「天號星」というタイトル、そして星に関しての思考メモ📝
きょうのテーマ!
「天號星」というタイトル、そしてこの星の概念について考えたい。
天號星の幕が開いて、ここまでさんざん騒いできたが、そもそも「天號星」とはなんぞ、と思いましてね。いまさらね。しかし、調べても調べても出てこぬことよ...。おそらく既存の概念ではないのだろう。
ということで、この星は中島かずき氏の創作と思われる。違ったらすみませんね、大前提すぎるが。
◉「天號星」ってなんや。
・公式サイトでの言及
さて、公式サイトで「天號星」という単語についての言及されているのは、あらすじの以下の部分。
なるほど。
どうやら災いを起こす星らしい。
・劇中での言及(戯曲本より)
戯曲本で、劇中での言及を見てみよう。
ふうむ。
・公式サイト&本編での情報整理
整理しましょうかね。
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①災いを起こす星。大いなる禍ツ星。天號星が動く時に災いが起きる。
②劇中における「災い」は、「落雷をきっかけとした半兵衛と銀次の心と体の入れ替わり」を指す。
③なお、この入れ替わりをwebサイトでは「運命が交差」と言い換えている。
④神託の際、「九曜星」の裏に存在することが言及される。
⑤九曜星の中でも「計都」「羅睺」に「天號」を続けて唱える「計都羅睺天號」という言葉が数回登場する。
⑥銀次の真上に天號星があり、銀次は天號星に運気が支配されていた。これは天地がひっくり返るほどの悪運の相。(半兵衛も同様だと考えられる。)
⑦入れ替わりが起こってしまった原因としては、
1.弁天とみさきという力の強い者がお互いの近くにいたこと
2.天號星が太陽と月の間に入った時期だったこと
3.落雷があったこと
4.半兵衛はみさきからもらった身代わり観音のお札をもっていたこと
など様々な要素が考えられる。
⑧みさきの脳が働いている時は天號星の災いが生きている(入れ替わりが起こっている)状態だが、みさきが気絶しているなど脳の働きが止まっていると災いは停止した状態になる
⑨天號星は厄介な星回り。
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なるほどなるほど。わかったような、わからんような。
◉言葉の意味合いから探る。
じゃあ「天號星」という言葉の意味合いについて考えてみましょ。
星、はさ、「ほし」じゃん。「天◯星」って名前の星はさ、いくつかあるじゃないですか。「天王星」とかさ。
・似た響きの言葉たち。「奇門遁甲」の九星
あと関係ありそうかな?と思ったのが、「奇門遁甲」における九星。
「奇門遁甲」ってなんやねん、と思うよね、私も思ってる。説明を読んでもよくわかってないんだけど、中国の占術で、黄帝(中国古代の伝説上の君主。中国を統一した五帝のひとり。)が、天帝(中国における最高神。皇帝だけが祀れるとされ、王朝を跨いで信仰されてたらしい。)から授けられたことがその創始とされる。ようです。
まあ中国建国の伝説に出てくるような超すごい君主が、いちばんえらい神様に与えられた占術、という話かな?
一般に九星と呼ばれる、古代中国から伝わる民間信仰における「九星」は
・一白
・二黒
・三碧
・四緑
・五黄
・六白
・七赤
・八白
・九紫
の9つ。
この民間信仰の方の「九星」では、白・黒・碧・緑・黄・赤・紫の七色に、木・火・土・金・水の五行と十干・十二支・易の八卦を当てはめて考えるのだそうな。さっぱり不明。でもみさきちゃんが使ってるのはたぶんこれだよね!
「3×3のマスの中に1〜9の数字を1回ずつ入れて、縦横斜めのいずれの列についてもその和が15になる魔法陣」というものが基準になって考えられてるらしい。わかる?わかんないよね。わかんなくていいと思う。
まあ細かいことは置いといて。
この一般的な九星に対して、奇門遁甲における九星は
・天蓬
・天芮
・天冲
・天輔
・天禽
・天心
・天柱
・天任
・天英
の9つ。
どれも頭に天が付くので、日本の気学や九星術の九星である紫白九星と区別するために九天星や天蓬九星とも呼ばれる、らしい。wikiさまにお聞きしたところ、そう教えられた。
じゃあこの「天號星」に似た言葉たちをちょっと詳しく見てみよう?
