奈良で引っ越すなら「曽爾村」と決めている。その思いを、村上春樹の「騎士団長殺し」の主人公風にまとめた・・・
曽爾村の「爾(に)」は、「繭(まゆ)」とは違う。これは古語で「あなた」を意味する。平安時代の文学や和歌で使われた表現で、ずいぶん古い言葉だ。そんな古びた響きを持ちながら、奈良県の東の端にあるのが「曽爾村」だ。その名を耳にするだけで、遠い昔の記憶に触れるような気がする。
-------------------------------------------------------------------------------------
先週の日曜日、思い立って「曽爾村」に行った
もし奈良県内で引っ越すなら…曽爾村だと心に決めている。曽爾高原の風景を想像すると、それだけで心が静まる。特に秋の日の高原の澄んだ空気と、すすきの波が夕日に照らされて揺れる光景。その場に立っていると、世界が少しだけ緩やかに回っているように感じられる。
そして先週の日曜、急に思い立ち、曽爾村へ行ってみることにした。二十数年前に見た夕日とススキが、何故か急に恋しくなったのだ。車を走らせて着いた先で待っていたのは、観光客の長い列。土産物屋や「お亀の湯」の駐車場から、曽爾高原の入り口まで、車が連なっている。
列に並ぶのはどうも性に合わないから、歩くことにした。ふと見渡すと、そこには若いカップルたちが溢れかえっていた。いつの間に、曽爾高原はこんなにも人気のスポットになったのだろうか。ネットで紹介されたのかもしれない。
そしてなんか、列ができている店・・。草餅?
たまたま列が、短くなっていたので買ってみることにした。
うーん、期待外れだった。(個人的主観です)
曽爾村の魅力についてもっと知りたい人は、こちらの紹介ページも参考になるだろう。
曽爾村はやっぱり特別だ。もし奈良県内で引っ越すならば、曽爾村と決めている。なぜだろう?おそらくその「素朴さ」にあるのだろう。高原と反対側に屏風岩?がそびえ立ち、信州のように清らかな流れが静かに続いている。曽爾村には、何も足さない「素朴さ」がある。余計なものは何一つない。
実は少し本気で曽爾村への引っ越しを考えている。家ごと移るのは難しいが、例えば夏の間だけでもこの村で過ごすことができたらと思う。
朝、曽爾村の道を歩きながら瞑想をする。山の中を進むとき、風の音や葉のささやきがただそこにある。足を一歩ずつ前に進めるたびに、心が次第に澄み渡っていく。日々のざわめきから遠ざかり、自分の中心にたどり着くような感覚がある。
曽爾村が教えてくれた、本当の「素朴さ」
曽爾村の本当の魅力は、自然の景色だけじゃない。「爾」が示す「あなた」とのつながりを感じさせる、村の人々や、そこに漂う穏やかな空気の中にある。曽爾村での暮らしは、忙しさから少し離れて自分自身と向き合う時間をきっとくれるだろう。何も足さず、何も引かない。ただそこにあるだけの「素朴さ」を、この村は教えてくれる気がする。
曽爾村で過ごすことができれば、きっと今より少しだけ「本当の自分」に戻れるかもしれない。
※「騎士団長殺し」をオーディブルで2回聞いた後なので、だいぶ感情移入してました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?