ジゴロのデメリット
彼はジゴロとして生活していた。ジゴロになりたいと言っていたが、本人は今がジゴロになっていると思っていたかどうかは、わからない。周りから見ると、ジゴロそのものだった。
ジゴロを辞書で引くと、「ダンスの相手などをして、女にたよって生活する男。転じて男妾(だんしょう)。」とある。今の時代、ダンスの相手をする機会はなかなかないが、その代わりに女性のデートの相手をしていた。彼にすれば、お金は全部相手が出してくれるから、自分は時間と身体を提供するたけなので、楽だったのかもしれない。
その生活は本当に人を堕落させる。彼は偉大なる起業家だった。しかし、事業からお金を得るのではなく、女からお金を得る生活になってしまった。そうすると、運動しないと体力が落ちていくように、稼ぐことをしていないので稼ぐ力がガクッと落ちた。偉大なる起業家なので、発想力はとても素晴らしい。隣で聞いていて、起業家として尊敬する顔をいくつも見せてくれた。だが、その先が続かない。昔であれば、お金がないなら協力者を探し、なんとか事業を立ち上げ継続させようと必死で動いていただろう。しかし今は困ったら女性がお金を出してくれるので、協力者を探すことをしない。結果として協力者がいないため事業がうまくいかない。女性のやりたいことを優先するため、事業を気にするのではなく女性の顔色を優先した。そうしないとお金を得られないからだ。彼に裁判を起こしている女性は、彼のことを「事故物件」としてブログに紹介している。夢だけを大きく語って実行できない男性は「事故物件」だと。
女性は彼の「一緒に」「俺たち」という言葉が散りばめられている夢物語に投資する。しかし稼ぐ力が落ちている彼は夢を実現することができない。夢に向かってもがく彼を見て女性はさらに投資する。彼にとって一人の女性のお金だけでは足りないので、他の女性にも夢物語を話しお金を増やしていく。他に女がいることを知った女性は怒る。怒られることが嫌いな彼は、ある程度お金を得ている場合は女性から離れる。女性は騙されていたことに気づく。こんな流れになるので、夢はいつまでも実行できない。
一度彼に言ったことがある。周りの女性を切って、自分で稼ごうとしないとうまくいかないよ、と。彼はそれを否定も肯定もしなかった。目の前の資金繰りが大変なので、そんな選択肢ができるわけないのか、辛いことをあえて選択するということができないのか。彼がもっと若かったら、自分自身で稼ぐことを選択したのだろう。歳を取るということは、初動を鈍らせる。そして妥協を許す。
ジゴロという生き方は、起業家という選択肢を消滅させる。両立はできないということを彼から学ばせてもらった。