの明るさになり、まるで辛いこと全てを忘れさせてくれるかのようです。そう、映画を観ている時のように。
一方で、中層階エリア以上の中にいるときはそんなネオンはほとんど見えません。飲食店やタコヤキパークなどむしろ現実主義的な風景が広がります。ここまできておや、と思った方。あなたは天才です。テーマパーク付随の商業施設としては、このノリはあまりにもミスマッチすぎています。
例えば。「むら」をテーマにしたディズニー・スプリングスは、それをベースに一つの世界観で統一されています。お手軽というのは確かに程遠く、いわゆる「気取ってる」感というのがないといえば嘘になるでしょう。さながらアウトレットモールのようで、画一的なデザインになっていると感じます。
それやイクスピアリと比べると、その外見と中身のミスマッチ度合いはあまりにも違和感バリバリです。それはまるで、ツッコミどころありまくる作品のようなノリに近いですが、私自身これには「映画は外からだと華やかに見えるが中、つまり製作中に見える現実も体験する」というので納得できるかなぁと思っています。
これらを重点に置いたアトラクションがありますね。そう、「バックドラフト」です。何度か触れていますが、バックドラフトのテーマは「特殊効果の凄さ」や「服を乾かす」だけでなく、「映画撮影の大変さ、そこに込める想い」をダイレクトに伝えるというものです。作り手と受け手の境界が希薄になる今、日本で一番響くアトラクションでもありますが…これの「現実」にフォーカスしたのがシティウォークかなぁと。
テナントから見る現実
それでは、改めてシティウォークの現実度合いついて触れていきましょう。一番の違いとしておそらく世界で最も衝撃を受けるテナントとしておなじみマツモトキヨシや、鎌倉パスタに神戸元町キッチン、スシローやびっくりドンキー、そしてこの街の王者がんこ。「街中でよく見る」というのが、このノリの肝なんだと思います。
スシローとか鎌倉パスタはまだわかるんですが、一番おかしい(褒め言葉)なのがマツキヨです。なんでお前そこにいるんだよ!というのに近いです。周りのネオンサインを見て中に入ってみたらマツキヨがあった、というのははっきり言って無茶苦茶なノリだと思います。
ここまで剥離がある商業施設も珍しいと思っていますが、これがリアルなんですね。正直なことを言うと、リアルとファンタジックの境界線がきっちりと分けられているのは、もしかしたらここだけかもしれませんね。それがあいまいなヴィーナスフォートとかとはえらい違いです。
「あそびば」とは何か?
それでも現実主義的なテナント、ひいてはユニバーサル・シティウォーク大阪の中で遊ぶ理由はなんでしょうか?
一つは近くの超巨大な「あそびば」の補助として。これには、シティウォークのレストランの価格面があまりにも優位すぎてユニバへの再入場が禁止になったこともあったりはしますが、それでも補助として成り立つのは、そのテナントそれぞれが持つ超強力なパワーあってのものです。これはユニバ本体がアトラクションパワーで持ってるのと似ていますね。プロスポーツチームが上手く回る核が選手であることと同義だとも思います。
もう一つは、「街」であることです。結局は強引な納得になってしまいますが、特定のモデルではなく「ハリウッドっぽい」「アメリカにありそうな街っぽい」というのが一種のステータスになっており、その街で遊ぶことが一種の勲章になると。映画の中で遊ぶ前に、映画館がある街で遊ぶという感じになっているわけです。ピカデリーで映画観る前に目の前のアニメイト行ったりスポーツショップ行くのと一緒ですね。
私は「あそびば」について、「まだ見ぬものに触れる場所」という認識を持っています。たこ焼きも海外の方からすれば見知らぬ文化かもしれませんし、日本料理も新鮮なものに感じられるかもしれません。しかしそれも、きっと「再発見」という形であたらしい世界が開けるかもしれませんし、未体験なものはきっと熱を持ってあなたに返ってくるでしょうから。
だからこそ、ものがたりのはじまりとして完璧、なんですよね。