1個目の「天蓬星」。
蓬ってよもぎ、という認識しかないんだけども。
どういう意味なん?はい、漢字ぺディア。
乱れている様?!?!そうなん?!
百度百科(中国のバイドゥ版wikiみたいなやつ)によれば、「蓬」は「散在:乱れている様、ふわふわ、だらしない」とか、「緑豊か・旺盛:勢いが盛ん」とか。基本的な意味は「ふっくら」らしい。
そんなわけで「天蓬星」は「ふわふわした形を持つもの」で「貪狼星」とも呼ばれる星なんだそうな。水、一白に属し、大凶・巨悪の星であるらしい。
にこめ!「天芮星」ね。この漢字はなんですの。
はい!漢字辞典!「芮」ってなに?!
えっと、、?ちっっっちゃい、水辺、波打ち際?
百度百科で「芮」という漢字を調べてみると、元々は「生え始めたばかりの草、柔らかくて細い」というような意味合いらしい。
「天芮星」は中国語のサイトでいろいろ見たところ、陰の星で土に属し、死門に位置する。病気の蔓延に関係する。
あまり漢字に直結せず難しいけれど、どうやら悩みや問題が流れ込んでくる、みたいな感じらしい。こっちも大凶の星。
でもま、ふたつ見てみたところ、やっぱりこの真ん中の漢字が星の大意を指すということは間違いなさそう。つまりは「天◯星」の◯の部分に入る字が大事そう、ということだ!
・「號」の意味から探ってみる
そうすると、「天號星」の「號」ってなんなのよ。というお話になってくる。
さて。コトバンクさんで「號」を調べましょうか。
号、の旧字だそうな。
見れば見るほど、天號星の物語ってめちゃくちゃ號じゃん...號の要素散りばめまくりじゃん...
みなさんもご存知の通り、このストーリーにおいて「災い」とされる入れ替わりは「雷が鳴ったとき」に起こるじゃない。きっとこれが「天が號する=さけぶor大声でなく)」にあたるのですね、そうなのですね...。
・「雷」という要素について
えーーーじゃあさ?「雷」ってなんなのよ、という話になってくる。
もうそろそろ長いので、中国における「雷」の伝承についてすこーしだけ調べて、気になったところだけ書きまする。
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・中国の古典を参照するに、雷は陰陽の気によって発生すると考えられていた。
・天の命令(☞天號では?!)によって、悪いことした人間と、人間を害した悪霊の両方に罰を与える存在である。
・雷を鳴らすための太鼓とバチ、そして悪者を罰するための鑿を持っている。(☞鑿......?! 渡大工の半兵衛を表す超重要アイテムであり、最終銀半兵衛にとどめを刺すところの、あの、鑿?! )
・妻にディアンムという雷の女神がいる。ディアンムは元々雷公(レイクン)が、罪もないのに自らの手で誤って殺してしまった人間の女性である。(☞お伊勢じゃん💢)
・妻ディアンムは、雷公の補佐をする。その仕事とは、罰を与える相手に間違いがないかどうかを鏡を使って光を飛ばし、確認することである。この光が稲妻⚡️であり、だから雷は音より先に光が来る。
・中国における雷の神様は多くいる。一番位が高いのは、「九天応元雷声普化天尊」である。
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参考にしたサイトはこちらたち。
めちゃ...え?? めちゃくちゃ「天號星」の設定に気持ちよく当てはまりすぎて深読みが止まらんね?!?!
