2024年の振り返りと、2025年に向けて
こんにちは、jigyeo です。
「何もしない時間」を楽しむプロダクトをつくりたい
という想いで、香りのプロダクトを作っているブランドです。
ブランド誕生から3年目を迎えた2024年は、私たちにとって新しいチャレンジや学びの多い1年になりました。今のjigyeoの温度感をお伝えするべく、昨年に引き続き代表取締役SHOKOに、2024年の振り返りと、2025年にどんなことをしていきたいかを聞きました。
2024年を振り返って
「新しい香り」
――2024年のjigyeoの活動を振り返っていきたいと思うのですが、まず今年もいろんなアイテムが誕生しましたね。
今年はキャンドルとディフューザーでmilk、bam、fig、pearとホリデーのpadaとnoul、6種類の新作の香りを出しました。ネイルオイルも2種類増えましたし、ハンドクリームも発売しました。
――盛りだくさんですね。まず、キャンドルの4種類についてどのように誕生したのかお伺いしてもよろしいでしょうか。
実は去年のホリデーでwineという、赤ワインをイメージしたブドウそのものの香りを作ったんですけど、それがものすごく好評で。もしかしたらイメージが分かりやすい香りの方がみなさん好きなのかな…?と思ったんですよね。
今まで作ってきたjigyeoの香りって、説明を聞いてもピンとこない複雑な香りが多くて、なんとも表現できないけどとてもいい香り、というのが強みだと思っていたんです。でもオンライン販売がメインということもあって「伝わりやすさ」も大事かもしれない、と思いました。
だから今年はちょっとfigとかmilkのようなストレートな名前で、イメージしやすい香りをベースに、jigyeoらしさも感じます、みたいなアイテムを多めに作ってみたんですよね。
――なるほど、裏テーマがあったんですね。
シンプルな調香で作ってみた、っていうのが今年の裏テーマですね。ただ、こんなこと言ったら良くないんですけど、シンプル系ではものすごいヒット作は出なかったかもしれないです。どれもいい香りではあったし、たくさんの人に手に入ってもらってはいたんですけど…狂おしいほどこの香りが好き!みたいな熱狂はあんまり生まれなかったなと。
どちらかというと、紅茶とイチジクの香りでやや複雑なイメージだったホリデーコレクションのnoulの方が反響も大きかったように思います。なので、ちょっと寄せに行き過ぎてしまったかなという反省もあります。ただ、自分自身が一番気に入ったのもnoulだったので、結局は自分が良いと思ったものを信じて作るというのが大事なのかなと思っています。学びが多かった2024年でした。
「ネイルオイルとハンドクリーム」
ネイルオイルは今年容器がリニューアルをしたので、見た目もスタイリッシュで、前より使いやすくなったと思います。キャンドルを焚く習慣がない方もいますし、ちょっとしたギフトにするのにも価格がちょうど良く、jigyeoを気になってくださった方の入り口になっていると思います。キャンドルでも人気だったmaumをオイルで出せたので、jigyeoを使ってみたいという方はまずネイルオイルから試していただけるといいかなと思います。
ハンドクリームはもうすごく納得いくものができたんです。ハンドクリームと思えないぐらい芳醇な香りの広がりがあって、でもキツイ香り方はしない。テクスチャーもすごくこだわって、とてもリラックスできる、本当にいいものに仕上がったんです。ただ、ありがたいことにすぐ完売してしまったんですよね。発売している期間は一ヶ月もなかったんじゃないかな、というぐらいの体感でした。
実は、初回生産のみで再販しませんって最初からアナウンスをしていたんです。なんで初回だけにしたかというと、みなさんお察しの通りこだわった分原価が高くなりすぎてしまって…
――そういう理由があったんですね…!
