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世代が関係ない交流の場として 〜民生委員徒然草11〜
地域の人の繋がりは、結構重要な部分があって孤独死や自死などは都会の孤立が産んだ悲劇みたいにマスコミなどで言われていた事もありました。
今は基本的に、他人への無関心だとか個人を優先して他者を顧みないなんて言う論旨が多いですね。
どちらにせよ、個人の孤立と他者との断絶の様になってるのがあると思いますし、それが児童虐待やネグレクトによる死亡事件などの要因かの様に言う人も見ます。
しかしそう言った孤立や無関心を煽る事になったのは他ならないマスコミの問題と言う部分もあって、結婚したらあるいは社会に出たら一人暮らしや独立を煽る、実家住まいの男性はマザコンか甘えてる半端者だったり、実家住まいの女性は自立できないから実家に依存してるみたいなイメージを作る時期もありました。
結局、家を出てアパート住まいや結婚して家を建てると言う事が一人前と言う価値観を売り込んだと言う見方もありますが、ここには海外ではそうだ!って言う欧米追従型って言う意見もあります。
とは言え、大家族で暮らす大きい家でプライバシーが少ないなんて言う事やそれなりのストレスがある家よりは良いと思った人もいるでしょうし、嫁姑問題なんてのから離れられると思った人も多かったのであろうなとは思うのですが戦後の価値観としてのいわゆる欧米のライフスタイル取り入れと言う事がある時期まではうまく働いたと言うのは否定できないでしょうね。
ところが、ある時期から地域での必要な情報の共有も難しくなってきます。
老若男女が集まって近所の話や情報の交換などができる場所や機会の減少は、独居になった老人や子供に対する情報の共有が難しい、不可能に近い状況にもなると言うのが増えたとも言えます。
一部では警察が個人や民事への介入がし辛くなった事なども言われますし、過剰に他所様の目を拒絶する人が増えたなどの話もありますが、最低限の交流の場所が減った事もあります。
昔は神社やお寺に行って相談などもあったし、集落の長に相談とかあったなども言われますが、それなりの人数が集まって情報が交換される場所である寺や神社に人がいない(神主や僧侶不在)などの話も出てくると困った時の最初の相談場所が消えたと言う問題があります。
最も今どき寺社頼みもないと言われたらそれまでですし、集落の長だって常に家にいるわけじゃあない、となると町内会や自治会と言った地域の集まりが重要な存在となってくる、って言う面もあったりはします。
ところが、町内会や自治会などを敵視と言うと大袈裟ですが古くて不要なものとする動きが90年代中盤から強くなってきたと言えます。
過剰に嫌悪するのは2010年以降見てないのですが、それまでの10年ちょっとは町内会を悪しき因習の様に言うネット記事や、新聞でのコラム、革新派を気取る政治家などからも聞かれる様な事が多かったと言えます。
ある政党関係からは町内会や自治会は旧日本の国民監視の名残、隣組制度の生き残りみたいに言うのが居ましたが、流石にそんなことはないですし、政府の戦争に備えての準備扱いは与太話として笑いのタネにはなりました。
ただ広まった悪役論はやっぱり残るわけですし、面倒臭い(かも?)と言う意識は残ります。
実際には町内の情報共有や地域の情報発信源であったりしますし、コロナ前は住民の交流の場であった事などを考えないといけません。
そう言った集まりの場で、最近調子の悪いと言う高齢者や、児童の様子がおかしいなどの話も共有できますし、怪しい人が来てるなどの話もまた、昨今では特殊詐欺の問題も情報として回覧板ですぐに回せます。
回覧板は、古臭く面倒くさいなんて言う意見もあると思いますが、届けた際に異常に気づきやすい事もあって町内での自衛の面があったりします。
こう言った時に得られた情報が私の様な民生委員や、町会長や各担当役員を通じて警察や救急や医療や福祉に繋げる事ができると言うのは強みですし、健康や医療の面でもそれなりに効果はあると言う事は認識できると思います。
2009年に民主党政権が出てきて鳩山総理も地域での子育てを言い出すと子育てを手伝ってくれる町内会が良いみたいに新聞も書いているのが居ましたけれど、普段の交流が減っていた時点で他人の子を預かるには不安が多かったのもあります。
この時にネットなどで町内会が冷たいとか書かれてもいたようですが、交流の場としての町内会や自治会が機能し辛くなるような空気を作られていたのでは、よくわからない他者の子供には手を出しづらいですし面倒くさいことを丸投げしようとする人も目立ってきて(話題になってきて)、余計に厳しいと言うのはあったと言えるでしょうね。
それが大きく変わって本来は交流の場であり互助組織であると言う事が再確認されたのが、東日本大震災で国の初動の遅れ(関東も被害エリアだから仕方ない)、その後の内閣のドタバタ(海外では首相の能力不足も指摘された)などの中で町内会や自治会などがある程度機能してる地域での回復の速さもあり再評価されたと言う事にもなっていきます。
互助組織である以上、町内会が備蓄資材や災害時対応の設備を持っていたり、連合自治会(町内会連合という場合も)が管理する地域防災拠点などが重要でその維持や管理に町内会が関わっていることや、情報が必要最低限はある事での、地域内での対応などができるというのは大きかったと思います。
特に消防団は被災地や被害の大きかった関東の各地でも活動していた分、大きな問題が起きなかったのはあると思います。
まあ、マスコミの放射能デマや危険煽りは困りましたが、行政(市役所や区役所)からの情報や支持が比較的早く回ってくると言うのも、大規模なパニックを抑えられたと思いますし、民生委員が高齢者宅に様子を見にいって話すなどもする事で、不安の減少にはつながっていたと思います。
これを機に町内会に入った方も比較的多くいたようですし、交流の場としての機能も回復してきていたか、と思ったのですが…。
新型コロナによる人が集まる事の規制や減少、その間の葬儀の家族葬化の加速などでまた町内会の必要を感じなくなり抜ける人が増えてきて徐々に町内会の解散や自然消滅も増えてきている様です。
民生委員としては、各戸の情報や繋がりが町内で途切れる事での異常に気づくことが遅れる問題と災害時の避難に支障が出る事が心配になりますし、消防団もやっていますから個人情報保護法で新規入居者の情報が皆無な事を考えたら、町内会を悪しき因習としたり、不要なモノとしたりした情報の発信源には責任をとって欲しいですし、もしもを考えた場合やはり交流の場での情報共有、緊急時の連携と言ったモノが可能な部分をマスコミはちゃんと伝え直す必要があると思うのです。
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