「突然のご連絡申し訳ありません」考
SNSに出没するクレクレ取材
説明がないとタイトルの意味が分からないでしょう。文字通り突然申し訳ありませんって感じです。
新聞やテレビ局記者がツイッター上で取材依頼をする時のテンプレートです。面白いのは判で押したように各社とも文面が同じということです。
一般人が撮影した写真や動画を無償提供の上で、報道するわけだから「クレクレ取材」とか「フリー素材」とか茶化されています。特に大きな事件やインパクトがある写真や動画だと各社が殺到。「突然申し訳ありません」ツリーができあがります。
文面は大筋、以下の通りです。
突然のご連絡申し訳ありません。●●新聞記者or●●テレビの●●と申します。投稿された●●の件について詳しくお話をうかがえないでしょうか。当アカウントをフォロー頂いた後DMにてご連絡させて頂けないでしょうか。何卒よろしくお願いいたします。
例えば災害や事故の場合、「大変な時にお手数ですが」だとか「ご家族はご無事でしょうか」といった、気遣いを見せる時もありますが、心がないことこの上なし。私の心のAIで翻訳すると「こっちも忙しいからさっさと寄越せ」という意味でしょうか。決して意地悪な解釈ではない、はずだけど。
実際に文例をみましょう。
すでにこのフレーズはユーザーたちの「いじり対象」になっています。突然のご連絡申し訳ありません、失礼いたします、などで検索すると各社の取材依頼文が浮上します。
それからもう一つ共通点があるんですね。依頼している立場なのに「当アカウントをフォローしていただき」というわけです。おいおい取材依頼の上にフォローまでさせるの? 大手マスコミの人はネットを目の敵にする割に異様にツイッターに執着しています。そんなワケで反発されることも。
信頼回復をすれば自然と情報提供は増えるのでは
現状、「突然~」依頼はあまり効果的だとは思えません。また快く受け入れられているようにも見えないです。原因はなんでしょうか。
①単純にメディア不信 ②投稿主の承認欲求を満たしているか ③謝礼
先に指摘した通り単純にメディアへの反発は大きいのではないでしょうか。それから「投稿主の承認欲求」も見逃せません。
これは自分の記事でもよく引用するのですが、報道検証が主旨の市民集会で「どの報道機関が一番優れているか」というテーマで「東京新聞」という回答があって同意する人が多かったです。その理由は「投書を採用してくれるから」というものでした。
本来、記事が良いとか社説が良いとか、記者さんにすればそういう評価をしてほしいところでしょう。しかし「投書を採用」が評価ポイントという点にメディアと市民の距離感が透けて見えます。やはり「モノを言いたい」という市民の承認欲求は少なからずあるものでしょう。
だから動画、画像なりを提供してもらった以上、クレジットをつけてあげるとか何らかの名誉賞をあげるべきです。それから話題になりましたけど、マスコミからは謝礼がないという点もかなり反発を招いたようです。
これはテレ朝に限りません。残念ながら謝礼は発生しないんです。というか報道バラエティ番組などで専門ジャーナリストやライターなどに電話取材を行うことがありますが、なんと大半が取材費が出ないのです。番組のテレフォンカードが送られてきたという方もいるぐらい。ひどい話です。それどころかマスコミの取材を受けた人が喫茶店代も出さなかったとか。こんな話もたまに聞きます。
ただ新聞もテレビも社会的に優遇されていることがあります。その上で動画、画像はタダというのは相当、ムシがイイでしょうに。だから会社のロゴや写真がついた500~1000円分ぐらいのクオカードでもいいじゃないですか。例えば看板アナウンサーなどの写真付きの。
もちろん謝礼というレベルには程遠いけどしかし現状の不公平感は相当、軽減されると思います。ただまあこれも付け焼刃というか大した改善案でもありません。投稿主が「あの新聞社が声をかけてくれた!」「テレビ局に採用された!」という風に歓迎してもらえるよう信頼回復をしてはどうでしょうか。