夢グループ化する「通販生活」はマーケティング的に正解、失敗?
しおらしくなった通販生活
通販カタログというよりも通販金曜日というに相応しい「通販生活」ですが、2024年新春1・2月号のコンテンツがすっかりしおらしくなってしまって…。
話題の政治問題をふんだんに取り込んだ従来の表紙と異なり「読者の介護川柳」とか編集方針を変えたのでしょうか。もともと意識が高い女性シニア層がターゲットだから本来の購読層に寄せたとも言えます。
なぜかって事情を知らない方はモグリですよ。2023年冬号の表紙で“やらかした ”からですね。こちらがブツ。もちろん炎上しました。
ウクライナの悲壮な抵抗を「ケンカ」とするのは平和ボケというチープな表現では物足りません。満ち足りた人々の夢想でしかないですね。
おまけにウクライナ大使館に送った反省文めいたものもまた失笑されました。反戦を説いた直後に「皆様の崇高な戦いを」「皆様の崇高な祖国防衛の戦い」というこの変わり身の早さに目を疑いましたよ。
岩波か週刊金曜日ならまずこうした対応ではなかったでしょう。「言いましたけど何か?」程度でこの辺りがイデオロギー慣れしていない出版社の分岐点と言えます。
懐メロ路線で夢グループ化?
さてウクライナ表紙の一件以来、イデオロギー路線からシニア路線にシフトした印象があります。Xの投稿を見ても「八代亜紀と阿久悠」「離婚を決める時」「オトナの歌謡曲」「1980年代の真実」などなど懐メロ&シニアライフといったコンテンツが散見されます。
なんだかBS12か夢グループ的な雰囲気ですよ(笑)。
通販生活で芸能人を扱う場合、吉永小百合、加藤登紀子、坂本龍一、この辺りが定番なんですが、「八代亜紀と阿久悠」というのはかなり政治色が薄まります。購読層を鑑みれば小林幸子、森昌子、瀬川瑛子、こんなところでもマッチすると思いますね。
では通販生活にとって懐メロ&往年のスター路線が正解なんでしょうか。
私は得策ではないと思います。ウクライナとは別にイデオロギー路線は継続した方が通販生活らしさが保てると思います。
今のご時世、落ち目の芸能人ですらSNSでアベガーとやれば注目される時代ですよ。こうした層は通販生活が推奨する高額商品の購買層ではありませんが、しかし雑誌の販促には貢献します。
それに通販生活の購買層が
「社長―安くしてーー」
なんてノリを好むはずがありません。リベラルで知的(を匂わすだけ)というタレントも使っているというのが典型的な通販生活のプロモーションです。
鳥越俊太郎、ラサール石井、渡辺えり子あたりに
「老ーい青春!」
みたいな寒いフレーズをやらせた方が通販生活の失地回復につながるのではないでしょうか。