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【衆院補選和歌山一区】鶴保VS門 同門で公認争い勝つのはどっち!?

4月に予定される衆院和歌山一区。自民党はまだ候補者が決まっておらず現在、衆院への鞍替えを狙う鶴保庸介参院議員と前衆院議員の門博文氏で公認争いが続いています。両者は二階派所属、すなわち同門対決。

そして今日、自民党和歌山県連で両者同席の下、公認が決まるという情報が入ったのでこれまでの経緯や背景をレポートします。

本来ならば地元のドン、二階俊博元幹事長の鶴の一声で決まるはずですが、二階氏の威光は全盛期を過ぎました。本件について私は単に地方の一補選ではなく今後の自民党の勢力図を占うと考えています。

岸本氏を知事にしたまでは良かったが

まずこの問題は同一区前衆院議員で現在の和歌山県・岸本周平知事が影響しています。

09年総選挙、つまり民主党政権発足の年に岸本氏は初当選。以来、各地で旧民主党系議員が落選していく中で岸本氏は和歌山一区を守ってきました。2021年の総選挙は対立候補の門博文氏が比例復活できないほどの圧勝です。

これには岸本党と呼ばれる強固な支持者グループが影響しています。もとは地元有力者、同一区衆議院議員で旧防衛庁長官などを歴任した中西啓介氏(自民→新生→新進→自由→保守党)の支持母体です。これを継承したのが岸本氏。

岸本党の特徴は「非自民系保守」ですが、しかし参院選では世耕氏、鶴保氏など自民党勢を応援することもあります。特に鶴保氏は旧新進党出身だからウマがあいます。先の県知事選では自民党で最も岸本氏に協力したのが鶴保氏でした。

岸本知事のTwitterをみてください。はっきりと両者の協力関係を公にしています。岸本知事誕生で一区を自民の議席にする狙いでしたが今、候補者争いをしているのはなんとも皮肉です。

門氏としてもライバルの岸本氏がいなくなったのは衆院に返り咲くチャンス。

揉める補選候補を時系列で追ってみる

11月24日 門氏が側近の市議を伴い自民党党本部の二階氏を訪問。補選の公認を依頼する。この時のやり取りを市議が録音し、市議団のグループLINEなどに投稿する。
11月25日 午前中に党内で音声の存在が広まる。

12月17日 デイリー新潮が二階ー門音声を報じる。
12月23日 自民党党本部で二階氏同席のもと門氏に「公認しない」旨が伝達される。
1月7日 新年会前の会議でも決まらず。
1月中旬 鶴保氏、統一教会との関係が報じられる。
1月29日 今日、県連で候補者が決まるか!?

このような流れになっています。

これまで門氏の後ろ盾になってきた二階氏ですが、音声について激怒。門氏はもう見限られたといいます。このため二階氏は鶴保氏を推しています。

それですでに党本部から「公認せず」が門氏に伝えられているのにまだ候補者でもめているのは世耕弘成参院議員の影響です。

世耕氏は門氏推し。それに「公認せず」というだけで門氏が出馬してはいけないということはありません。こうなってしまっては鶴保、門両氏が立候補して勝った方が一区の支部長ということもありえるでしょう。

もう少し早い時期なら公募して若い候補を選ぶというシナリオもありえたかもしれません。また関西は維新が人気です。日本維新の会が元気な女性候補や地元アナウンサーあたりを擁立したら鶴保、門氏どちらにしても相当な苦戦が予想されます。

この補選で見えるもの

私もこれまで「南海の角栄」「自民党のドン」「政界のドン」などと二階氏を呼んできました。しかし党要職から外れたこと、ご高齢ということもありかつての権力はありません。

一方で存在感を高めるのが世耕氏。和歌山の有力者だけでなく通称安倍派、清和政策研究会の領袖です。補選についても世耕氏の意向が影響しています。つまり有力者の世代交代ということになります。

その世耕氏が門氏寄りですから非常に複雑な対立構図になっています。

ここにきて鶴保氏は統一教会との関係が指摘され逆風。かといって門氏は党本部から「戦力外通告」。両氏にそれぞれ傷があります。

とはいえ党本部の指示もあることですし、公認は鶴保氏でしょうか。鶴保氏は有利な点があります。先の「岸本党」の協力が得られること、また岸本知事のバックアップもあることです。

なお地元市議によると維新は「鶴保氏なら敗れるが、門氏が出てきたら勝てる」という思惑があるそうです。

音声流出、二階ー世耕の対立など、全国ニュースにもなった同補選、どんな結末でしょうか。


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