原材料で一番高いのが香料なんですけど、jigyeoはやはり香りにこだわっているので、香料を少なめにしたり安いものにするのは違うよなあ、と葛藤しました。結局価格は2700円ぐらいになったんですけど、ハンドクリームで2700円って結構高いじゃないですか。しかも容量は30グラムしかないんですよ。それでも原価を考えたら本当は3500円くらいに設定しないといけないんですけど、買う人の立場で考えるとせめて2000円台に抑えないと買えないと思って。せっかくいいものができたらから利益は度外視してもうやってみようと思い切って、初回生産だけで一旦出してみました。
でも、やっぱり結果的にはみなさん「とっても良いです」って言ってくださって、中には5、6本まとめ買いされる方もいました。私も今、自分でラスト1本を本当に大切に使っています。
せっかくいいものができたので、いろんな人の手に渡って欲しいから、容器とかラベルとかをもうちょっと工夫しながら、長く続けられるようにしていきたいなと思っています。
今回は1番人気のnamuの香りだけ作りましたけど、ゆくゆくは3種類とか4種類とか、もっといろんな香りでも作りたいし、気軽に買ってもらえるような感じにできたらいいなぁなんて思ってます。
「ホリデーコレクションのはじまり」
――今年の商品の中で印象的だったのは、やはりホリデーコレクションだと思います。昨年末のこのインタビューでも構想をお伺いしましたが、実際はどのような形でプロジェクトがはじまったのでしょうか?
スペシャルなキャンドルを作りたいという構想は昨年からあったんですよね。特に容器は、キャンドルとして使い終わった後もメイクツールを入れたり、ペン立てにしたり、オブジェとしても長く使えるものにしたいな、と思っていて。そうなったら、やっぱり陶器でしっかりした素材のものがいいんだろうな、というイメージはありました。
春頃に製作がはじまったのですが、今までのプロダクトは既製の瓶や容器を使っていたので、オリジナルの容器を作るにはまず何をしたらいいんだろう?という手探りの状態でした。
そんな中、主催しているオンラインサロンのメンバーさんに器のプロジェクトに携わっていた方がいることに思い当って。とりあえずラフ案を見せて、こういう形の器を作りたいんですけど、どうアプローチしたらいいですかね?良い業者さん知ってますか?と相談しました。
まず、私たちの場合は大量に作らないといけないので、個人の作家さんが手作りされるというよりも、「型」を作ってそこから量産できる態勢である必要があるよね、という話になりました。どこならできるんだろう、と情報収集する中でチームメンバーのデザイナーが探してきてくれたのが、有田焼・波佐見焼の商品開発をしている佐賀県の商社さんでした。
――有田焼と波佐見焼だと結構印象が異なる感じがして、意外です。
有田は佐賀、波佐見は長崎なんですが実は隣町なんですよ。調べてみると、有田焼は美術品のような綺麗めなイメージがあるんですけど、波佐見焼は食器として割とカジュアルに使えて丈夫で、生活に溶け込む印象で。これならイメージに合いそうと思いました。
さっそく商社さんにこんな感じのことってできそうですか?とお問い合わせしたのですが、一番懸念点だったのがスピード感でした。
量産するとなると、型を作るところにすごく時間がかかるのが分かっていたんですけど、私たちはホリデーのこの時期に絶対出したいという目標があるので、そこに間に合わせる必要があって。
でも、このスピード感にも実は波佐見焼がマッチしていたんですよね。有田焼と波佐見焼って、「分業性」が強みなんです。型を作る型屋さん、型に生地を流し込んで素焼きにする生地屋さん、最後に釉薬をかけて焼く窯元さん。他にも釉薬を作る業者さんがいたりと、色々分担が分かれていて、そこを取りまとめて進行管理してくれるのが商社さん、という感じです。分業しているからこそどの工程も技術力が高いし、効率が良いので大量生産も可能なんですよね。
実際に業者さんが決まったのがゴールデンウィークくらい。この時点でもうあと半年先にはもうリリース、みたいなスピード感だったのですが、本当に親切かつスピーディーに対応してくださって、スケジュールもうまく組めました。
「ホリデーコレクションが形になるまで」
――製作はどのように進んでいったのですか?
