世田谷区成城の擁壁崩落事故レポート 首都圏の高台はハイリスク!?
高級住宅街・成城で起きた大惨事
熱海市土石流以来、盛り土、擁壁、こういったキーワードに敏感になりました。特に住宅街の「擁壁」(高低差のある土地で、側面の土が崩れるのを防ぐために設置される壁状の構造物)は災害のリスクを孕むと思います。2月13日、東京都世田谷区成城の工事現場で擁壁が崩落しました。成城といえば全国屈指の高級住宅街で有名ですね。当初、土砂崩れと報じられましたが現在、世田谷区は「既存建物の外壁倒壊」と定義しています。「既存建物の外壁倒壊」は分かりにくいですが、要するに擁壁のことです。
現場を見学してきました。
どうでしょう。住宅への崩落リスクはもちろん国道3号に流出したらさらに惨事でした。なにしろ交通量が多いです。いくつか現場写真を並べてみます。
世田谷区独特の地形が原因か!?
犠牲者がなかったのは幸いですが、「成城」というネームバリューの影響か大きく報じられていました。ダウンタウンの松本人志さんが相方の浜田雅功さんを「あれ(尼崎出身)が今では成城住み」とよくネタにしています。
芸能人も多数、住んでいることで有名ですね。しかし成城の高級住宅街は主に成城6丁目なんです。対して現場(赤矢印)は成城といっても外れ。
なぜ成城が高級住宅街になったのでしょう。それはこの地は「武蔵野台地」にあり地形が安定しているため、大正時代から富裕層が移り住みました。特に関東大震災以降は安定した地形、また東京市(当時)中心部にアクセスしやすい成城が人気になったのは必然でしょう。
しかし問題は多摩川添いに「低地」があることです。このため成城地域を散策すると擁壁の上に立つ宅地、マンションが目立ちます。この先、川崎市内に入るとこのような台地+擁壁の住宅街が増えていきます。
この擁壁が老朽化しており、今後大きな地震が襲った場合、崩落のリスクがあります。
しかも熱海市土石流の取材で関係業者からも頻繁に聞きましたが、擁壁工事が非常に杜撰なケースが多いそうです。高度成長期から人口増で住宅供給を急いだ結果、擁壁の安全性が軽視された可能性は大いにあります。
熱海以来、「盛り土」が非常に注目されており、全国的に規制強化に向かっています。しかしこの「擁壁」についても同様に検証する必要があるでしょう。