◉劇中の設定から探る。
さてここで、冒頭にまとめたことをもっかい振り返ろう。そして掘り下げて考えてみよう。
・天號星は禍ツ星
ここはいいね。
「天號星」は凶悪な星である。
「天號」の星が動く、という言葉はいろんな意味で解釈できる。
・天が叫ぶとき=雷鳴が轟くとき
・天が命令するとき=天が雷の神様に、悪人を罰するよう命じたとき
・天が呼び寄せたとき
・天が嘆くとき など
・どこにあるんだ、天號星
さて。これはまた長いぞ。
「九曜星」ってなんやねん。という話。
3回目くらいまでほんとになんやねんって思いながら見てたけど、みさきちゃんはちゃんと説明してくれています。(話を聞け)
そもそも「九曜」はインド天文学やインド占星術が扱う9つの天体とそれらを神格化した神を指す言葉。古代インド以外にも東アジアでは宿曜道や陰陽道で用いられる考え方だそうです。
9つの天体とは、「木・火・土・金・水」の五曜 + 「日・月」 + 「計都・羅睺」を指し、紋様や曼荼羅として表される場合には、中心には常に太陽を配置するのだとか。また捗りそうなこと言ってるね?
日月木火土金水は、それぞれの星のことを指すとして。じゃあ「計都」「羅睺」ってなによ。何度も「計都羅睺天號」って唱えてるけど、その2つはなんなのよ!
はい。インドの九曜の中に出てくる概念で、月の交点であり、日食や月食を引き起こす星らしい。
え? 今なんか1文で説明したけどこれ意味わかった......? なんか通り過ぎてったよね、、、?
太陽の軌道である黄道と月の軌道である白道が交差する点のうち、昇交点が羅睺、降交点が計都なんだって。
ついてきてる?! ちなみにわたしは混乱してる。
月と太陽が、おんなじ交点にいれば日食が、反対側の交点にいれば月食が起こるというわけだ。中学の頃習った気がするネ。おぼろげ。
そんで、日食や月食を起こすということから、羅睺は転じて「障害をなすもの」なんだそうな。
ちなみに日本ではこの九曜をそれぞれの仏に当てはめて信仰してて、計都は釈迦、羅睺は不動明王。さらに羅睺はスサノオと結び付けられて災いを起こす天体と考えられてるらしい。
本筋はなんだっけ。
天號星がどこにあるかという話をしたいんだった。
↓こういうことだとは思うんだよね、それで()の中は順番入れ替わるんじゃなかろうか。
だから天號星は紫の四角の中のどこかにあるんだと思うの。
・「計都/羅睺/天號」という呪文はなんなのか。
それでさ。なぜ、九曜のなかでも「計都」と「羅睺」が特別に「天號」と並んで取り上げられてるのかな?という。
この2つの星が特別なのは、さっき話したけどね。さらに違う伝承も載ってたので引用しておきますね。
まあたしかに、九曜の中でも際立って災いを引き起こしそうな凶の星ではあるのだろう。天號に並ぶとしたらこの2つだというのも。
けど、なぜ。わざわざ。そういった設定にしたの?と思ったとき、私はここが気になったのですよ。
先ほど雷の部分で触れたことを念頭に置けば、この
「落雷をきっかけとした半兵衛と銀次の入れ替わり」は、
「天が號したことによる半兵衛と銀次の運命の交差」
と言い換えられるのではなかろうか。
「交差」「交わる」という言葉、先ほどから何度か登場しておりますわね?そう、「月の交点」でございますことよ。
黄道(太陽の軌道)と白道(月の軌道)の交点たる「計都」と「羅睺」。
それでね、私ふと思い至ったんですわ。
半兵衛と銀次って、太陽と月なんじゃないかって。
この2人を太陽と月に見立てた場合、「軌道」は彼らの人生の道筋に当たるわけで、それが交差してしまったのでは、、?
神が降りてきてる状態のみさきちゃんが口にした、「計都羅睺天號」という言葉自体が、この状況全てを言い表しているのでは?!?!
・半兵衛と銀次は☀️と🌕である、という仮説
でも、この2人が太陽と月だっていう根拠がないと、ねえ。わたくしが妄想で突っ走ってるオタクであることは間違い無いけど、深読みが過ぎますわ!
でもさ?!?! 思い出しちゃったんですよ私。
銀次くんって公式のSNSでお月様の紹介してくれていたよね、、?満月だよ、とか教えてくれていたよね?
「宵闇銀次」という名前もさ。
そもそも宵とは夜の初めの時間。宵闇は月の出が遅く、月がまだ出てないような薄暗い時間、であり、そこに「銀次」ですよ。
銀という色が月に結び付けられる傾向は世界的にみられるし。宵闇銀次て!!!月そのものじゃん!!!🌕
じゃあ藤壺屋半兵衛は?