最初はリモートで打ち合わせしながら進めていきました。まずは容器の形を決めて、型を作る作業ですね。イメージは明確にあったのですが、伝えるのが難しく、紙粘土をこねて形を作ってみて、それを波佐見に送って型を作ってもらいました。
食器や身の回りのプロダクトって、直線や綺麗な曲線でできているものが多いと思うんですけど、今回は整いすぎていない少し歪(いびつ)なものがいいなと考えていました。
何もしない、オフの時間を肯定することをブランドメッセージとしているところもあって「だらしない姿や、ちょっと歪な感情もあっていいよね」というのが伝えたいイメージですね。なので、本当に指でグッグッと押して、このぐらいのボコボコ加減が可愛いかな?と手探りで作っていきました。
――色はどのように作っていったのでしょうか?
色もイメージがあって、「これでお願いします」とカラーパターンをお渡ししていたのですが、実は最初に焼き色のサンプルをいただいたら、ブルーの色がイメージと違ったんですよ。釉薬って焼かないと色味が分からないんですよね。釉薬屋さんはこういうカラーが出るだろうと思って調合してくださるんですけど、釉薬のかけ方や窯の温度でもかなり色が変わってしまうので、焼き上がってきたら全然違いました、みたいなことは結構あるみたいで。最初は結構鮮やかな、ドラえもんみたいな色が来たんですよ。もう少しスモーキーなんです、とお伝えして3回目に「これだ!」という色になりました。
――少しの違いなんですけど、かなり印象が変わりますね。
逆に、ブラックとベージュは最初にいただいた色味にしました。ベージュはmaumのラベルのカラーをイメージしていたのですが、最初に出てきたのは更に白に寄った色味で。ベージュに寄せた色味でも作ってくださったりしたんですけど、いざ4色並べてみた時に、一番初めに作ってもらった色が一番しっくり来るねってなって。
あと、本当はロゴを小さく刻印で入れようと思っていたんですけど、釉薬をかけると潰れて見えなくなってしまったということもありました。それで、潔く刻印はなくしてしまって、底にメッセージを入れようということになりました。結果とても良い雰囲気になったのですが、ものづくりってやってみないとわからないんだなと実感しました。
「ホリデーコレクションのふるさとにて」
――実際に生産現場も見に行かれたんですよね。
最初はリモートで打ち合わせしていましたが、量産体制に入った8月に実際に生産現場を見に行きました。商社さんに調整していただいて、型に生地を流し込む生地屋さんと、釉薬をかけて釜で焼く窯元さんに行かせていただきました。
有田と波佐見が焼き物の町で、分業制だということは理解していたんですが、実際に訪れてみて、分業制の1工程の中でも2、3人の職人さんが関わってくださっているんですよね。4工程あったら10人とか15人とかのその道のプロの方が、1つの器を作るために手を動かしてくださっている。
それを目の当たりにすると、こんなにも多くの方が関わって、この一つの器が生まれてるんだと思ってちょっと感動してしまって。思い入れがより強くなりました。
焼き物の産地は日本中にいろいろあるんですけど、その中でもすごく歴史が長いのが波佐見・有田で。焼き物の街っていうだけあって、本当に街の多くの方が焼き物に携わってるらしいんですよ。しかも伝統工芸品なので、国も支援していたりするんですよね。焼き物の公園や美術館みたいなものもあって。「この技術や伝統を守っていこう」というたくさんの方の想いは、実際に町に行ったからこそ感じられたと思います。
それでもお話をお伺いすると、職人さんの高齢化がやっぱり課題なんだそうです。生産者がどんどん少なくなって、ニーズはあるけど追いつかない。焼き物を専門にした大学が地元にできたりして、若者を誘致する工夫もたくさんされているけれど、卒業すると県外に出てしまう人も多いそうです。
この400年の歴史がもっと続いていくためには、もっと若い世代、さらには国外にも良さを伝えていく必要があるんだ、とみなさん頑張っておられて。
そもそも伝統工芸品の食器って、私たちの世代ではあまり関わりがなかったり、少しとっつきにくいところもあると思います。だからこそ若い世代に「なんか可愛いよね」って思ってもらえるものを、波佐見焼で作るっていうところに意義があるなとも感じました。
jigyeoが持っている感性と伝統をうまく組み合わせて1つのプロダクトにすることによって、少しでも波佐見・有田の町や文化に興味を持ってもらえるきっかけになればいいなぁという気持ちも、地元のみなさまとお話しする中で持つようになりました。
――だから商品名にも「HASAMI-YAKI」と名前が入っているんですね。
