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名バイプレーヤー・矢柴俊博主演の交通啓発ビデオにやられてしまった!

運転免許更新のビデオが面白かった

運転免許更新の講習で交通啓発ビデオを見てきました。人権絡み、同和絡みでこの手の啓発ビデオの類はゴミというのが相場。

今回見てきたドライバー向け交通安全教材、矢柴俊博主演『切り裂かれた未来~飲酒運転の代償~』(東映)は正直、見入ってしまいました。

矢柴俊博さんは名バイプレーヤーとして活躍されていますが、さすが演技派のプロが出演すると啓発ビジオも名作になりますね。しかも非常に演出が凝っていました。以下はネタバレ注意で。

矢柴さん演じる主人公・井原啓治はバリバリ働く営業マン、家庭では良い夫、良いパパで第2子が生まれる予定です。平穏で幸せな日々を過ごしていました。

ある接待の席で自動車を運転するにも関わらず酒を断り切れずに飲んでしまいます。もちろんこれがフラグですね。帰り道、ハンドルを切り損ね何かにぶつかった衝撃音がしました。念のため井原は周囲を確認したものの特に異常はありません。

ところがあくる日、その道で「目撃者情報」の立て看板が立ちました。井原はひき逃げをしていたのです。自分の車を調べて愕然。血痕がついていました。事故現場に行くと、近所の主婦たちが「奥さーん、聞きました? 被害者は母子家庭で気の毒に…」なんて井戸端会議をしています。昭和的な演出ですが一種の煽りで加害者心理を動揺させるのには効果的ですね。しかし一人娘を持つシングルマザーと聞いて井原は落ち込みます。

井原は妻に事故を告げて自首します。

あまりに地獄すぎでしょ

歩行者保護と飲酒運転への警鐘という意味もあるでしょう。しかしあまりにも顛末が地獄すぎやしないか、と。脅かしすぎ! 私、感受性が強いから辛すぎて…。

井原が自首すると酒を勧めた取引先も事情聴取され、契約停止を告げられます。すると井原の会社は自治体の公共事業の資格停止←この演出の行政的発想!など社業が傾きます。

さらに会社社長の顔がネットに晒された他、SNSと思しきサイトには「このブラック企業」などなど罵詈雑言の嵐。この辺りは令和的な演出ですね。

犠牲者は死亡。井原は実刑判決を受け服役します。

「私を待つ家族がいることが支えでした」

と心でつぶやき社会復帰を予見させるものでした。ところがここからがさらに地獄ですよ。
妻が臨月近くでも食品会社で働く姿があり、様子がおかしくなった時点で場面が変わります。

井原のもとに社長から手紙が。それは妻が倒れそのまま他界、お腹の子も死産したのだと。長男は引き取り手がなく施設に預けられるということでした。

あまりに無残すぎて。死傷事故を起こした人が不起訴になるケースも多々あるし、迷惑運転のドライバーが大手を振って公道を走っている日々ですよ。そりゃまあ井原にも非がありますが、にしても過酷すぎる状況です。

この辺りの心理描写を矢柴さんが上手く演じるので見入ってしまいました。帰り歩行者を見ただけでゾンビでも出現したかのように怯えての運転でした。お恥ずかしい。

ギョーカイのオジサンたちが喜ぶだけ

本当はこんな高評価したくないのです。警察の天下り組織「全日本交通安全協会」と東映がウハウハなだけだし。

なかなか良い商売をしていらっしゃる(笑)。まあしかし退屈な講習を刺激的にしてくれた矢柴さんの演技に敬意を表してのレビュー記事でした。






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