「藤壺」をヒントとすると、『源氏物語』に登場する架空の人物である「藤壺」の作中での呼び名として「輝く日の宮」というのがある。これはまさしく太陽だと思う☀️
そしてこの「輝く日の宮」、実は『源氏物語』においてかつて存在したが失われてしまったとされる帖の巻名である。
天號星を一度でもラストまで見た諸君。
藤壺屋半兵衛、「かつて存在したが失われてしまった」という言葉、似合いすぎているとは思わないか??
ちなみに、音でとると「ふじつぼやはんべえ」の「やはん」の部分が気になっていたりする。
「やはん」は「夜半」につながるのでは...??
意味としては「よる、よなか」また別の読みとして「よわ」というのがありますが......。
「宵」から夜を挟むと「夜半」がくるのだよなぁ、という気持ちになる。半兵衛が入れ替わりを経て銀次になったようにね。
それにさ、「夜半の月」という言葉があるではないですか。秋の季語で、夜更けの月を指すそうですが、秋の月といえば明るく輝くのが特徴。
止まらんね、深読み。
◉まとめ
「天號星は禍ツ星」と言われてるけど、純粋に「天が號するときに動く星」なんじゃないだろうか。
全てを司る天が、叫んだり嘆いたりするのって尋常じゃない。必ず人間にとっては想定もできないとんでもないこと、つまりは凶事が起こる。よって「災いをもたらす禍ツ星」なのである。
そして天が號すると、その命によって、もしくはその叫び声が形となって、地上に雷が落ちる。
雷には悪人を罰する役目がある。半兵衛が落雷に打たれ、銀次と入れ替わったことに関しては、極悪人である銀次は言うまでもなく、また一見善人である半兵衛も、「心せよ、藤壺屋半兵衛」と神から名指しされているあたり、なんらかの裁きを受けたと捉えてもよいだろう。
半兵衛に落ちた雷のダメージを、半兵衛の持つ「身代わり観音のお札」が一身に受けた結果、2人とも身体的には無傷のまま入れ替わったということだろうか。(弁天の口ぶりからするに、身代わり観音のお札がなければ入れ替わりは起きなかったような気がしないでもないが、その場合半兵衛は純粋に雷に打たれて死んでいるように思う。。。みさきの半兵衛を守る心が入れ替わりに繋がったということ...?)
なぜ「雷が落ちたのは半兵衛のみ」だと考えているかというと、
・雷が銀次にも落ちたなら、身代わりになるものを持っていない銀次は丸焦げでないとおかしい
・「この仕事やるととんでもないことが起こる」という弁天の言葉をその通りに捉えれば、銀次は半兵衛に近づかなければ逃れる道があった
・対して半兵衛は「天號星動く時その身に大いなる災いをもたらす 心せよ藤壺屋半兵衛」と天から名指しでご指名いただいている。逃れようがなさそう。
という感じ。まあ公式サイトに「二人を雷が直撃」って書いてあるんだけどね!🫠 がはは。
ただし、「計都羅睺天號」とあるように、天は元からこの2人の人生が交わった瞬間に2人を入れ替えてしまうつもりだったのかも知れない。
宵闇銀次と藤壺屋半兵衛は、月と太陽であり、月と月であるのだから。
なお、半兵衛自身が雷に結びつくような描写も多い。
自身の手で妻を殺してしまうところ。妻が鏡を持って照らすシーンがあるところ。鑿で悪を倒すところ。などなど。
最終的に、半兵衛は天號の悪運を乗り越えて生き残る。これは、天が半兵衛に償わせようとした罪を半兵衛自身が克服したからではないかしら。
間違いなく月に結びつく名前、宵闇銀次。けれど彼は宵闇、月はまだ空に登っていない。
藤壺屋半兵衛は太陽であったけれど、入れ替わりを経て、夜更けの空に煌々と輝く月(夜半の要素を持った新しい銀次)になった。
どうですかね、この激深読み説。へへ。おれは楽しいよ。
おわり。
9370字だって!? よくこんなだらだらした駄文を最後まで読んでくれましたね?! ありがとうございます、お疲れ様でした。
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