そうなんです。ただの容器じゃなくて、波佐見焼は本当に素晴らしいものなんです、っていうメッセージが入ってます。
もちろん、買って使っていただいて「この商品いいね」って言ってもらえるのはものすごく価値のあることなのですが、それだけではなく、「その裏側にこんな文化があって、これぐらいの人数の人が関わってくれて、こういう思いで作られたんです」というバックグラウンドを1つの器を通じて感じてもらうことで、より愛着を持って使っていただける。そういう付加価値があるんだということを今回のホリデーですごく感じられたので、大変だったけど、やっぱりやってよかったなと思っています。
あとちょっとこれは余談なんですけど、ちょうど一週間ぐらい前にフォロワーさんからDMを貰ったんです。そのフォロワーさんはご実家がまさに私たちがお願いしてた窯元さんで、「実家帰ったらjigyeoの器があってびっくりしました!」みたいな。「実家、すごいじゃん!」ってなったそうで。本当に偶然だったんですけど。そういうつながりもすごい嬉しかったですね。
「POPUPとお店での出会い」
――イベントごととしては、2024年もたくさんPOPUPを開催していた印象です。今年初上陸の地域もありましたね。
はい、今年もPOPUPはたくさんやらせていただいて、東京、大阪、名古屋、福岡に加え、はじめて札幌と広島でも開催しました。
まず、札幌は想像を超える反響でした。6月に1日だけの開催だったんですけど、ものすごくたくさんの人に来ていただいて、札幌すごい!って思いました。その時に、北海道でタレント、キュレーターとして活躍されている伊藤沙菜さんというとっても素敵な方がいるんですけど、初めてお会いして仲良くなって。そのご縁で、後に沙菜さんが主宰するPOPUPに出展しませんか?ってお声がけをいただき12月にも札幌に行けたんです。
いい出会いもあって、すごく次につながっていく感じがあったので、本当に行ってよかったなあと思っています。
広島はSLOW COFFEEというカフェの一角でやらせてもらいました。
いつもはイベントスペースでやることが多いんですけど、あまり借りられる場所がなく、結果すごいおしゃれなカフェでやることになって。そうしたら、カフェ利用しているお客さんも見て下さって購入してくださったり、jigyeoを知らない方の目にも止まったのはすごく嬉しくて感謝だなと思っています。
カフェのスタッフさんもものすごく親切で。いつも在庫を先に会場に送るんですけど、今回は置けるスペースがなくて。どうしようと思っていたら、店員さんのお家に置かせていただけることになって、朝お家に取りに行きました。土地勘もなかったし本当に助かったなあと…人の温かさにたくさん触れたのが広島でしたね。
――お取り扱いの店舗数も増えましたね。
たしか去年の年末くらいにはまだ2店舗くらいだったんですけど、今は9店舗に置いてもらっています。Matoeruさんというセレクトショップに置いていただいて、大阪ルクアや吉祥寺アトレにjigyeoの商品があるのって、本当にすごいなあと思っています。昨年からお付き合いのある大阪のライフスタイルショップabout her.さんとはコラボ商品も作りました。
店舗に置いていただくことで、私のことを知らない人にも手に取っていただけているなという感覚があります。
POPUPだと、私を知っているフォロワーさんが来てくださることが多いのですが、みなさん優しいのでSHOKOさんが作ったなら買ってみるか、っていうフィルターをかけてくださっていると思うんですね。
でも、本当にその日出会って手に取ってみて、この香り素敵だなって思って、私のことなんて全然知らない方が気に入って買ってくださる、それってブランドが自立する上ですごい大事ですし、そういう実力もつけなければいけないとも思います。そういった意味でも店舗は大事なお客様との接点になっていて、ブランドの成長に一役買ってくれているありがたい場なので、今後も大切にしていきたいですね。
2025年にやりたいこと
「jigyeo第二章のはじまり」
――2025年にはどんなことを考えているのかお伺いしたいです。
まず、jigyeoは誕生して3年が経とうとしています。看板商品のキャンドルは本当にいろんな方に手に取ってもらって、お香だったり、ディフューザーだったりもコンスタントに出させてもらって、ホームフレグランスのブランドとしては確立しつつあるのかなと思っています。
今後は、もっとみなさまの生活に寄り添えるようなブランドにしたいなと思っていて、来年はjigyeo第二章にするぞ、と色々考えています。
――第二章!どんな変化がありますか?
