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想いを継ぐもの -”ベイマックスのハッピーライド“が最高にハッピーだった話-

じはんきです。最近ネコになりました。はっぴーにゃんにゃんにゃん。

本題に移る前に、

あなたにとって「トゥモローランド」とは何ですか?

科学技術を世に伝える国のことでしょうか?明るい未来を目指す礎として建てられた国でしょうか?

おそらく多くの方が、その答えを出すのに迷うと思います。なぜならば、未来は不確定であり、どんな形にもなりうるからです。だからこそ、人は未来を想像するときに、自分にとって明るければ「うれしい」自分にとって暗ければ「かなしい」となるのでしょうね。

科学技術は人々を助けてきた上で、同時期に「幸福にしながら不幸にする」というジレンマを抱えながら発展してきたものです。例えば、アナハイム初期、そして「テレビ番組」のトゥモローランドでよく用いられてきた「Atom(原子力)」。広まった60年後、日本で何が起こったのかはおそらくみなさんご存知の通りでしょう。

そんなトゥモローランドにあたらしく仲間入りした「ベイマックスのハッピーライド」。オープンから1年経ってようやく乗れましたが、このアトラクションに大きな衝撃を受けるとともに、初めてグランドサーキット・レースウェイに乗った時=ディズニーにハマった時と同じガシャーンと来る感覚になりました。今日はそのお話です。

衝撃的なデザイン

まず形作られているのは、これまでのトゥモローランドでは絶対に考えられることのなかったその衝撃的な外観デザイン。これは同じ頃にできた「ビッグポップ」もそうなんですが「曲線だけで形作られている」んですね。円、千、角で作られた「新しいトゥモローランド」から、上海の「明日世界」とアナハイム開業当初のトゥモローランドを掛け合わせたような、世界でも類を見ない東京オリジナルの「トゥモローランド」というべきものになっていると思います。

これ、コンセプトアートを見た時は何も感じなかったのですが、実際に世に出て現物を見たときに、初めてびっくりしました。いわゆる「新しいトゥモローランド」のデザインは”無機質“のイメージが大きく先行すると思います。なぜならそれは自然の世界ではない、人間の頭で描く形だけに基づいているからです。にもかかわらず、それと肩を並べるかのように、温かみのある「トゥモローランド」が建っていることは、特筆すべきものがあります。

この建物はとても温かいです。無機質な、人の作りし色でありながら、自然の息吹も心のつながりも感じることができる、天才の発想だと思いました。

フェスと呼ばれるゆえん

ベイマックスのハッピーライドを象徴するのが、トゥモローランドで一番目立つお祭り騒ぎ感。ひとたびライドが走り出せば、ベルの住む街にも平気でハッピーを届けに行きます。

アトラクションの技術次第はそこまで目新しいものではありません。ミニオン・ハチャメチャ・アイスなど似たような仕組みのものはごまんとあります。しかしながらハッピーライドがハッピーライドたる所以は、そのBGMと照明の明滅の演出にあるのです。

トゥモローランドではめったにない全身ライトアップ。青や赤など外装も内装もBGMに合わせてその表情を様変わりさせていきます。代表曲たる「B-A-Y-M-A-X」のBPMは178。Ado「うっせえわ」、AKB48「ヘビーローテーション」、あと未ホラや翠いカナリアとおんなじBPMです。

いわゆる「アップテンポ」と呼ばれる部類ですが、心のケアが目的ならバラードでもいいはずなんですよね。それが何でかっていうと次の章で。

想いのバトンを受け取って

さて。ベイマックスのハッピーライドがもたらしたものの本題はここからです。

先ほども言ったように、幸福と不幸の二面性を持って生まれた科学技術という存在。それでもこのアトラクションはこう謳い上げてのけるのです。「あなたが明日も笑っていられるように 科学の力でみんなを守っている」と。これ、映画「ベイマックス」を踏まえた上で考えるととってもグッとくるんですよね。

科学の力で何かを失い、科学の力で繋がり、科学の力で取り戻した少年。その力は、映画の中ではとてつもなく「幸福」に溢れていました。立ち直った彼が言うからこそ、ハピネスになるための説得力がグンと上がるのでしょう。ベイマックスのハッピーライドは、その「夢」にも似た二面性を理解した上で、わたしたちをもう一度幸福へと持っていくという、他のトゥモローランドにはないテーマ性を持っていると私は思います。

「これ以上もっと良くなることはないだろう」という振り返りや、「価値のあることにはそれなりの危険なこともあるもの」という教訓を踏まえた上で、マイナスをプラスにしようとしているんですよね。そしてプラスならもっとプラスに。ただ技術や夢を見せるだけでなく、ただ気持ちをハイにするのではなく、寄り添った上でマイナスをプラスに変える力を持っているというのが、このアトラクションがトゥモローランド史において5本の指に入る、重要な転換点のうちの一つだと私が考える理由になっています。これを実現するためにアップテンポじゃなきゃいけないんです。

「これからは世界中の人々とお互いの文化を理解し、分かち合い、平和で心豊かな世界を築きあげる時」と、とある鶴が謳い上げてから30年以上、私たちはいまだにその約束を果たせぬままにいます。もし、このアトラクションが本当に役目を終えた時は、人々全員が自ら、自由の意思でハッピーになれたときだと思います。

そのとき私たちはきっと「ベイマックス、もうだいじょうぶだよ」というのでしょうね。

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