まず既存アイテムで言うと、キャンドル・ディフューザーの定番が今5種類あるんですけど、定番を入れ替えようと思ってます。namuとmaumは人気なので残すんですけど、それこそwineを定番に入れて、あと紅茶の香りのhongchaもずっとリクエストが多いので、これも今回定番にしようかなと思っています。
入れ替えによって一旦廃版になってしまうものもあるので、気に入ってくださっている方は在庫のあるうちにぜひ手に入れていただきたいです。
次に、新商品として「ヘアオイル」と「クレンジング(メイク落とし)」を出します。
今まではホームフレグランスに強いブランドだったのですが、ビューティー寄りのアイテムも今後増やしていきたいなと思っています。
――jigyeoのビューティーアイテムが出ると聞いて嬉しい方も多いと思います。どういう経緯で作ることになったのでしょうか。
クレンジングはずっと作ってみたいと思っていました。jigyeoはコンセプトとして「オフの何もしない時間」を応援したいと思っているのですが、メイクを落とす時ってまさにオンからオフに切り替わる瞬間で、「何もしない時間」の始まりなんですよね。
「オフの時間の、いろんなものを脱ぎ捨てた頑張りすぎてない自分も素敵だよね」というメッセージを届けるのに、クレンジングはとてもフィットするアイテムだなと思っていました。
ただ私はコスメが本当に好きで、すごくたくさん使ってきているのでこだわりもあり、やっぱり使用感が良くないとなぁとか、いろいろ思っていたんですね。
そんな中、もともと違うアイテムで一緒に仕事をしてくださっていた方と、久しぶりにお会いしませんか?となったときに、いろいろ商品を見せてもらって試させてもらったんですよ。オイル系のアイテムが得意な会社で、処方を見て、あっすごいいいなと思って。
ケミカルなものをあまり入れずに、本当に天然の素材メインで作っているんですけど、使用感もすごく良くて。ここの工場で作れたら良いものになるんじゃないかと思って、お声がけさせていただいたんです。
企画は実はもう5月ぐらいからスタートしていて、開発にかなり時間がかかってるんですけど、ホリデーと並走して作っていました。ヘアオイルが3月上旬くらい、クレンジングは4月発売を目標にしています。
――個人的にもとても楽しみです。アイテム以外に第二章で変わることはありますか?
これが一番大きな変化になるのですが、パッケージとロゴのデザインを来年3月ぐらいに変更し、リブランディングしたいと思っています。
デザインに関しては、実は札幌で大きな出会いがあったんです。
先ほどPOPUPをきっかけに伊藤沙菜さんと知り合ったお話をしたんですが、沙菜さんは「MINDFULNESS BREAKFAST」という、とっても素敵なウェルネスブランドを手掛けておられて、このブランドのセンスが本っ当に良いんですよ。
jigyeoもリブランディングしたいと考えていたのを沙菜さんに相談して、紹介していただいたのが沙菜さんと同じく北海道出身のデザイナー、MIRI OGASAWARAさんでした。MIRIさんのデザインが本当に素敵で、ちょっと見てもらっていいですか?(Instagramのリンクがスタッフに送られてくる)
――わあ、めっちゃ素敵!!!!
jigyeoのブランドコンセプトやメッセージにもMIRIさんのデザインは絶対合うと思ってお願いして、快く引き受けていただきました。jigyeoにジョインしていただけるのがうれしくてうれしくて。
どんなロゴやパッケージになるかはこれからなのですが、ブランドとしての大きな軸はぶれないまま、みなさんに気に入ってもらえるものができると思うので、私も本当にワクワクしています。
ヘアオイルとクレンジングは新パッケージで出て、もとからある商品は順次切り替わりとなりますので、ぜひ楽しみにしていてほしいです。
「波佐見で気づいた新しい価値観」
――定番アイテムの入れ替え、ヘアオイル・クレンジングのリリース、パッケージ・ロゴのデザイン変更はもう走り出しているんですね…!
では、まだ決まっていなくても、今後やってみたいなとイメージしていることはありますか?
今回、波佐見焼でホリデーコレクションを作る中で「私たちは製品をお届けするときにもっと伝えるべきことがあったかもしれない」という気づきがありました。
波佐見に行ったときにお伺いしたお話や、制作風景の写真を、HPやInstagramに載せたのですが、地元のみなさんに「波佐見のことをこんなに紹介してくれてありがとうございます」とすごく喜んでいただいたんです。もともと別に産地のPRをしようと思っていた訳ではなく、単純に素敵だからみんなに見せたい、という気持ちだったんですけど、結果的に背景にあるストーリーを届けることでアイテムもより意味のあるものになるし、これは生産者の方だけでなく私たちにとっても本当に価値のあることだと思いました。
同時に、これまでももっと伝えられることがあったんだと沢山思い当って。例えばjigyeoのお香って、実は栃木の老舗のものすごく素敵な線香屋さんで作っているんですよ。ネイルオイルも山梨のブドウ農家さんが捨てられるはずだったブドウから抽出したグレープシードオイルを使って作っていて、サステナブルかつすごく良い商品で。
波佐見の歴史や作っている人たちの思いや顔が見えることで、ホリデーコレクションにより愛着が湧いたように「これまでのプロダクトについても、もっと私たちが伝えるべきことがあったはず」とすごく実感しています。なので、今後はそういう背景のストーリーを伝えるようなコンテンツも積極的に作っていきたいなぁと思ったりしています。
最近、お香立てを陶器で作りたいなって考えているんですけど、お香も1年半ぐらい新作を出していないので、そろそろ出したいと思っていて。新作のお香を出したタイミングで、栃木のお香屋さんにお話を聞きに行けたらいいなと考えています。
――波佐見での出会いがjigyeoに新しい文化を運んできた感じがして、とても感慨深いです…
波佐見焼は本当に得られたものが多い、良いチャレンジだったなと改めて思っています。
ブランドとしても1、2年目は結構勢いがあったので、3年目も何か打ち出さないと、という思いはあったのですが、何か新しいことをやろうとするとやっぱり先行投資が必要なんですよね。
先行投資をするにあたり、10,000円超えるキャンドルがそもそも売れるのかっていうのがすごく私の中で心配で、電卓を弾く毎日でした。もし全然売れなかったらどうしよう、と正直な話、数字の面でも結構不安が多かったです。
でも、結果として初回の在庫が本当に体感30秒ぐらいで完売したんです。商社さんにも「すごいことになっているのでなんとか作ってもらえませんか?」って急ピッチで再販分の容器を作っていただいたりして、想定以上の反響をいただいくことができました。
ホリデーで新しいチャレンジをしたからこそ、新たな学びも得られたし、クレンジングやヘアオイルの新たなプロダクトの開発につなげることができたと思います。
「心地いい負荷をかけてチャレンジする」ことっていうのは多分もっとやった方がいいし、やるべきなんだなっていうのがすごい分かったし、毎年少しずつでもはじめてのことにチャレンジしていくのが、結果的に成長につながっていくんだなと実感しました。
だからこそ、2025年もこれからも挑戦を続けていきたいと思っています。
そして、いつも支えてくださるたくさんの関係者・友人、そしてお客様への感謝を忘れずに頑張っていきたいです。